メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • 巻頭特集

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2013年 8・9月号(No.189)
  • ユーザー企業が理解しておくべきオープンソースソフトウェア(OSS)の
    基礎知識と導入のポイント

グーグルやアマゾンといったインターネット関連企業のみならず、国内でも首相官邸ホームページや東京証券取引所での導入が話題になったオープンソースソフトウェア(OSS)。ユーザー企業のニーズや関心、導入意欲は確実に高まっています。ところが、実際には積極的に導入を進めている企業はまだ一部にとどまっています。その理由はなぜでしょうか。今回は、OSSの現状や有効性を踏まえ、導入のポイントを整理してみましょう。

日本国内においても
関心が高まるOSS

 オープンソースソフトウェア(OSS)とは、ソースコードが公開され、誰もが自由に利用・改変・再配布を行うことができるソフトウェアの総称です。誰もが自由に利用できるということでは、フリーソフトウェアやPDS(Public Domain Software)があり、OSSも一部共通の特徴を備えていますが、OSSの普及を推進する非営利団体のOSI(The Open Source Initiative)では、ソースコードで頒布されること、再頒布が自由であること、技術的に中立的であることなど、10項目からなる定義をOSD(The Open Source Definition)として公開。OSDに準拠したソフトウェアにOSI認定マークを付与しています。
 OSSが広く注目を浴びるようになったきっかけは、1991年にUNIXの互換OSであるLinuxが登場した頃だといわれています。その後、ファイルサーバーのSambaやWebアプリケーションサーバーのTomcat、さらにはクラウド基盤を構築するOpenStackや大規模データを効率的に分散処理・管理するHadoopなどが注目を集めるなど、ミドルウェアの領域でもOSSが相次いで登場。また、データベース管理や運用管理、ネットワークやセキュリティーなど、多様な分野にOSSが利用されるようになり、企業におけるミッションクリティカルな分野への導入が進みました。
 調査会社のIDC Japanが2013年4月に発表した「国内オープンソースソフトウェア利用実態調査結果」によれば、ユーザー企業におけるOSSの導入率は25%、従業員5,000人以上の企業では37.2%に達しています。また、「試験的に導入している」「導入に向けて検証している」「これから導入の検討をしていく」と回答した企業も全体の約4分の1に達しており、ニーズや関心が高いことを示しています。

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OSSのメリットと
導入のポイント

 ユーザー企業がOSSを導入することで得られるメリットは、大きく次の3つに整理できます。
導入コストの削減
多くのOSSは無償で提供されており、ユーザー数に応じたライセンス料も不要など、商用製品と比較して、大幅なコスト削減効果が期待できます。
開発スピードの向上
用途別に豊富なOSSが提供されているため、特にスクラッチ開発と比較すると、格段に開発スピードの向上を図れます。
修正・改良の迅速化
ソースコードが公開されており、開発者が自ら修正できるのがOSSの大きな特徴。バグ修正を含むトラブル対応やカスタマイズ、機能の追加などを迅速に行えます。

 このほか、グーグルやアマゾンに代表されるインターネット関連企業が積極的にOSSを活用。これまでになかった新たな価値を迅速に顧客に提供するためのインフラとしてOSSに着目する企業も増えています。
 OSSの多くは、世界中の技術者が参加するコミュニティーが形成され、開発が進められています。技術者が対等な立場で参加して議論や情報交換を行い、開発や改良を進めるという“オープン性”や“透明性”の高いアプローチが特徴です。開発や修正には多くの技術者がソースコードのレベルで検証した結果が反映されるため、ユーザー企業にとって必要な機能の追加や品質の向上、強固なセキュリティーの確保が実現できるというわけです。ユーザー企業にとっては、こうしたリソースを有効に活用し、特定ベンダーの製品や技術に依存することなく情報システムを構築できるのもメリットだといえるでしょう。
 企業の関心が高く、様々なメリットがあるOSSですが、それでも実態としては、すべての企業が積極的な導入を進めているわけではありません。導入が促進されない理由はどのようなものでしょうか。
 代表的な理由として、OSSの導入におけるコストメリットは理解しているが、自社で管理できる人材がいない、OSSの信頼性やITベンダーのサポートに不安があるなどが挙げられます。
 このような場合、例えば、OSSのガイドラインを設けており、信頼性の高いOSSを厳選して提案するベンダー、設計・構築・運用保守までトータルに対応できるベンダーを選択することが、1つのポイントとなります。
 コスト的な側面からは、初期費用だけでなく、運用費用にもしっかりと目を向けておく必要があります。初期費用が抑えられることは大きなメリットですが、その後の運用費用が想定以上にかかってしまった例もあります。運用を含めたシステムライフサイクル全般の費用で検討することが求められます。

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膨大な数にのぼる
OSSライセンスの種類

 自由に利用できることが前提のOSSですが、利用や修正、再配布にあたっては、著作権を持つ開発者が定めた条件(OSSライセンス)に従う必要があります。代表的なOSSライセンスは、GPL(GNU General Public License)やBSD(Berkeley Software Distribution License)、CDDL(Common Development and Distribution License)などがあります。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2010年5月に公開した「OSSライセンスの比較、利用動向および係争に関する調査」によれば、OSSライセンスは「現在100以上存在しているといわれている」ほどの数にのぼりますが、定められた条件の厳格性により、@コピーレフト型、A準コピーレフト型、B非レフトコピー型、という3つに分類できるといいます。
 コピーレフトとは、著作権(コピーライト)に対する造語で、「著作物の共有と著作者の権利保護を目的とする概念」(GPLv3 逐条解説/IPA)です。従来、著作物の利用や修正の自由を保証するには、著作権を放棄するのが一般的な手法でした。一方著作権は著作者の権利を保護すると同時に、著作物の独占的な使用につながっていました。これに対してコピーレフトは、著作権者が権利を保有したまま、利用者に自由を与えるという概念だということになります。
 このコピーレフトの概念の適用状況に応じて分類したのが、@〜Bのカテゴリー。先ほど代表例として挙げたGPLはコピーレフト型、CDDLは準コピーレフト型、BSDは非コピーレフト型に該当します。また、分類基準は、次の2つに整理されています。
 ・ ソフトウェア利用者に対して、利用者がソースコードを改変した際に、改変部分のソースの開示までを義務づけるかどうか
 ・ ソフトウェア利用者がソースコードを他のソフトウェアのソースコードと組み合わせた際に、他のソースコードの開示までを義務づけるかどうか

   (出典:「OSSライセンスの比較、利用動向および係争に関する調査」)
 コピーレフトの概念をどこまで厳格に適用するかのみならず、OSSライセンスは、ライセンスごとに基本的な考え方や制限項目などが大きく異なります。ユーザー企業は専門知識の豊富なITベンダーの協力なども得ながら、導入するOSSのライセンスも理解しておく必要があります。

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IT 技術の方向性とOSS

IT 技術の方向性とOSS
出典:OSS 基本知識の学習オリエンテーション調査報告書概要版
(独立行政法人 情報処理推進機構)

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