メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • 巻頭特集

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2012年 4月号(No.175)
  • 3.11の教訓を生かした災害に強いBCP策定のポイントと
    ITソリューションとは

2011年に発生した東日本大震災やタイの洪水は、自動車や機械、電気などの製造業にサプライチェーンの寸断をもたらし、大きな減益要因になりました。そこで改めて認識されたのが、事業を中断させない、あるいは中断した事業を目標時間内に復旧させるBCP(Business Continuity Plan)やBCM(Business Continuity Management)です。こうした災害対策を含めた全社的なリスク管理の取り組みは、もはや不可欠といっても過言ではありません。今回は、三菱電機の取り組みやソリューションを紹介しながら、東日本大震災の教訓を生かした企業のBCP策定やBCM構築のポイント、有効なITソリューションについて考えてみましょう。

過去の知見・ノウハウを集約し
BCPビジネスを推進

 三菱電機のBCPビジネス推進センターでは、BCP策定・BCM構築の支援や必要となるITソリューションを選定・整備するコンサルティングを行い、お客様企業を支援しています。
 昨今、地震などの自然災害に加え、インフルエンザなどのパンデミック、蔓延するコンピュータウィルスや多発するサイバー攻撃、コンプライアンス、製品やサービスの品質問題など、企業経営を取り巻くリスクは多種多様です。これらのリスク発生による企業経営への影響を局所化・最小化し、復旧を迅速に行うために、“備え”としてBCPを策定します。災害や事故の発生を検知してから、「BCPの発動」「業務再開」「業務回復」「全面復旧」という時間軸に沿ったフェーズごとに、「企業全体」「人」「物」というリソースの視点で、課題の抽出と対策立案、必要となるITソリューションの選定・整備を行います。
 2011年に発生した東日本大震災とタイの洪水は日本企業に大きな影響を与えました。社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が昨年実施した「企業IT動向調査2011(追加調査)」によれば、「震災を契機にBCPへの関心が高まり、『BCPを定期的に見直す』との回答が急増」(出典:http://www.juas.or.jp/servey/it12/index.html)。様々なリスクの中でも自然災害が最も憂慮すべきリスクであり、“備え”の重要性が改めて認識されるというように、経営者の事業継続に対する考えに変化があったことが調査から読み取れます。
 BCPビジネス推進センターが展開するBCPやITソリューションには、三菱電機自身がこれまで取り組んできた、災害対応の経験に基づく知見やノウハウが集約されています。例えば1995年の阪神淡路大震災発生後には、データセンター移設や情報通信基盤の強化を実施したほか、2004年の新潟県中越地震後には全社災害(地震)対策状況の棚卸を実施し、「社内情報システム地震対策ガイド」を作成。こうした取り組みの積み重ねは、東日本大震災発生時のお客様の事業継続にも生かされました。
事例1:情報システムの“備蓄”が早期復旧に貢献
 三菱電機では、東京海上日動火災保険(東京海上日動)が推進していたシンクライアント・システムの構築を支援。東京海上日動では、関東直下型地震を想定した対策を明確化し、その代表的な施策が、シンクライアントの“備蓄”でした。三菱電機では、東京海上日動の方針に基づき、関東と九州の2拠点に、緊急時の出荷が可能なインストールセンターを設置。東日本大震災発生の翌日には、東京海上日動の事故受付センターへシンクライアント端末を緊急搬送し、同日中のLAN環境稼働を実現しました。
事例2:企業理念に基づき調剤薬局の業務復興を支援
 三菱電機では、東日本大震災以前から、BCPの策定にあたり企業理念を重視しました。ここでは理念をもとに、災害や事故が発生した際に企業全体として取り組むべき優先順位を決定しました。具体的には、次のようにすべての活動のベースと位置付け、CSR報告書にも明記しています。
 @人の安全確保
 A社会機能の維持にかかわる事業の継続
 B自社の経済的被害の極小化
 東日本大震災発生後にも、この理念に基づき、まず従業員の安否確認を最優先に各事業部に依頼。自社の復旧に着手する一方で、Aの理念に基づき、関係企業やユーザ企業の支援も推進していきました。その1例が、被災した約50に及ぶ薬局の調剤業務復興支援です。調剤薬局の被災は人命に関わる事態であり、単なるソフトウェアの提供のみならず、薬局自体の早期復旧支援も不可欠でした。震災後20日目には、薬局向けソフトウェアと調剤データベース、パソコン、プリンタをセットにした無償提供を開始しました。

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震災に伴う新たな課題にも対応した
ITソリューションを提供

 東日本大震災では、“想定外”という表現が頻繁に使われたように、原子力発電所の停止に伴う計画停電や交通機関の停止により従業員が出社できないなど、不測の事態が数多く発生しました。三菱電機では、こうした新たな課題を認識しながらBCPの見直しを実施し、対策の強化と全社的な取り組みを徹底したBCMを推進しました。震災から得た教訓は、BCPビジネス推進センターのコンサルティングにも反映されています。
 その1つとして、地震や津波といった災害そのものではなく、被害が想定される建物や人、情報システムといったリソースベースで検討項目や必要な対策を明確化しました。“震度6”や“震度7”といった事象に着目して議論してしまうと、例えば地震以外の新たな脅威が発生した際に、“想定外”という表現を用いる余地が残されてしまいます。そこでどのような災害が起きるかではなく、どこの建物が損壊したとか、どの情報システムが停止した、どこの部署が出勤困難になったなど、リソースベースでシナリオを想定し、対策をとりました。
 BCPビジネス推進センターでは、こうしたリソースベースの考え方に基づき、震災の教訓を生かしたサービスを提供しています。具体的には、リソースベースでリスクを分散するという考え方を徹底しました。ITソリューションとしては、サーバの統合・仮想化と遠隔地にあるデータセンターを活用したバックアップシステムを提案しています。
 バックアップシステムは、すでに多くの企業で構築・運用していますが、東日本大震災では、新たな課題も顕在化しました。例えば、それまで稼働していた情報システムのデータベースなどのミドルウェアが旧バージョンだった場合です。被災により新たなマシンを購入したとしても、旧バージョンのデータベースが購入できなければデータを戻すことができません。また、バックアップの対象は主にデータであり、OSやミドルウェアは対象外ということも数多くありました。マシン自体が損壊するケースも多かった東日本大震災では、OSやミドルウェアまで含めたバックアップの必要性が再認識されました。
 そこで、仮想化技術を利用した“カプセル化”により、OSに依存しないサーバ統合を実施。遠隔地にあるデータセンターに保存したバックアップデータとリカバリ用に準備した災害対策用サーバとの組み合わせによって、マシン自体が損壊した場合の復旧を可能にしました。

 もちろんBCPは、企業理念や事業内容、事業環境、取引先との関係などに基づいて、各企業が独自に考えるものです。情報システム部門には、自社独自の全社的なBCPに基づく情報システムのBCP策定が求められます。これは言い換えれば、自社情報システムのあるべき姿を明確にすることにほかなりません。BCPビジネス推進センターでは、情報システムのあるべき姿も含め、企業に応じた最適解の追求を重視しながら、BCP策定やBCM構築を支援していきます。

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説明図

仮想化とデータセンター活用による情報システム災害対策

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