メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • 巻頭特集

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2012年 12月号(No.182)
  • STPに沿った運用により効果創出を実現する
    BtoBマーケティングのポイント

*Segmentation Targeting Positioning

データベースを活用し、顧客や購買に関わるデータを蓄積/分析することで、それぞれの顧客に合致した商品やサービスを提供する“データベース・マーケティング”。当初は、新規顧客開拓よりも既存顧客の継続、BtoBよりもBtoC向きの手法と考えられていましたが、BtoBにおける新規顧客獲得に活かそうという機運とともに、利用が拡大しています。今回は、マーケティング概念のスタンダードといえるSTPの考えに立ち返り、現状のデータベース・マーケティングにおける課題と解決策について考えてみましょう。

データベース・マーケティングへの期待と
実態における大きな乖離

 データベース・マーケティング実施のステップは、以下の4つのフェーズから構成されます。

(1)リード・ジェネレーション(Lead Generation)
(2)リード・ナーチャリング&クオリフィケーション(Lead Nurturing&Qualification)
(3)リード・トゥ・オーダー(Lead to Order)
(4)リピート&クロスセリング(Repeat & Cross Selling)


 簡単にいえば、見込み顧客を「集め」「育成して絞り込み」、実顧客として「獲得し」「継続」することです。例えば、展示会やセミナーで名刺を集めたり、アンケートを回収する取り組みが、リード・ジェネレーションの最初のステップで、これらで集められた見込み顧客情報をデータベース上でユニーク化し、有望見込み顧客を育成し絞り込むステップがリード・ナーチャリング&クオリフィケーション。絞り込まれた上位見込み顧客を営業マンが訪問し、クロージングするのがリード・トゥ・オーダー、以降、既存顧客として維持しながら新たな購買機会を与え続けるのがリピート&クロスセリングとなります。これらの一連の流れをマーケティングラインと呼びます。
 BtoBビジネスにおいても、活用する企業が増えているデータベース・マーケティングですが、導入した企業すべてがうまくいっているわけではありません。見込みを含めた顧客データを登録し、データベース・マーケティングを実施しているにもかかわらず、営業状況は一向に改善しない。こんな現状を目の当たりにして、多くの企業が「単にシステムやマーケティング手法を導入しただけでは、期待した効果を得ることは困難である」ことを認識し始めました。

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「STP」における原則に立ち返り
必要となるマーケティング設計を行う

 このような状況の打破に向け、フィリップ・コトラーの提唱したマーケティングの代表的な手法の1つ「STP」が改めて評価されています。STPとは、「Segmentation」「Targeting」「Positioning」の3つの頭文字をとったもので、市場を顧客ニーズごとにグループ(セグメント)化し、その中で自社が対象とするセグメントを特定(ターゲティング)し、顧客に提供できるメリットを確立(ポジショニング)していくということです。顧客となり得るすべての対象の中から、自社の顧客として双方がメリットを享受できる現実的な対象を絞り込み、効率良い営業活動を創出するうえで、非常に有効となる手法といえるでしょう。データベース・マーケティングの4つのステップの中では、前半の2つ、特にリード・クオリフィケーションに深く関わります。
 データベース・マーケティングを導入した企業が陥りやすいこととして、名刺などから得られる顧客データをシステムに格納し、ボタンを押せばコンタクトすべき上位見込み顧客が自動的に提示されるという、システムだけで完結する考えがあります。しかし、STPの原則に照らす限り、期待する顧客像および自社が提供できる商品やサービスの強みを精査していくことこそが、マーケティング活動の成功の必要条件であることがわかります。
 例えば、マルチランゲージ対応の生産管理システムを扱う会社を考えてみましょう。ターゲットとすべきは、ワールドワイドでビジネスを展開する製造業の顧客です。しかし、既存のグローバル企業にはすでに競合製品が導入されています。それならば「状態」を捉えればどうでしょうか。国内でビジネスを展開する製造業者が、中国に工場を構築し始めたら、次には間違いなくマルチランゲージの生産管理システムが必要になります。すでに使用しているとはいえ、提案次第で自社製品にリプレースできる可能性が高まるといえるでしょう。
 また、会計ソフトを扱う場合には、相手の企業の大小に関わらず1社に対して1つの製品しか導入されません。商機が訪れるタイミング、つまり捉えるべき「状態」は、再リース時期が到来する6年目、7年目あたりとなります。セールスリードのステップを通じて、対象顧客におけるこのタイミングを把握できれば、他社からの乗り換えという形で、自社製品を導入できる可能性が高まります。
 重要となるのは、このような「状態」などを含め、原則に沿った定義を行うことです。マーケティング設計を着実に行うことこそが、効果を創出するデータベース・マーケティングの推進のカギとなります。

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全社的視点から逆算すべき
マーケティング活動の真の効果

 もう1つの重要なポイントは、全社的な視点で捉えたマーケティング活動の投資効果評価です。STPによるマーケティングの全体設計でも、個別のマーケティング活動とそれにかかったコストを考えるだけでなく、最終的な売上(受注までの期間が長期にわたるBtoBの場合は、案件を対象とすることが多い)と、それに対するすべてのマーケティング活動にかけたコストを評価します。ROMI(Return on Marketing Investment)と呼ばれるこの指標は、マーケティングに関する全社的な統括責任者であるCMO(Chief Marketing Officer )が、マーケティングの全体設計を行う際に用いる評価指標です。
 個々のコストとして考えられがちな、Webサイトのリニューアル費用から、リスティング広告費、展示会の参加費、ブースを運営する人件費、関連資料作成費、さらには、取得した名刺データの入力費に至るまで、すべてを捉え、最終的な売上や案件によるリターンと比較・評価します。WebサイトはWebチームの予算で、リスティング広告はPR予算で、展示会は広報の予算でという具合に分断されたコストと、それぞれに関わる個々の部門担当者の視点だけでは、企業としてのマーケティング活動の評価が困難だからです。STPに沿って設計される全社マーケティングのフレームを用いることで、最適なコスト配分や投資効果の明確化が可能となります。

※本記事は、エキスパートインタビューにご登場いただいた庭山一郎氏への取材、シンフォニーマーケティング提供の資料をベースに構成しました。

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説明図

マーケティングライン
出典: シンフォニーマーケティング株式会社

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