メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

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  • エキスパートインタビュー

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2013年 4月号(No.185)
  • “正しい仕事の進め方”の強制体験がコミュニケーション活性化と
    成果を生み出すチーム作りへの第一歩

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株式会社インパクト・コンサルティング
代表取締役
倉益 幸弘 氏

コミュニケーション、目標に対する問題・課題解決、チームワークという3つの革新を通じて効果を実証してきた「インパクト・メソッド」。その考え方や特徴を探ると、コミュニケーション不全に直面している企業に求められる取り組みのヒントが見えてきます。今回は、インパクト・メソッドの構築に当初から携わり、豊富なコンサルティング実績のある倉益氏に、企業に必要な考え方や取り組みのポイントを伺いました。

倉益 幸弘(くらます・さちひろ)氏プロフィール
1956年生まれ。東京農工大学工学部卒。設備機械メーカーで10年間熱交換器の開発設計に従事。その実体験から「仕事がうまくいかないと元気が出ない」をモットーに日本能率協会コンサルティングに転職。技術KI計画の提唱者である故・岡田幹雄氏とともにその考え方に基づくコンサルティングプログラムの構築を推進し、2001年に岡田氏と共同で株式会社インパクト・コンサルティングを設立。2004年に代表取締役に就任。同社の考え方を「インパクト・メソッド」と命名し、トヨタ自動車やキヤノンをはじめ、200社以上のものづくり企業の技術部門を中心に日常マネージメント革新を支援した実績を持つ。著書に『アナログコミュニケーション経営』『“元気”な開発チームマネジメント』『開発チーム革新を成功に導くインパクト・メソッド』(いずれも実業之日本社)など。
URL:http://www.impact-consulting.jp/ (新しいウインドウが開きます)

“逆算発想”によりゴールを共有し
マネージャーとメンバーが事前に考え抜く

 「コミュニケーション革新、目標に対する問題・課題解決革新、チームワーク革新という取り組みは、マネージャーとメンバー双方の意識改革、革新が必要だという認識を共有することから始まります。ところが、“意識を変えろ”と指示するだけではメンバーの意識を変えることはできませんし、例えばコミュニケーション革新といっても、活性化したコミュニケーションを体験したことのないマネージャーやメンバーも多いため、革新に向けた知恵が生まれにくいという現状があります。今必要なのは、組織として正しいことを“強制体験”するマネージメントだと考えています」
 倉益氏は、企業がコミュニケーション不全から脱却するためにはまず、強制的な実体験を通じて、これまでの仕事の進め方が間違っていたことを実感させることが必要だと語ります。その具体的な取り組みが、模造紙と付箋に絵を描きながら協同で仕事の未来を検討する“段取りコミュニケーション”や、メンバーが「やったこと・わかったこと・次にやること(YWT)」を発表する“マネージメント状況共有会”などです。ゴールとなるアウトプットイメージを明確化することで、現状の問題点と未来の課題を抽出し、解決策や計画を立てるという流れが基本となっています。
 これは同社が“逆算発想”と呼ぶ、ゴールから全行程をさかのぼってスケジュールや業務内容を定めていく考え方です。倉益氏は、特に営業部門や間接部門ではこれまで経験していないため、「期待以上の成果が出ることもある」と指摘したうえで、企業自ら試行してみることも可能だと語ります。
 「例えば出張の前に、仮想の出張報告書を作成するという方法が有効です。具体的には、出張担当者にどんな結果を期待しているのかを書かせ、そのために何が必要になるかをマネージャーと議論して、先方に何を強調すべきかを明確にする。前提は逆算発想、未来に向けた検討の場に限定するということです。重要なのは事前に “脳みそフル回転”で考え抜くこと。負担感はかなりありますが、そこに時間をかけることで、目標が曖昧なままスタートを切る事態を回避できます」

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“吐き出し”による問題意識の共有が
革新に向けたエネルギーを生む

 インパクト・メソッドの活動推進にあたり、カギを握るのがマネージャーの果たすべき役割。1年間というスケジュールを基本とする活動は、“マネージャー研修(1日)”からスタートします。
 「まず明言するのは、仕事の新しい価値観とマネージメントスタイルづくりに挑戦しようということです。つまり、仕事の成果と同時に、人が育ち、チームが育つことを目指します。また、そのためには、仕事そのものだけではなく、人、仕事のやり方を“診て”手を打つことが必要だという点も強調します。ワイワイガヤガヤやる中で一緒に考えて、未来に対する問題・課題を浮き彫りにしてスピーディーに動いていく。それがチームワークであり、新しいマネージメントスタイルだということです」
 一方、メンバーを巻き込むうえで重要になるのが“吐き出し”と絵を描く作業です。メンバーが付箋に日頃の不平不満や問題意識を書き出し、さらにそれをマネージメントやコミュニケーションの“現実”として1枚の絵で表現する活動です。
 「絵のポイントは“明るく楽しく”することです。辛辣な不平不満を書き出した付箋を見るだけでは、チームの雰囲気が暗くなりますが、これを絵にすることで、深刻な問題も笑いながら共有することができます。その後は、これだけ吐き出したのだから、変えるしかないと、逆に革新に向けたエネルギーが生まれてきます」
 倉益氏によれば、逆算発想による仕事の進め方やマネージメントにより、部門を横断した議論が活発になるなど、目標を共有した部門間連携が強化されるケースも多いといいます。そうした成果につなげる入り口がコミュニケーション革新です。倉益氏は最後に次のように話してくれました。
 「コミュニケーションが活性化すれば、人と組織の能力発揮は最大化します。その実現のために必要なのは “正しい仕事の進め方”と“正しいマネージメント”の岩盤をつくる取り組みです。そう考えれば、顔を突き合わせた徹底的な議論が必要な場面、メールによる情報伝達で済む場面も明確になるはずです」

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コミュニケーションとマネージメント状態図の例

上の風見鶏が部長と課長で、左下に疲弊した状態で描かれているのがメンバー。両者の間には厚く高い壁があり、「自分で考えて自分で育っていけ!」「笑わず黙って黙々と」といった張り紙がマネージメントスタイルの現状を表し、壁の穴を通じたメールだけがコミュニケーション手段という現実も表現されている。

情報システム部門が描いたコミュニケーションとマネージメント状態図の例
出典:式会社インパクト・コンサルティング

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