メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • 巻頭特集

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2012年 7月号(No.178)
  • ビジネス目標の達成に向けたビジネスコーチングの有効性と
    組織活性化のポイント

メンバーに活気がない、モチベーションが低い……。組織活動の停滞は、事業戦略の遂行やビジネス目標の達成をめざす企業にとって、大きな課題となります。そこで注目がされているのが、世界的な大企業で効果が実証されているビジネスコーチング。組織の活性化を課題と認識している多くの日本企業にとってもビジネスコーチングは有効なのでしょうか。今回は、ビジネスコーチングの基本的な考え方を整理しながら、日本企業に求められるリーダーシップやマネジメントを、実行力という側面から考えてみましょう。

リーダー自身の変革に主眼を置く
ビジネスコーチング

 ビジネスコーチングとは、ビジネス上の目標達成を実現できるよう、組織や人材の“実行力”の強化を支援することをいいます。経営者を対象にした“エグゼクティブコーチング”はその代表的なもので、欧米では、その大きな効果が実証されています。

リーダーの意識や行動の変革

組織の活性化

ビジネス目標の達成

 ビジネスコーチングは、ビジネス目標達成のためには、まず、ビジネスを遂行する組織やチームを率いるリーダーの意識や行動の変革を基本的なコンセプトとしています。リーダー自身の自己変革が組織の活性化、さらにはビジネス目標の達成という組織の成果につながるという考え方です。
 今回のエキスパートインタビューにご登場いただいた細川馨氏が代表取締役を務めるビジネスコーチ株式会社では、ビジネスコーチングを、“「組織変革」および「真のビジネスリーダーの育成」に特化したマネジメントシステム”と定義。その特徴を、“「気づいていない」領域を開発することにより、ビジネスリーダーあるいは組織に行動変革を促し、組織遂行力の向上に寄与するもの”と説明しています。
 ビジネスコーチングを理解するうえでキーワードとなるのが、“気づいていない領域”と“組織遂行力”です。これらには、明確なビジョンや戦略があっても、実行力を伴わなければ組織や人材の成長にはつながらないという考え方がベースにあります。

気づいていない領域とは

 自己診断ではなく、周囲にいる人間がリーダーをどう思っているか、どこに問題があるかを考えているかという評価をすること。ビジネスコーチングでは、まず、コーチが周囲の人間へのヒアリング結果から、リーダーに対して改善すべき問題点を指摘し、改善を促します。ポイントは、“ここがダメだ”ではなく、“ここを直せば素晴らしいリーダーになれる”といった、リーダー自身が納得できるアドバイスをできるかどうかにあります。
組織遂行力とは
 組織のゴールに向かって、メンバー全員が一致協力して決めた戦術を実行し、成果を出し続ける力。組織遂行力の低い組織では、メンバーに活気がない、本気で目標を達成する強い意志が感じられない状況に陥り、結果として業績や競争力の向上といったビジネス目標の達成が困難となってしまいます。ビジネスコーチングの狙いの1つは、この組織遂行力を高めることにあります。

  リーダーが、組織推進力を高めるうえで重要になることが、部下やプロジェクトメンバーの考え方や行動を改善するコミュニケーションの実現です。例えば傾聴のスキルや質問のスキル、承認のスキルといったコミュニケーションスキルを指す“コーチング(パーソナルコーチング)”は、その有効なツールとして、日本でも多くの企業がマネージャー層を中心に導入を推進しています。
 コーチングがめざすのは、部下やプロジェクトメンバーの自発的な行動であり、そこで重視することは可能性を引き出すコミュニケーションスキルです。組織目標と個人目標を融合させるなど、最終的には組織の活性化、ビジネス目標の達成をめざすという点ではビジネスコーチングに共通するものですが、その前提としてリーダーと部下やメンバーとの信頼関係の構築が必要です。そのためにリーダー自身の変革を最優先に考えることがビジネスコーチングの大きな特徴だといえるでしょう。

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リーダーの変革に不可欠な
フィードバックとフィードフォワード

