メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

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  • 巻頭特集

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2011年 11月号(No.171)
  • 企業が直面するグローバル化と新技術への対応で
    情報システム部門に求められる役割

企業のIT戦略で必須課題ともいえるのが環境変化への対応。特に最近は、経営環境や事業環境の変化への対応が重視される傾向にあり、情報システム部門は、システムの安定稼働やシステム構築に加え、企業の戦略との一貫性を確保したIT戦略を立案し、推進していかなければなりません。今回は、社団法人 情報システム・ユーザー協会(JUAS:Japan Users Association of Information Systems)が公表した、企業のIT投資動向に関する調査「企業IT動向調査2011」の内容を中心に、情報システム部門への期待とその役割を考えてみましょう。

情報システム部門に期待される
グローバル化に対応した上流工程のマネジメント

 企業のIT戦略では、経営との融合やビジネスへの貢献が、これまで以上に求められています。例えば社団法人 情報システム・ユーザー協会(JUAS)が経済産業省の委託を受けて実施し、2011年3月に公表した企業のIT投資動向に関する調査「企業IT動向調査2011」によれば、情報システム部門への期待では「IT戦略策定・IT企画」(情報子会社持つ企業と持たない企業を合わせた中で49%)、「業務システムの改善提案」(同44%)、「IT投資案件のマネジメント」(同42%)が突出。情報システムをどう構築するかではなく、どのような情報システムを構築するかが重視されています。
 情報システム部門が、こうした期待に応えていくために無視できないのが、経営環境の変化です。特に最近は、グローバル化の加速とクラウドやスマートフォンの活用といった新技術への対応という大きな変化に直面しています。製造業では生産・在庫管理、流通業では販売管理など、IT投資の重点領域は業種によって異なりますが、情報システム部門には、常に全社的な視点から事業戦略との一貫性を確保したIT戦略を策定し、推進していく役割が求められているのです。
 経営環境の大きな変化の1つであるグローバル化の加速。顕著なのは中堅・中小企業も含めた製造業ですが、最近では、食品や流通、金融やサービスなど、従来は内需型といわれていた事業を展開する企業のグローバル進出も、連日のように報道されています。では、グローバル化の加速という状況の中で、情報システム部門にはどのような施策が求められるのでしょうか。「企業IT動向調査2011」では、グローバル化の課題とIT戦略を成功に導くポイントを、次のように整理しています。

<グローバルなITマネジメントの課題>
@グローバル化に伴う構造上の問題

各拠点においては人材などのリソースが不足するほか、多言語での対応が必要になるといった悩み
A国内外や現地でのコミュニケーションの問題
単に言語問題ではなく、日本国内の基準が通用しないといったことも大きな悩み
B国内と異なる事業環境上の問題
途上国の社会環境やビジネス環境の問題に加え、インフラ確保の難しさなど
C人材確保や連携体制構築の問題
海外での人材確保の難しさや、ベンダーとの連携をどう確立するかといった悩み

<グローバルIT戦略を成功に導くポイント>
@グローバルなITアーキテクチャの確立
事業戦略との一貫性の確保が含まれますが、中央の主導性と現場の自由度をいかにバランスよくさせるかということ、基盤などの統一と機動性の確保を両立させることなど、高度な判断に基づく方向付けを伴う
Aグローバルなマネジメントの仕組みづくり
戦略的な人材配置やグローバルなマネジメントのための体制づくりのほか、これらを支えるコミュニケーションの確立が含まれる
Bグローバルなロジスティクス(資源調達)の仕組みづくり
現地におけるIT調達に合わせ、グローバルレベルでのベンダーとのパートナーシップの構築が含まれる


  ポイントは、全社的な視点からのアーキテクチャやマネジメント、さらにはマスター整備や運用規定といった“グローバル標準”のルール作りです。情報システム部門は、全社的なガバナンスの確立に向け、中心的な役割を担っていく必要があります。

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クラウドやスマートフォンの活用で期待される
情報システム部門の“戦略・企画”機能

  グローバル化の加速と並び、情報システム部門の関心が高まっている環境変化に、クラウドコンピューティング、スマートフォンやタブレット端末を活用するための新たな技術への対応があります。「企業IT動向調査2011」によれば、売上高1兆円以上の企業群では半数がすでにSaaS(Software as a Service)を活用しています。スマートフォンは、「導入済み」が全体で10%ながら、「試験導入中」もしくは「検討中」が全体で38%、売上高1兆円以上の企業では58%に達するなど、企業の関心は他に比べて特に高いことが報告されています。
 クラウドコンピューティングは、情報システム部門にとって、従来の開発・運用負担を大幅に軽減する手段の1つです。カギを握るのは、どのような目的で利用するかという“戦略”です。コスト削減の手段と位置づけるのか、あるいは東日本大震災で注目されたBCP(Business Continuity Plan)の一施策と位置づけるのか。ここでも情報システム部門に求められるのは、全社的な視点、事業戦略との整合性確保という考え方だといえるでしょう。
 一方、スマートフォンやタブレット端末は、従来の携帯電話やモバイルPCの代替ではなく、業務プロセスやビジネスモデルを変革する手段と位置づけることができます。タッチパネルによる高い操作性に加え、アプリケーション次第で従来は困難だった活用が実現できるなど大きな可能性を秘めています。ここでも情報システム部門には、何にどう使うかを明確にする“戦略・企画”の役割が求められます。
 グローバル化の加速と新技術の台頭。この2つの環境変化だけでも、情報システム部門への期待やその役割が、上流工程にシフトしていることは明らかです。ところが、「企業IT動向調査2011」によると、IT組織体制の課題と改善策1位は「経営戦略とIT戦略の一体化」が圧倒的です。また、「IT要員に求められる能力と充足度」では、全体では「要員不足」が72%、「能力不足」が78%と報告されています。
 こうした現状に対して、JUASが重点を置いているセミナーのテーマが、ソフトウェア文章化作法やファシリテーション、ロジカルシンキングといった、組織力を強化する礎となる要員個人のスキル向上。情報システム部門には、これまで以上に利用部門に働きかける、主体的な取り組みが期待されています。情報システム部門が目指すべきは企業に貢献する、“元気な”、活力ある組織だといえるでしょう。「企業IT動向調査2011」では、情報システム部門を活力ある組織にするための施策にも言及。ポイントとして次の4つを挙げています。

 @人事ローテーション
 A経営者の理解
 Bユーザー部門と接する機会を増やす、現場に出ていく
 Cプレゼンスを高める


 さらに同調査は、「IT人材の総括」として動向を分析。現状を「景気低迷からの脱出、グローバル進出、新たなITサービス(クラウド等)の活用といった環境変化からIT人材育成とIT部門の体制整備は、新たな局面を迎えつつある」としています。

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グラフ

情報システム部門への期待
出典: 社団法人 情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査2011」

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