メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • 巻頭特集

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2012年 8・9月号(No.179)
  • 高齢化の進展で重要性が増す
    介護事業の現状と選ばれる事業者に向けたIT活用のポイント

“超高齢化”を背景に、日本では2000年4月から介護保険制度が導入されました。従来の“措置”から“サービス”への方針転換に伴い、民間の事業者も相次いで参入。市場規模も急速に拡大してきましたが、一方で事業者は慢性的な人手不足や介護報酬の実質引き下げといった経営課題に直面しています。ここで有効になるのが、複雑な業務の効率化や経営管理の最適化を実現するIT活用。今回は、今後も高齢化の進展で重要性が増す介護事業に焦点を当て、ITの有用性や活用のポイントを考えてみましょう。

介護事業者に求められる
行政の規制に対応した質の高いサービス提供

 厚生労働省が6月29日に発表した「平成22年度 介護事業状況報告」によれば、要介護(要支援)認定者数は506万人と過去最高を記録。対前年度では約22万人増、10年前(256万人)と比較すると約2倍に増加しています。背景にあるのは、確実に進んでいる高齢化の流れ。特に要介護認定の確率が高まる75歳以上の人口増加が、認定者の数を押し上げています。
 日本での介護保険制度は、65歳以上の人口が占める比率が、2020年に29%、2050年には40%に達する“超高齢化”に対応するため、2000年4月にスタートしました。従来の措置からサービスへという基本方針により、多くの民間企業が参入。選ばれる事業者を目指してビジネスを展開していますが、他業種と比較すれば行政による様々な規制があり、介護事業者は、その規制に対応しながら成長戦略を策定し、遂行していかなければなりません。ここで、介護事業者の直面する課題を整理してみましょう。
マイナス基調で推移する介護報酬
 事業者の収入に直結する介護報酬は3年に一度見直され、改定されます。その水準について、厚生労働省は「介護職員の安定的な確保に向けて処遇改善を継続する必要があることに留意し、適正なものとすることが必要」という方針を示していますが、実質はマイナス改定が基本的な流れとなっています。例えば平成24年度の改定では、+1.2%(在宅+1.0%、施設+0.2%)という改定率が示されましたが、同時に介護職員処遇改善交付金が2%強組み込まれたため、実質は約0.8%のマイナス改定になりました。40歳以上の国民が負担する保険料と税金を財源とする現状の制度においては、今後もマイナス基調で推移することが予想されています。介護事業者は、そのリスクを踏まえ付加価値のあるサービスを提供し、利益の向上をめざさなければなりません。
慢性的な人材不足
 高齢化の流れが加速する現状において、介護事業の市場は確実に拡大していくことが予想されています。ところが、実務を担うヘルパーなどの人材は他業種と比較して給与水準が低い、離職率が高いという状況に直面しています。介護事業者にとっては、優秀な人材の確保や育成、適正な配置が重要な経営課題に位置づけられています。
複雑で負担の大きい請求業務
 個別の業務に着目すると、請求処理が複雑で、手間が膨大になるのも介護事業者が直面する課題の1つです。介護報酬額や計算方式は、サービスの内容や時間、要介護度に応じて設定されているうえ、利用者の都合でキャンセルなども発生します。さらに3年ごとに改定される単価にも対応しなければなりません。

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報酬改定時を契機に
新たなサービスも創設

 厚生労働省によると、現在提供されている介護保険のサービスは、次の5つに分類できます(「医療・介護を取り巻く現状(参考資料)」)。
 @訪問系サービス
  訪問介護、訪問看護、訪問入浴介護、居宅介護支援など
 A通所系サービス
  通所介護、通所リハビリテーションなど
 B短期滞在系サービス
  短期入所生活介護など
 C居住系サービス
  特定施設入居者生活介護、認知症共同生活介護など
 D入所系サービス
  介護老人福祉施設、介護老人保健施設など

 3年ごとに見直される介護報酬の改定では、これらの体系をベースに新サービスが創設されることもあります。平成24年度の改定では、「在宅サービスの充実と施設の重点化」という方針に基づき、「日中・夜間を通じた定期巡回・随時対応サービス」(24時間訪問介護)、「複合型サービス(小規模多機能+訪問介護)」が新設されました。介護事業者には、新設されたサービスに参入するかどうか、参入するのであれば人材をどう確保し、配置するかといった経営判断が求められます。

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経営課題と業務課題の解決に
有効な選択肢の1つとなるIT活用

 直面している課題に対して、介護事業者には2つの取り組みが求められます。1つは事業の運営効率向上、もう1つは利用者の視点を重視した付加価値の向上です。
 例えば平成24年度の介護報酬改定で新設された24時間訪問介護というサービスを提供するには、ヘルパーを待機させるなど、これまで以上にきめの細かい人材配置が求められます。また、利用者が事業者に期待することは、安心感と信頼できるサービス提供です。介護事業者にとっては質の高いケアをいかに提供できるかどうかが、成長戦略のカギを握ります。
 こうした課題に直面した介護事業者にとって、有効な選択肢となるのがIT活用です。業務的な側面からは、二重入力や三重入力を回避した一元管理による効率化の実現。煩雑な業務において、ITに任せられる部分は任せることで、担当者の負担を軽減することができます。一方、経営的な側面からは、判断基準となる情報の提供に加え、職員が自ら活用できる情報基盤の整備が重要になります。
 すでに介護・福祉という事業に特化した多くの製品が提供されています。代表的な製品は請求管理や人事管理、会計・給与などのシステムです。現場担当者の入力した実績情報と各システムが連携することで、全社的な一元管理が可能で、製品によっては、集計ツールと連携するなど、様々な情報活用を実現できるようになっています。
 例えば株式会社三菱電機ビジネスシステム(MB)が提供する「MELFARE(メルフェア)」は、こうした機能に加え勤務表作成システムや勤怠管理システム、監視カメラシステムなどの機能を実現します。さらにSSLやIPsecでセキュリティーを確保した社外からのアクセス環境も構築できるトータルITソリューションです。
 製品の選定にあたっては、自社の事業領域や事業形態に合わせて、必要な機能や有効な機能を見極める必要があります。それらに加えて導入パートナーのサポート対応力も重要な判断基準になります。例えば、介護報酬と保険料が3年に一度見直されるたびに、システム側も迅速に対応する必要があります。実際に報酬額が確定されるのは、適用の2〜3ヵ月前。事業者にとっては、導入パートナーの迅速な対応力が欠かせません。また、コールセンターやサポート要員の介護・福祉事業に対する専門的な知識やノウハウも欠かせません。これらを踏まえてITを活用することが質の高いサービス提供につながります。

※本記事の一部は、エヌ・デーソフトウェア株式会社 亀本伸幸 氏への取材をもとに構成しています。

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グラフ

要介護(要支援)認定者数の推移
出典: 「平成22年度 介護事業状況報告」(厚生労働省)

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