メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • エキスパートインタビュー

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2013年 8・9月号(No.189)
  • OSS導入を成功に導く必要な機能や品質を見極めた
    正攻法のアプローチ

人物写真

オープンソース・ソリューション・テクノロジ株式会社
代表取締役 チーフアーキテクト
小田切 耕司 氏

企業のミッションクリティカルな領域でも導入されているOSS。多くのユーザー企業が導入や運用にあたり、サポートに対する不安や技術者の不足を懸念材料に挙げます。OSSは、ソースコードレベルで修正や改良を加えることのできる点が大きなメリットの1つですが、ユーザー企業はOSSをどこまで技術的に理解し、どのような取り組みを重視すべきなのでしょうか。今回は、OSSの技術力やノウハウを強みに事業を展開し、多くの企業を支援してきた実績を持つ小田切氏に、ユーザー企業が理解しておくべきOSSの知識や導入のポイントを中心に伺いました。

小田切 耕司(おだぎり・こうじ)氏プロフィール
1985年3月早稲田大学理工学部電気工学科卒業。同年4月三菱電機 計算機製作所に入社し、メインフレーム (汎用機)、UNIX、Windows のトランザクションモニタやデータベースなどミドルウェア開発に従事。また、OSF/DCE の大規模ディレクトリサービスや分散ファイルシステムの研究を行い、大規模ディレクトリサービス設計コンサルティングなども経験。2006年9月 オープンソース・ソリューション・テクノロジ株式会社を設立、代表取締役社長就任。オープンソースを活用した統合認証基盤製品やシングルサインオン製品のコンサルティング、サポート・サービスを提供している。OpenAMコンソーシアム 理事 副会長 。OSSコンソーシアム 理事 副会長。
URL:http://www.osstech.co.jp/ (新しいウインドウが開きます)

ユーザー企業が着目すべきは
機能や品質の飛躍的な向上

 「低コストで導入できる、開発スピードが速いというOSSのメリットに多くの開発者が着目したのは間違いありませんが、OSSが普及した大きな理由は、機能や品質が商用製品と同等のレベルまで成熟したことにあります。つまり、ユーザー企業が目的を実現する手段として、有効な選択肢に位置付けられるようになったということです。ただし、機能や品質面で成熟したとはいえ、すべてのOSSが優れているとまでは言い切れません。そこで私どもは、機能と品質の優れたものだけを選び、提案することを重視しています」
 小田切氏はまず、Linuxの登場をきっかけに注目されるようになったOSSが広く普及した要因として、機能や品質の飛躍的な向上があったことを理解すべきだと話します。一般的にユーザー企業は、OSS導入におけるコストメリットは理解しているものの、自社の技術力を懸念して導入に踏み切れないケースが少なくありません。小田切氏は、ユーザー企業は実現したい機能を明確化することに注力すべきだと指摘します。
 「ソースコードを読み、ソースコードのレベルで修正や改良を加えるのは、私どもITベンダーの役割だと考えています。つまりユーザー企業にとって重要なのは、OSSと商用製品のどちらを選ぶかではなく、自社にとってどのような機能や品質が必要なのかを明確にすることから始めるアプローチです。ユーザー企業は、これらの要件に対するITベンダーの提案を受け、その時点でコストや品質を比較し、導入を判断するべきでしょう。また、コスト的な制約を優先し、機能や品質を度外視してOSS導入を決断するのは失敗のリスクが高く、避けるべきです」
 ユーザー企業が注力すべきは、事業戦略やIT戦略を策定するという正攻法のアプローチ。低コストなのでOSS、サポートが不安なので商用製品を選択するという考え方から脱却する必要があるということです。

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ソースコードを的確に修正できる実績が
ITベンダー選定の重要な指標の1つ

 ソースコードが公開され、利用者が自由に修正できることで、機能の追加や改良を迅速に行えるのが、企業がOSSを導入する大きなメリットの1つ。ユーザー企業は、それに対応できる技術力を見極め、ITベンダーを選定する必要があります。それでは、その選定基準では何を重視すべきなのでしょうか。
 「弊社が手掛けるビジネスでは、お客様が求める要件に対して、例えばSambaにウイルスチェックや動画閲覧制限機能などをアドオンで開発するケースがあります。OSSに関する技術力を判断する重要な指標は、ソースコードに的確な修正を加えることができるスキル、その修正を開発元のコミュティーに納得させ、反映させるコミュニケーション力ではないでしょうか。OSSでは、誰がどのような修正を施したかという履歴も残りますから、そうした実績を判断材料の1つにしてほしいと考えています」
 ソースコードを的確に修正できる技術力とともに重要なのが、OSSによって異なるライセンスなどの専門的な知識。小田切氏は、ITベンダーのエンジニアに、ライセンスに関する詳細な知識が不可欠だと強調します。
 「OSSでは技術とライセンスの結びつきが非常に強いため、従来のように法務部門に任せるのではなく、エンジニアが十分に理解することが必要です。具体的には、例えば、GPLライセンス製品とBSDライセンスや商用ライセンス製品と組み合わせパッケージを作成する場合はスタティックリンクは利用できないが、ダイナミックリンクなどを使えば問題ないということがあります。ITベンダーは、ライセンス違反がないことを前提に、あくまでユーザー企業の成長を支援するという考え方から、エンジニアと法務部門が連携できる体制づくりを進めるべきだと思います」
 こうした専門的な技術力やノウハウ、知識を強みにビジネスを展開するのが、小田切氏が代表取締役を務めるオープンソース・ソリューション・テクノロジ。最後に小田切氏は、同社の重点戦略を紹介しながら、ユーザー企業に対して次のようなメッセージを発信してくれました。
 「クラウドコンピューティング環境の普及が加速し、既存のオンプレミス環境のイントラネットシステムとクラウドをシングルサインオンできないか? と多くの企業が検討し始めています。また、近年イントラネットをはじめとするオンプレミスのシステムをクラウドへ移行するケースも増えてきています。基幹系も例外ではありません。現在弊社が注力している分野の1つが、こうしたイントラネットとクラウドが混在した環境を前提にシングルサインオンを実現する認証技術です。機能や品質が成熟した現状において、ユーザー企業には、コスト削減や開発スピードの向上といったメリットに着目し、企業力強化の選択肢の1つとしてOSSを検討してほしいですね」

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説明図

オープンソース・ソリューション・テクノロジが現在注力している製品群
出典:オープンソース・ソリューション・テクノロジ

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