メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

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  • エキスパートインタビュー

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2012年 6月号(No.177)
  • CCSFの活用で実現する企業方針に対して“ぶれない”
    自由度の高い人材育成の仕組み作り

人物写真

株式会社スキルスタンダード研究所
代表取締役
高橋 秀典 氏

ITに関わる人材育成のフレームワークとして、これまでITスキル標準(ITSS)や情報システムユーザースキル標準(UISS)、組込みスキル標準(ETSS)という3つの“スキル標準”が、企業で導入、活用されてきました。これらのスキル標準のメリットをさらに促進する「共通キャリア・スキルフレームワーク」(CCSF)の導入は、企業にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。今回は、長年スキル標準を活用した人材育成の仕組み作りのコンサルティングを手掛けている高橋氏に、CCSFの意義や活用のポイントについて伺いました。

高橋秀典(たかはし・ひでのり)氏プロフィール
1993年日本オラクル株式会社入社。研修ビジネス責任者としてオラクルマスター制度を確立させ、システム・エンジニア統括・執行役員を経て2003年12月にITSSユーザー協会を設立。翌年7月にITSSやUISSを企業で活用するためのコンサルティングサービスを提供するスキルスタンダード研究所を設立。関西電力株式会社、 三菱UFJ証券株式会社、株式会社リクルート、アメリカンファミリー生命保険会社(アフラック)、プロミス株式会社などのコンサルティングを成功に導く。UISSやITSS策定などIT人材育成関係の委員会委員を歴任し、2006年5月にIPA賞人材育成部門受賞。公立大学法人 首都大学東京 産業技術大学院大学 客員教授。著書に『UISSガイドブック』『IT エンジニアのためのITSSV2がわかる本』など。
URL:http://www.skills.jp/(新しいウインドウが開きます)

タスクを軸にした構造により
“企業導入”が可能に

 「例えば、従来ITSSで定義していた“職種”をCCSFのタスクに割り付けると、組織視点からの役割分担が見えるようになります。具体的には、企業として目指すべきあるべき姿(To Be)に対して、今定義している職種のAとBでは重複が多い、あるいはAやBという職種はどういう役割を担うべきかを明確にできます。ITSSの有効活用を真剣に考えていた企業ほど、こうした経営戦略や事業計画の反映という部分で解決策を見いだせなかったという実態がありました。このような悩みが大きかった企業は、現状の仕組みを組織視点からの仕組みに改善できるというCCSFの有用性を理解しやすいと思います」
 高橋氏は、CCSFのメリットとして、ITSSを本格的に導入していた企業が、改善のための検証ができるという点を強調します。特に、新たな仕組みを構築することなく既存の仕組みを生かして、“ビジネス目標の達成に貢献する人材の育成”という、目的を推進できることがポイントになります。高橋氏がコンサルティングを手掛ける企業の中にも、いち早くCCSFの導入を決断し、ITSSの改善に着手し始めた企業があるといいます。
 一方、企業のあるべき姿に対して、必要な“タスク(機能)”の定義から着手すべきアプローチを提唱していたのがUISSです。CCSFはUISSの導入アプローチを踏襲したフレームワークと位置づけることもできますが、UISSを導入していた企業にとっても、CCSF導入のメリットが大きいと高橋氏は語ります。
 「CCSFでは、PMBOK(Project Management Body of Knowledge)やITIL(Information Technology Infrastructure Library)といった標準的なフレームワークの要素を取り込み、解釈を明解にしました。また、UISSとITSS、ETSSのコンテンツを一元化したことで、組織視点から“IT人材”に求められるスキルや能力の網羅性も高まりました。コンテンツを定義体として比較すれば、3スキル標準のコンテンツを整理したことで、CCSFの方がUISSより広範囲にカバーできているといえます」
 高橋氏は、こうした人材育成の仕組みが“企業導入”を前提としていることを強調します。CCSFがタスクを軸にした構造であるのは、将来まで考慮した企業導入を想定しているためです。
 「企業ごとにビジネスモデルや事業戦略が異なるため、人材育成計画は各企業のビジネス目標達成に即したものでなければなりません。また、職種や人材像という個人視点のフレームワークを策定すると、環境変化のたびに、例えば“クラウド人材”を育成すべきだといった議論が起こり、従来の仕組みを1から見直す必要に迫られます。こうした“呪縛”から脱するフレームワークがCCSFだということです」

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固定化の排除で
環境変化にも柔軟に対応

 CCSFもカスタマイズを前提としている点においては、従来のスキル標準と同様であり、そのまま使うということは想定されていません。
 「自社に必要なタスクをCCSFから引き出すという考え方で導入を進める必要があります。逆にいえば、Maxとして提供されたコンテンツから、不要なものを削除し、自社のTo Beに合ったタスクを集約する。そのために活用できるガイドラインやツールは提供されていますが、企業は自ら頭を使い、取捨選択することが重要になります」
 高橋氏によれば、CCSFは固定化した考え方を排除し、企業が人材育成の仕組みを自由に組み立てることを可能にするフレームワーク。環境の変化に対して、企業が自ら考えるための素材でもあります。
 「今後ITの世界でクラウドやアウトソーシングなどの浸透に伴い、求められる人材のスキルや能力は大きく変化する可能性が高まっています。例えば、様々な要素を組み合わせて要件を定義する能力や、営業能力がより重要になるかもしれません。こうした企業としての対応方針を明確にし、方針に対して“ぶれない”施策を講じていくためには、考え方やフレームワークは一貫していながら、中身を柔軟に変えられ、変えても影響を及ぼさない仕組み作りが重要です。従来の資産を残しながら、新たな環境に対応できることを前提にしているのがCCSFの本質だという理解が重要です」
 IT人材に限らず、人材育成で重要になるのは、経営トップの強固な意志と人材育成に携わる担当者の使命感です。高橋氏は最後に、CCSFが大きな効力を発揮する条件として、人材育成の仕組みを作ることが目的ではないと強調し、次のように話してくれました。
 「経営トップ自らが、内容を理解してリーダーシップを発揮することは大前提ですが、重要なことは、導入推進に関わる担当者全員が、自社に適しているかどうかを徹底的に考え、議論することです。理解が浅いままの導入は絶対に避けるべきであり、後戻りができないことも十分に認識しておく必要があります。全員参加の雰囲気を醸成しながら、CCSFを企業や人材の価値を高めるという取り組みに活用してほしいと思います」

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説明図

自社要件定義の策定
出典: 『共通キャリア・スキルフレームワーク(第一版・追補版)コンテンツ活用ガイド』 
独立行政法人情報処理推進機構(IPA) IT人材育成本部 ITスキル標準センター URL:http://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/ccsf/download.html
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