メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • カスタマーリポート

  • 導入事例
  • 2013年 7月号(No.188)
  • 菱洋エレクトロ株式会社
  • SAP ERPシステム導入事例
  • SAP ERPシステムの標準機能に
    エレクトロニクス商社特有の機能を実装し
    2度のアップグレードで経営基盤を強化

半導体製品とシステム情報機器を中心に扱うエレクトロ二クス商社として、多角的に事業を展開する菱洋エレクトロ株式会社。メインフレーム上で基幹システムを稼働させていた同社は、コンピューターの2000年問題を機にERPパッケージを導入。三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)の支援を受けて、エレクトロニクス商社に求められる機能の追加や入力負荷を軽減する独自入力画面などの工夫によってガバナンス強化と利便性向上を両立しました。その後も2度の大規模アップグレードを実施してSAP ERPシステムの適用業務を拡大。標準化された業務プロセスのもと、経営基盤の強化を実現しています。

画像:本社概観

東京・築地にある 菱洋エレクトロ株式会社本社

人物写真

経営戦略室
情報システム部 部長 
佐藤 博徳

人物写真

経営戦略室
情報システム部 次長
合田 毅

2000年問題の対応を機に
基幹システムの刷新を決断

 半導体製品を扱う専門商社として1961年に誕生して以来、エレクトロニクス業界の発展とともに事業領域を拡大してきた菱洋エレクトロ株式会社。現在は「Change,Challenge,Speed」の3つを行動指針に掲げ、「半導体」と「システム情報機器」の強みを生かした新たなサービス・ソリューションにも注力。ヘルスケアソリューションやLED照明ソリューションなども提供しています。また、1989年にシンガポール拠点を開設以来、香港、中国などにも進出し、現在はアジア8拠点でビジネスを展開しています。
 菱洋エレクトロでは、基幹システムを長年にわたってメインフレーム上で運用してきました。これを見直すきっかけとなったのが、コンピューターの2000年問題です。同社ではスクラッチ開発で構築したシステムに改修を重ねたことでシステムの複雑化が進み、もしもの障害時に迅速な対応が懸念されるようになってきました。さらに、2000年問題の対応にも多大な負荷が生じると想定されたことから、システムの刷新を決断しました。経営戦略室 情報システム部 部長の佐藤博徳氏は「選択肢は3つありました。メインフレーム上でシステム再構築、C/S型のシステム新規構築、ERPパッケージの導入について、費用対効果および将来の拡張性を重視して検討した結果、ERPパッケージの導入を決定しました」と振り返ります。
 パッケージは、将来的な機能追加やシステム変更のしやすさ、海外展開時にも対応が容易な多言語対応・多通貨対応などを踏まえて、グローバルスタンダードであるSAP ERPパッケージに決定しました。
 「プロジェクトがスタートした1998年当時は、今のようにERPパッケージに関する情報が豊富にありませんでした。そこで、社内で自主勉強会を開催し、企業全体を統合的に管理することによるメリットについての知識を身につけました。パートナー選定については、三菱電機(MDIS)が当社の業務を熟知しているだけでなく、自社にSAP ERPパッケージを導入した実績にもとづく緻密なプロジェクト推進計画を提案いただけたことが決め手になりました」と経営戦略室 情報システム部 次長の合田毅氏は語ります。

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半導体ビジネス特有の機能追加と
2度のアップグレードを着実に推進

 1998年5月からスタートしたERPパッケージ導入プロジェクトは、翌年8月にカットオーバーしました。導入したモジュールは、中核となる販売管理(SD)と在庫購買管理(MM)の2つです。システム構築でポイントになったのが、半導体ビジネス特有の業務要件の追加でした。FIT&GAP分析を行うなかでERPパッケージの標準機能ではカバーできない業務が判明したため、アドオン開発を実施しました。
 具体的な要件は、特殊な価格体系を持つ外資メーカーの価格改定への対応、仕入後でも価格の変動が生ずる取引形態への対応、販売先や発注残によって原価が異なる「受注利益管理」の対応などです。これらの機能を実装することで効率的で確実な業務処理を実現しました。
 また、新システムへのスムーズな移行と移行後の効率的な業務を実現するためにエンドユーザーの要望を極力取り入れる方針を定めました。入力画面のカスタマイズも積極的に行い、従来のシステムと同様の優れた操作性を実現しています。
 2006年にはSAP ERP Enterpriseへのアップグレードを実施し、新たに財務会計(FI)、連結会計(ECCS)のモジュールを追加し、適用範囲を拡大しました。同社独自のプロセスに基づく売掛・買掛取引に関しては、アドオン開発を行っています。さらに、データウェアハウス(DWH)のSAP BWを追加導入し、SAP ERPシステムから抽出した各種明細データを自由に加工できる環境を整備。計画系システム、情報系システム、営業支援系システムなどの周辺システムは、SAP BWを介してSAP ERPシステムと連携しています。
 さらに、2012年にはSAP ERP 6.0にアップグレード。現在も菱洋エレクトロの基幹システムとして安定稼働を続けています。2度にわたるバージョンアップに際しても、MDISが導入を支援。両社が一体となり、開発を進めました。
 「大規模なバージョンアップ作業においても、当社の業務内容とSAP ERPシステムに精通したMDISの支援によりスムーズに進めることができました。特に、2度目のアップグレードでは、1回目のアップグレードのノウハウを生かせただけでなく、MDISが提案した移行ツールを活用することで1年未満の短期間で完了することができました」(合田氏)

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業務の標準化・可視化により
ガバナンスの強化を実現

 菱洋エレクトロでは、SAP ERPシステムの導入によって様々な成果を挙げています。「2度のアップグレードで業務に適した使いやすい基幹システムが構築できたことを実感しています」と佐藤氏が語るように、業務の標準化と効率化を実現。ホスト環境ではバッチ処理の都合で限定されていたシステム稼働時間が、大幅に延長されました。また、ベテラン社員に依存していた複雑な受発注業務が標準化されたことで、恣意的な処理が行われるリスクが解消され、ガバナンスの強化が実現しています。
 また、会計業務の効率化により、決算早期化が促進されました。SAP ERPシステムのデータは、いつでも取り出せる形でDWHのSAP BW内に蓄積されているため、帳票の電子化が進み、情報の活用レベルも向上しています。
 システム面においても可用性が確保され、運用コストの削減が実現したことも見逃せません。合田氏は「メインフレームと比較すると、運用工数は約50%削減できました」と効果を語ります。

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海外拠点のアップグレードを進め
グループ一体の経営基盤確立へ

 先駆的なERP導入から約15年。菱洋エレクトロでは、SAP ERPシステムを活用することで、企業競争力強化を推進してきました。今後は、海外拠点に導入済みのSAP ERPシステムのアップグレードと、管理の一元化を進めていく計画です。
 同社は、シンガポール、香港、中国、タイの拠点にすでにSAP ERPシステムを導入していますが、これらは拠点ごとに構築・運用されています。
 「将来的には国内と同一のIT基盤上に海外拠点のSAP ERPシステムを統合することで、経営効率を高めるとともにグループ全体のガバナンスを強化していくことを検討しています。MDISのプロジェクトの進め方は着実で、安心感がありました。グローバル統合についても引き続き提案を期待しています」と佐藤氏は語ります。
 菱洋エレクトロは、最適なサービス・ソリューションを提供する“トータルサービスカンパニー”の実現に向けてさらなる成長を続けていきます。

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システム構成イメージ

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