メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • 巻頭特集

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2014年 3月号(No.194)
  • データの量的・質的変化に伴い
    より重要性が高まる活用法と施策推進のポイント

企業のIT戦略において、データ活用は常に重要課題の1つに位置付けられてきました。経営や事業の戦略に関わる意思決定のみならず、業務の効率化や省力化、コスト削減などの施策を講じるうえで、蓄積されたデータが有効な判断材料になります。このデータ活用を取り巻く環境が、ここ数年で大きな変化を見せています。今回はデータ活用の重要性が高まる背景やデータ活用を支える技術などを紹介しながら、マネジメントの強化、競争力の向上につながるデータ活用のあり方や推進のポイントについて考えてみましょう。

活用対象となる
データの質的側面が大きく変化

 企業の経営戦略やIT戦略で重視されるデータ活用の目的の1つは、現状の可視化、“見える化”により、マネジメントを機能させることにあります。正確な現状を把握することで、次に講じるべき的確な対策を見極めることが可能になるというわけです。例えば顧客の行動履歴を分析して最適なマーケティング施策を講じる、機器の故障を早期に発見することで被害を最小限にとどめるといった取り組みなどその対象は経営や事業、業務、プロジェクトなど多岐に及び、対策も緊急性の高いものから中長期的なものまで様々です。
 このデータ活用が、企業の競争力向上という観点から、これまで以上に注目を集めています。特に2011年頃からの “ビッグデータ”をキーワードにした議論が活発化しています。ビッグデータに明確な定義はありませんが、すでに広く認識されているのは、ビッグデータが、スマートデバイスやモバイルコンピューティング環境の普及に伴い爆発的に増加しているデータの“量”だけを指す用語ではないということです。データの量的な側面のみならず、“Volume”、“Variety”、“Velocity”などのキーワードとともに、質的な側面で大きく変化していることが特徴だといえます。例えば、総務省が2012年5月に公表した「情報通信審議会 ICT基本戦略ボード ビッグデータの活用に関するアドホックグループ取りまとめ」では、データを利用する者の視点から捉えた特徴例を“高解像”、“高頻度”、“多様性”と定義。データの利用を支援する者の視点から捉えた特徴例を“多源性”、“高速度”、“多種別”としています。
 ここでは、データの量を増やすだけではなく、取得の頻度や多様性を高めることで、従来は困難だった分析や、分析に基づく対策が可能になるという視点が重視されています。“見える化”の範囲を拡大することで、マネジメントを強化できるという点が、期待が高まっている大きな要因だといえるでしょう。

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データ活用の期待が高まる
M2M通信サービス

 グーグルやアマゾンに代表されるネット関連企業、小売大手企業などの事例が報告されているものの、質的側面で大きく変化したデータの本格的な活用に着手している企業はまだ一部に過ぎません。期待と可能性を中心とした議論が活発化しているのが現状だといえるでしょう。ソーシャルメディアへの書き込みや顧客の行動を分析するといったマーケティングのみならず、政府や自治体、医療機関、企業が様々な目的で活用に取り組みはじめています。
 代表的な例として、社会インフラの整備に向けて利用が拡大しているセンサーの低価格化や機器間通信を意味する「M2M(Machine to Machine)通信サービス」が挙げられます。すでにM2Mサービスでは、カメラや各種のセンサー、GPSなどから取得した様々なデータを駆使し、自動販売機やエレベーターの遠隔モニタリング、プラント設備の異常モニタリング、構造物劣化モニタリングなどが行われています。
 一方、一企業内に目を向けても顧客情報を活用したマーケティングに加え、機密文書や環境情報、ログ、物理セキュリティー、工場設備の管理など、すでにデータ活用の領域が拡大。さらなるデータ活用の推進が、新たな価値創出や業務効率化、コスト削減の重要な施策に位置付けられています。

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データ活用を支える
データベースと高速処理技術

 企業におけるデータ活用では、これまで、RDB(Relational Data Base)を中核とした基盤の整備が一般的でしたが、データの質的側面が大きく変化する中、RDB以外のデータベースが求められるようになりました。RDBが設計の前提としていたのは、構造が明確に定義され、レコード単位の局所的な参照、更新、削除が中心の比較的レコード長の短い(数十〜数千バイト程度)データ。これに対して、最近ニーズが高まってきたのは、構造が定義されていない、あるいは多様な構造が存在する非構造化データ。10年以上前から、これらを大量に一括処理できるデータベースの開発が進められ、最近では「NoSQL/Not only SQL」と呼ばれています。
 三菱電機でも、こうしたNoSQLのコンセプトを踏襲したデータベース開発を長年に渡り推進してきました。現在では、「高性能並列情報検索技術」として、すでに様々な製品に実装。具体的には、次のようなデータベース機能を提供しています。

  • 高速集計検索エンジンAQL(Analytical Query Language)
    主な用途:ビジネスインテリジェンスにおける販売データの分析、エネルギー管理におけるエネルギー使用量の集計
  • 統合ログデータベースLDB(Log Database)
    主な用途:セキュリティー管理や内部統制における証跡の保存と検索
  • テキスト検索エンジンFTS(SISA Full Text Search)
    主な用途:メールや文書の検索、個人情報・機密情報の検索


 これら非構造化のデータベースで高速で処理するために採用しているのが、並列処理やストレージアクセス、テキストフィルタリング、異種データ統合管理といった基本技術です。例えばストレージアクセスでは、キャッシュに依存しないことで、データ量の増加に対し安定した高速性を実現するなど、独自の技術を採用しています。

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企業に求められる
自社に即したIT戦略の立案・遂行

 現在、データ活用が大きな注目を集めている理由の1つは、データ活用基盤の実用化が進んでいること。三菱電機が提供する高性能並列情報検索技術を実装した製品や大規模データの高速分散処理を実現するオープンソースソフトウェアの「Hadoop」、データをディスクに格納せずメモリ上で処理するCEP(Complex Event Processing)など、量的・質的側面で大きく変化したデータに対応できる新たな技術が実用化され、企業の現実的な選択肢になっています。
 データの量的・質的側面が変化し、それに対応できる製品や技術が実用化されたとはいえ、データ活用の主体は企業(組織)自身であり、大きな目的は新たな価値創出や業務効率の向上、コスト削減などにあります。企業は様々な情報に惑わされることなく、自社のビジネスや業務の課題に合致した解決策としてデータ活用を位置付けたIT戦略を立案し、推進していく必要があります。

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「M2M通信サービス(例)」

「M2M通信サービス(例)」
出典:「情報通信審議会 ICT基本戦略ボード ビッグデータの活用に関するアドホックグループ取りまとめ」(総務省)

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