 ビジネスコーチングで対象とする、気づいていない領域の典型的な例が、リーダーの対人関係に関わる問題点です。エグゼクティブコーチングの世界的な第一人者であるマーシャル・ゴールドスミス氏は、自らの経験に基づき、これを“20の悪癖”として整理。例えば“極度の負けず嫌い”や“きちんと他人を認めない”、“責任回避する”などを挙げています。
 エグゼクティブに限らず、部門やプロジェクトを率いるリーダーも、対人関係の問題を少なからず抱えています。これを本人に認識させ、改善を促すのがビジネスコーチングの役割です。その特徴的なプロセスには、次の2つがあります。

フィードバック
 部下やメンバーに対してヒアリングを行い、問題点を明確にし、本人に認識させること。部下やメンバーに加え、顧客や取引先、家族など幅広いヒアリング結果に基づく場合は“360度フィードバック”と呼ばれ、非常に効果的なプロセスとして位置づけられています。
フィードフォワード
 本人が変わろうという意識になったときに、周囲の人間からアドバイスを受けること。過去の行動ではなく、将来実践できるアイデアを得ることで、双方向の動きを組織内に作り出すことが大きな効果だとされています。

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効果的なPDCAサイクルを確立する
5つの質問によるフォローアップ

 ビジネスコーチングは、まず経営者、組織やチームのリーダーがプロのコーチに指導を受けるのが第一歩です。ビジネスコーチによれば、その期間として約7ヵ月が必要だといいます。その後必要なことは、指導を受けたリーダーが自身の言動や行動の改革を継続しながら、部下に対するコーチングを実施し、組織内への定着化を図ることです。

プロのコーチ → リーダー

リーダー → 部下やメンバー

フォローアップ

PDCAサイクルの確立

 リーダー自身が変革し、組織遂行力を高める前提は情報共有にあります。このチーム内の情報共有を実現するのが、メンバー間で報告・連絡・相談を円滑に進める“報・連・相”といわれる仕組みです。ビジネスコーチでは、“報・連・相”を機能させるために効果のある質問として、次の5つを提唱しています。

 「うまくいったことは何か?」
 「うまくいった原因は何か?」
 「うまくいかなかったことは何か?」
 「うまくいかなかった原因は何か?」
 「次の一手は何か?」

 これらの質問に各自が答えることを定期的に繰り返し、フォローアップを継続する。これが組織やチームのPDCAサイクルを効果的に回していく原動力になります。

※本記事の一部は、ビジネスコーチ株式会社 代表取締役 細川馨氏への取材、および同社提供の資料により構成しました。

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□ 1. 会議などで仕事の納期を決めない傾向にある。
□ 2. 組織、部署で取り決めているルールが守られていない。
□ 3. 仕事の責任者が不明確である。もしくは決めない。
□ 4. 組織の目標と個人の目標につながりがない。
□ 5. 仕事の担当者からの経過報告がなく、全体の進捗を理解している人が不在である。
□ 6. 設定目標と現場の目標について、本部がその背景や意義を説明していない。
□ 7. 現場の責任者が自分の腹に落して、目標の説明をメンバーにしていない。
□ 8. 成功事例に興味がない。共有化しない。その事例をわかりやすくメンバーに伝える人がいない。
□ 9. 戦略が具体的でないため、仕組みではなく、属人的なスキルに頼っている。
□ 10. 組織の目標達成のための戦略、戦術、実行計画、確認のサイクルが回っていない。
□ 11. 組織の目標を達成するために関係者同士で対話を通じた打ち合わせがない。
    単に指示命令、連絡事項の伝達に終わる。
□ 12. 組織のリーダーとメンバーが目標を達成できなくても仕方がないと思っている。
□ 13. 目標が未達になりそうなことが、期限ギリギリで判明する。
□ 14. 1つの課題を最後までやり遂げることなく、次の課題に着手する傾向にある。

組織遂行力が低下している組織の特徴
出典: ビジネスコーチ株式会社

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