メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • 巻頭特集

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2013年 5月号(No.186)
  • ビジネス目標の達成に貢献するIT人材育成で求められる計画策定と
    効果を生む教育施策運用のポイント

企業の競争力強化に向けて、最も重要な資源と位置付けられる人材の育成は、多くの企業に共通する経営課題だといえます。では、超高齢社会や人口減という構造変化、クラウドやソーシャルメディアといった新技術の台頭の状況のなかで、どのような人材戦略や教育施策が求められるのでしょうか。今回は、IT戦略の策定・遂行に携わる“IT人材”を中心に、企業の経営戦略やビジネス目標の達成に貢献する人材を育成するために必要な計画策定や教育施策を立案・運用するためのポイントについて考えてみましょう。

人材育成の基本は
実務を通じた個人の成長

 企業における人材育成の大きな目的は、個人の成長を通じて組織としての成果を最大化し、企業の競争力を向上させることにあります。その基本となるのは、日常業務において個人の能力を高めていくマネージメントの推進。過去の事業やプロジェクトを通じて蓄積した知識やノウハウを継承しながら、現状の問題・課題に対して社員自らが解決策を考え、部門やチームで一丸となり、実行していく取り組みです。
 一方では、新入社員に対して業務の遂行に必要な技能や知識を習得させる、リーダーとなる人材にコーチングやプロジェクトマネージメントのスキルを身につけさせる、全社員に自社のセキュリティーポリシーやコンプライアンス方針を徹底させるなど、実務を補完する取り組みも求められます。また、例えばイノベーションに代表される付加価値を創出する人材の育成に向け、そのきっかけやヒント、気づきを与える場を提供することも人材育成の大きなテーマだといえるでしょう。ここで有効になるのが、集合研修やeラーニングといった教育施策です。
 これら実務と教育施策を効果的に組み合わせるために重要になるのが、組織的な視点に基づいた計画です。人材育成の目的が企業競争力の向上にあることから、取り組みの第一歩は、自社が目指すべき姿を描き、必要な機能を明確化することです。
 ポイントは個人の視点ではなく、組織の視点から自社の実態に即した方針や有効な施策を見極めることです。組織の視点に基づいた方針が明確になっていないと、社会構造や消費者の意識、技術といった経営環境の急激な変化に対して、場当たり的な対応や一過性の取り組みに終始してしまうことになりかねません。
 具体的には、自社の経営戦略や事業戦略に合致した人材戦略の立案と、それに基づいた人材育成のフレームワークや人材育成計画の策定が必要になります。どのような人材を育成するか、育成のためにどのような施策を講じ、評価していくかというPDCAサイクルを確立するための仕組み作りです。
 情報システム部門やIT企業など、IT戦略の策定・遂行に携わる人材育成で活用できるフレームワークに「共通キャリア・スキルフレームワーク」(CCSF)があります。これは、すでに企業などで導入・活用が進んでいるITスキル標準(ITSS)、組込みスキル標準(ETSS)、情報システムユーザースキル標準(UISS)という3つの“スキル標準”を共通の構造で整理したものです(2012年6月号 No.177特集掲載)。「タスクモデル(機能一覧)」「人材モデル(職種/人材像一覧)」「スキルモデル(スキル一覧)」という3つのモデルを中核に構成されており、自社に必要な「タスク(機能)」と「スキルセット」を定義し、「人材モデル(役割)」として組み立てるという導入手順が基本となります。
 CCSF活用の目的は、現状スキルの把握や人事評価ではなく、あくまで「企業のビジネス目標達成に貢献する人材の育成」。その根底には、企業ごとにビジネスモデルや事業戦略が異なるため、人材育成は、各企業のビジネス目標達成に即したものでなければ意味がないという考え方があります。したがって、CCSFは、そのまま使うものではなく、導入企業が取捨選択、追加するなどカスタマイズを施し、自社に適した仕組みを作り上げるというアプローチが前提です。継続的な運用を通じて成果を評価し、経営戦略や事業計画を反映した仕組みとしての完成度を高めていくことが重要になります。
 また、CCSFの大きな特徴として、構築したフレームワークを維持しながら、環境変化に応じて中身を変更できることがあげられます。事業戦略の転換や新技術の台頭といった状況に直面しても、1から見直す必要がなく、柔軟な対応が可能になります。
 とはいえ、CCSFの活用では、自社の経営戦略や事業戦略をどう反映すべきか、個人の視点と組織の視点をどう融合させるかという点で、試行錯誤を繰り返している企業も多くあります。経営戦略を人材戦略にブレークダウンし、自社に適したフレームワーク構築や計画策定に反映させるには、社外のコンサルティングサービスを利用するのも有効な手段の1つなります。

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集合研修やeラーニングの成果を
実務で生かすための仕組みを構築する

 企業が、CCSFなどを活用して明確にする具体的な施策は、実務と研修という2つの側面で実施し、これらを有機的に連携させる必要があります。そのポイントは、社員が積極的に取り組めるような納得感の醸成となります。社員に“やらされ感”が強いと自主性も損なわれてしまい、大きな成果は望めません。
 例えば、現在、情報システム部門には、プログラミング技術やシステム構築技術などの基礎技術に加え、企業経営に貢献するためのIT戦略・企画立案機能の強化が求められています。そのため、話す、聞く、論理的に考えるといったヒューマンスキルが求められます。また、従来の発想を大胆に転換した提案力なども重要です。
 こうしたスキル習得のヒントやきっかけ作りに集合研修やeラーニングは有効な手段となりますが、マネージャーは、その必要性を明確に伝える、あるいは本人への期待を表明するなど、個人が自ら受講を望むような雰囲気づくりを心掛ける必要があります。また、受講した内容を実務で生かせるように指導するのもマネージャーの重要な役割です。実務で生かしてこそ、集合研修やeラーニングの価値が高まるという考え方が不可欠だといえるでしょう。
 一方、集合研修やeラーニングの運用面を考えると、IT活用が有効です。すでに、スキルレベルの現状把握や分析・評価、保有資格の登録・管理、受講履歴の管理などに対応し、適切なスキル管理の実現できるITソリューションも登場しており、現実的な選択肢になっています。


 組織の活性化や企業競争力の強化に向けては、マネージメントやコミュニケーションの革新が不可欠です。人材育成は、その実現のための重要な視点の1つといえます。企業には、社外のリソースも有効に活用しながら、自社の経営戦略や事業戦略に合致した人材戦略を自ら考え抜き、社員を育てる取り組みが求められています。

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説明図

人材育成のステップ

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