メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • エキスパートインタビュー

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2012年 12月号(No.182)
  • 全社一貫とした戦略により売れる仕組みを構築し
    “守り”から“攻め”の営業へ

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シンフォニーマーケティング株式会社
代表取締役
庭山 一郎 氏

“売上向上のための仕組み作り”は、すべての企業にとって普遍的な課題です。情報化が進展し企業データを取り扱うシステムも数多く存在する現在、データベースを駆使したマーケティング活動は、大きな効果が期待される施策といえます。しかし、その実態に目を向けると、多くの企業において肝心な情報そのものの管理や活用で課題を抱えている状況が少なくありません。今回は、データベース・マーケティングのアウトソーシング事業を展開し、数多くの実績を有するシンフォニーマーケティング株式会社の代表取締役 庭山氏に、現在の企業が抱えるBtoBマーケティングの課題と、あるべき姿についてお話を伺いました。

庭山一郎(にわやま・いちろう)氏プロフィール
1962年生まれ。中央大学法学部卒。アスクプランニングセンターにて商業施設のマーケティングプランナーとして勤務の後、1990年9月にシンフォニーマーケティング株式会社を設立。CRM、SFAなどの導入計画、ECサイトの構築など約300社、1200のマーケティングプロジェクトに参画。2000年よりBtoBにフォーカスした日本初のマーケティングアウトソーシング事業を開始。各産業の大手企業を中心にサービスを提供している。現在、各種セミナーの講師やマーケティングキャンパス:http://marketing-campus.jp/ (新しいウインドウが開きます) 等のコラムで、実践に基づいたマーケティング手法や考え方などマーケターに向けたメッセージを発信している。
日本人材ビジネス協議会副理事長、米国ダイレクトマーケティング協会会員。
著書 : 『はじめてのマーケティング100問100答』(明日香出版社)
URL:http://www.symphony-marketing.co.jp/ (新しいウインドウが開きます)

毎回満席となる主催セミナー。そのカギは
自ら実践するBtoBマーケティング手法

 マーケティング活動の一環として実施されるイベントやセミナーなどの集客に頭を悩ます担当者は少なくありません。ところが、シンフォニーマーケティングが開催する自社セミナーは十数年にわたって満席が続いています。この理由について庭山氏は、「アポイントの取り方を含め、私たちはお客様に提供するBtoBマーケティングサービスをそのまま自社主催セミナーに適用しています。自ら実証実験を行うことで、その効果を客観的・継続的に把握できます」と話します。
 集客に限らず、実施するマーケティング活動で期待する成果を上げることができずにいる企業は少なくありません。なぜ、本来注力すべき事業の売上拡大つながるマーケティング活動を実現できないのでしょうか。庭山氏は、「高度な分析ノウハウやシステムの活用以前に、基本的なデータの管理や組織としてのマーケティングへの取り組みにおいて解決すべき課題があります」と語ります。

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法令に遵守したデータマネージメントや
部門を横断した全体最適が必要不可欠

 イベント出展などを通じて企業が入手した名刺やアンケートなどは、セールスリードを創出する重要なデータです。ところが、これらの貴重なデータが十分に活用されないケースが数多くあり、その要因の1つに“複数の言語表現の混在”があると庭山氏は指摘します。
 「“名寄せ”1つを考えた場合でも、日本では特に負荷のかかる作業となります。名刺を例にとれば、そこには漢字、ひらなが、カタカナ、アラビア数字、漢数字が使われています。私たちは、ABCという会社名表記とエイビーシーという会社名表記を難なく併用しますが、顧客データ管理という視点から見れば、1つの正式な表記に統一しなければなりません。また、漢字名だけをとっても、“渡辺”という名字には、“渡邉”、さらに“渡邊”という字体があり、同一人物である可能性があります」
 1人に対して複数のデータが存在する場合、個人情報保護法や特定電子メール法などに抵触するリスクもあります。例えば、メールマガジンにおいて名寄せができずにいた場合、メール解除の連絡があったとしたら、複数データに対して解除処理を行わなければなりません。しかし、1データだけしか解除されなければその後もメールが送り続けられる可能性があります。これにより発信元企業への不信感が高まるだけでなく、コンプライアンスという観点において問題となります。このように、アルファベットで事足りる欧米に比べ、明らかにデータ精査・管理における負荷が高い日本では、法令に遵守したデータマネージメントを行うことは避けて通れません。
 もう1つの課題として、部分最適化され全体として機能していないマーケティング活動があります。展示会は広報部門が仕切り、メールマガジンは製品担当が作成。顧客開拓は営業が考えるという役割分担で、それらの間で一貫したマーケティング設計ができていない状況です。このため、展示会の担当者は名刺を何枚集めることができるかということが目標となり、その後は、営業担当に名刺を渡して作業完了となります。セミナー担当者は席を埋めること、Web担当はページビュー向上に終始する状況になり、結局売上につながらないという結果に至ります。
 庭山氏は、「全社を通じた戦略として、どのような見込み顧客を集めるのかということが定義されなければなりません。Webではこのようなキーワードを使い、名刺を集める場としてはこのイベントを使う。また、集めたデータから名寄せ後、どのように営業対象外を外すか、そして、提供コンテンツへの反応を見てどのようにスコアリングするか。このような一連の流れとしてマーケティング活動を設計することが必要です」と強調します。

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マーケティングの棚卸と
STPの基本に立ち返った全体設計

 実際にお客様からマーケティングにおける相談を受けた際、庭山氏は「基本に立ち返って、まずSTPのフレームワークを使った議論を行います」と話します。この議論の中で、今まで行ってきたマーケティング活動を棚卸すると、様々な無駄が見えてくるといいます。
 「市場をセグメント化し、ターゲットを明確化すると、このイベントにはターゲットが来ない、このメッセージは響かない、ということがわかってきます。これらミスマッチな部分をSTPのフレームワークに従い排除していくことにより精度の高いターゲット像とアプローチ先が見えてきます。例えば、ある見込み顧客について、研究開発、設計、生産技術、購買の4部門がターゲットとわかり、それぞれに5名前後のキーマンが存在すると想定すれば、この顧客については、20人分のコンタクトリストが必要になります。このようにターゲットリストを整備し、そのうえで自社のポジショニングを考え、提供できるベネフィットを精査・提示すれば、案件獲得の確率は大きく上昇するはずです」
 シンフォニーマーケティングでは、最近特に製造業の顧客の比率が高まってきました。庭山氏は、「日本の製造業のお客様はマーケティング施策に不慣れな部分を除けば、すでに高い品質の商材、そして優れた人材を有しています。マーケティングのノウハウを補うだけで、効率的に営業案件を生み出すことが可能となり売上につなげることができるでしょう」と語ります。
 最後に、自社のマーケティングに課題を抱えているお客様に向けたメッセージとして、庭山氏は次のように語ります。「御社は有効なターゲットリストを何社分、そして何人分持っていますか。もしこれが即答できない場合には、マーケティングの棚卸を考えてみてください。そこから“攻め”の営業を展開し、売上向上に直結する施策が見出せる可能性が大いにあります」

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説明図

顧客データ管理のポイント“名寄せ”
出典:シンフォニーマーケティング株式会社

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