メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • 巻頭特集

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2012年 6月号(No.177)
  • 環境変化に柔軟に対応しビジネス目標の達成に貢献する
    IT人材育成のポイント

新興国を中心としたグローバルビジネスの加速など、企業の経営環境が大きく変化するなか、ITに関しては、クラウドコンピューティングやスマートデバイス、ビッグデータなど、新たなキーワードが生まれています。企業に求められるのは、ビジネス環境の変化に柔軟に対応し、新技術を駆使しながらビジネス目標の達成に貢献する人材です。こうした課題を解決する施策の1つとして、育成計画立案や実行の仕組み作りを支援する「共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF)」が生み出されました。今回はCCSFの基本的な考え方や構造、企業にとっての有用性などを紹介します。

組織視点を重視した3つのモデルで構成された
人材育成のフレームワーク

 CCSFとは、IT戦略の策定・遂行に携わる人材育成のフレームワークのことをいいます。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のIT人材育成本部 ITスキル標準センターが、2012年3月26日に発表しました。
 CCSFの名称にある“共通”は、すでに企業などで導入・活用が進んでいるITスキル標準(ITSS)、情報システムユーザースキル標準(UISS)、組込みスキル標準(ETSS)という3つの“スキル標準”を共通の構造で整理したことを意味しています。整理する際に採用したのは、「タスク」、「職種/人材像」、「スキル/知識」という軸。全体は、この軸に基づき定義された、次の3つのモデルを中核に構成されています。
タスクモデル(機能一覧)
 企業に求められる機能や役割を示す「仕事の定義」であり、企業目標を達成するために必要な機能群。企業が自社の企業戦略や事業計画から、自社に必要な組織の機能を定義する際に、参照するモデルと位置づけられています。すべてのタスクには「タスクコード」が割り振られ、大・中・小の三階層で整理分類。定義されているのは、例えば「IT戦略>IT戦略策定」(大分類)−「対象領域ビジネスおよび環境分析」(中分類)−「現行業務(As Is)の調査分析」(小分類)といった500以上のタスク群です。
人材モデル(職種/人材像一覧)
 3スキル標準の職種や人材像から、人材例として取り出した一覧。人材に求められる役割をタスク範囲で表現しています。企業が自社のビジネス活動や組織活動に必要な人材像を定義する際に参照するモデルと位置づけられています。ベースは既存の3スキル標準で定義しているキャリアフレームワークや職種定義、人材像定義など。「基本戦略系」、「ソリューション系」、「クリエーション系」という3つの人材類型と、これをさらに分類した「ストラテジスト」や「システムアーキテクト」、「プロジェクトマネージャ」など6つの人材像に分類されています。
スキルモデル(スキル一覧)
 タスクモデルの小分類で定義した仕事で必要になるスキル項目を「〜できる」という表現で記述した一覧表。企業が人材育成において、自社、自組織のビジネス活動に必要なタスクを担う人材像に求められるスキルセットを明確にする拠り所と位置づけられています。定義されているのは、例えば「現行業務(As Is)の調査分析」(小分類)であれば、「内部環境を正確に捉え、業務上の課題を分析・抽出することができる」など。既存の各スキル標準の定義を一元化し、タスクを支えるスキルを整理しています。

 CCSFは、これら3つのモデルを利用する際に自社に必要な「タスク(機能)」と「スキルセット」を定義し、「人材モデル(役割)」として組み立てるという、導入手順の基本思想が大きな特徴です。ポイントはタスクの定義から着手することで、組織の視点に基づく導入が可能になることにあります。CCSF活用の目的は、「企業のビジネス目標達成に貢献する人材の育成」であるという考え方を明確にしています。

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既存のスキル標準を集約し
活用上の課題解決を実現

 CCSF策定の背景には、既存のスキル標準を導入した企業が直面した課題の顕在化があります。CCSFと同時に発表された「共通キャリア・スキルフレームワーク(第一版・追補版)コンテンツ活用ガイド」によれば、既存のスキル標準の目的は、企業が「人材育成に投資するためのしっかりとした根拠と実施計画、および投資結果を評価するための判断材料を持つ」ために、施策を具体化することと記されています。ところが、これら既存のスキル標準は、多くの企業が採用したものの、経営戦略や事業計画の反映のさせ方がわからない、継続運用が難しいといった課題に直面していたといいます。
 その理由の1つは、ITSSとETSSが技術者のスキルという個人視点の軸で構成されていることにありました。結果として、経営戦略や事業計画を反映できていない枠組みの中で、どのようなスキルを持った技術者が何人いるのかという現状は把握できても、その妥当性や根拠を明確にできないばかりか、企業としてのあるべき姿を明らかにできないという状況に直面し、組織としての人材育成の仕組み作りを困難にしていました。
 また、既存のスキル標準が、それぞれ構造が異なることも企業での活用が思うように進まない大きな要因でした。これによってITSSとUISS、あるいはITSSとETSSを組み合わせて活用するのが難しく、個別の管理をせざるを得ないという運用上の課題が顕在化しました。そこで、「企業のビジネス目標達成に貢献する人材育成」を目的に、既存のスキル標準を同じ構造にして体系化したのがCCSFです。同ガイドラインはそのコンセプトを次のように整理しています。

 ・今まで個別にスキル標準を使っていた企業には、直接の影響を与えない
 ・今まで個別のスキル標準を使っていた企業は、CCSFで現状の検証、改善ができる
 ・これから導入活用する企業は、このCCSFを対象にすればよい


 CCSFを活用することにより、目的に対する利便性や変化に対する柔軟性が向上します。具体的には次の成果物により、効果的な人材育成計画の立案や有効活用が可能になります。

 ・自社タスク定義
 ・自社スキルセット
 ・自社人材像
 ・自社キャリアフレームワーク


 最初にすることが自社に必要なタスク(To Be)を定義することからわかるように、CCSFはあくまで参照モデルという位置づけにあります。従来のスキル標準と同様、そのまま使うものではなく、導入企業がカスタマイズして、自社に適した仕組みを作り上げるというアプローチが前提です。
 ここでポイントになるのが、構築した仕組みの有効活用を促進しながら、完成度を高めていく継続的な運用です。企業には、継続的な運用を通じて成果を評価し、経営戦略や事業計画を反映した仕組み改善の姿勢が求められます。
 活用ガイドラインによれば、見直しのタイミングは、企業の戦略や方針、ビジネスモデル、組織、制度の変更時期や、期末や期初といった定期的な確認時としています。CCSFは、改善のPDCAを継続的に回していくことで、企業に大きな効果をもたらします。

 今後IPAでは、主に中小企業を対象に、特定のビジネスモデルに特化して役割分担を明確にした「テンプレート」を順次公開していく計画です。企業規模に関わらず、人材育成の仕組みを見直す企業にとって、非常に有効なツールとして活用できそうです。

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説明図

CCSFのコンテンツ構造
出典: 『共通キャリア・スキルフレームワーク(第一版・追補版)コンテンツ活用ガイド』 
独立行政法人情報処理推進機構(IPA) IT人材育成本部 ITスキル標準センター 
URL:http://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/ccsf/download.html
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