メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • 巻頭特集

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2013年 11月号(No.191)
  • 組織的な営業力の強化に向けたプロセスマネジメントの重要性と
    IT活用のポイント

景気が「緩やかに回復しつつある」(政府の9月月例報告の景気判断)とはいえ、企業の成長戦略では、顧客の価値観の変化や多様化、少子高齢化と人口減に伴う市場の縮小といった環境変化への対応が不可欠です。ここで重要になる経営課題の1つが営業力の強化。企業は環境の変化にどう対応し、ITをどのように活用すれば、営業力を高めていけるのでしょうか。今回は、組織的な営業力の強化という視点から、プロセスマネジメントの必要性や重要性、IT活用のポイントを考えてみましょう。

結果を管理するだけでは
営業力を強化できない

 企業の成長を考えるうえで、ビジネスを支える各部門の組織力の強化が不可欠です。ここで多くの企業が重要性を認識している取り組みの1つが、顧客との接点となる営業力の強化です。「中小企業白書 2013」によれば、重視する経営課題は「コストの削減、業務効率化」(71.0%)に次いで、「営業力・販売力の維持・強化」(60.6%)、「新規顧客の獲得」(47.2%)となり、営業に関わる課題が上位を占めています。
 営業力の強化に向けては、顧客の価値観の変化や多様化に加え、社会構造の変化にも着目する必要性があります。国立社会保障・人口問題研究所によれば、日本の総人口は長期の減少過程に入り、2048年には9,913万人と1億人を割り込み、2060年には8,674万人(約30%減)になると推計されています。多くの企業が、市場規模が縮小する中で営業力をいかに高めていくか、模索しているのが現状だといえるでしょう。
 一方では、スマートデバイスの普及により、モバイル環境での操作性や利便性が向上したことで、多くの企業が営業活動での活用を開始。すでに数千台や数万台規模で、全営業職員にタブレットを配布する事例が報告されるなど、営業力強化に向けた取り組みを推進する企業が増加しています。
 このように営業力の強化を図るうえでの原点となるのが、まず現状の課題を認識することです。今回のエキスパートインタビューにご登場いただいた野部剛氏によれば、多くの企業に共通する営業部門の課題は、受注という結果だけを管理し、営業マネジャーが担当者を叱咤激励するだけにとどまっていることだといいます。“やる気”や“気合い”といった精神論のみを重視するだけでは、受注できなかった理由も明確にできないため、次の一手を講じることができないというわけです。

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営業活動の全体像を把握し
曖昧さを排除することが重要

 野部氏が代表取締役社長を務めるソフトブレーン・サービスは、こうした課題解決に向け、「ソリューション営業」「プロセスマネジメント」「マーケティング」という3つの柱により、営業に特化したコンサルティングサービスを提供しています。3つの柱を構成する各用語は、いずれも顧客志向や組織力の強化という観点で、以前から重要性が指摘されてきましたが、一面的な対策にとどまる、重要性は理解できても実践の方法がわからないなどの理由から、営業力の強化につながらないケースも少なくありませんでした。これに対して同社の大きな特徴は、常に3つの柱を一体化させた全体のフレームワークを根幹としていること、実践や仕組みづくりに活用できる豊富なツールを用意していることにあります。
 3つの柱を常に一体化させる理由は、同社が“営業とは事業を営むこと”と定義する営業活動の全体像を明確にした取り組みを重視していることにあります。例えばソリューション営業は、お客様のニーズを満たした結果、自社の製品やサービスを選んでもらうという双方向の営業手法です。同社が提唱するプロセスマネジメントは、このソリューション営業を前提に、営業活動をプロセスに分解して標準化し、目標(Goal)達成に向けたPDCA(G-PDCA)を回していく仕組みです。そのベースに、どういうターゲットに、どの商品やサービスを、何を強みに提供するかというマーケティングが位置付けられているというわけです。
 もう1つの特徴である実践や仕組みづくりに活用できるツールとは、メンバー全員が1枚のシートで目標、課題、行動、進捗状況を明確化し共有できる「セールス標準プロセス&マネジメント」やトップセールスマンのソリューション営業のやり方を行動分解して標準化し、トークスクリプト(話の流れをあらかじめシナリオのような形で定義した手順書)レベルまで落とし込んだ「5ステップ70スキルシート」などです。常に全体像を意識しながら、曖昧さを排除した取り組みを実現できるのが特徴だといえるでしょう。

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プロセスマネジメントのカギは
営業マネジャーの役割認識と行動

 組織的な営業力の強化でカギを握るのが営業マネジャーです。ここで同社が提唱する仕組みづくりや考え方に基づき、営業マネジャーに求められる役割を整理してみましょう。
 まず、営業マネジャーが認識すべき役割は、受注や売上という結果を管理することではなく、「結果(=会社の利益)を最大化すること」と、「そのための課題を認識し、解決すること」と定義。具体的には組織目標を達成するために必要な計画を立て、実行することです。
 組織目標の達成や結果の最大化を実現するためには、実行の過程で直面する課題を明確にし、対策を講じていくことが不可欠です。営業マネジャーは、この過程で部下を育成し、組織的な営業力を高めていくというマネジメント本来の役割を認識し、行動につなげていく仕組みづくりを進めるという役割を担います。
 プロセスマネジメントの基本は、「分解」=「分ければ解る」という考え方。実際の分解作業では、次のような商談プロセスと面談ステップを考える必要があります。

<商談プロセス>

 対象先リストアップ→初回面談→要望確認→提案・見積提示→最終調整→契約(受注)→アフターフォロー

<面談ステップ>

 事前準備→アプローチ→ヒアリング→プレゼンテーション→クロージング

 プロセスを分解した後には、各プロセスの実績を計測し、数値化することが求められます。ここで重要になるのは、売上高や利益率、成約件数といったKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)ではなく、KPI(Key Performance Indicator:業績評価指標)の設定です。具体的には、引き合い案件数や顧客訪問回数、成約率、解約件数など。これらを正確に計測することで、どのプロセスに課題があるかを見極めるというのが基本的な流れです。

 ソフトブレーン・サービスが重視するのは、営業活動の「型」づくり=標準的な仕組みづくりや数値化した様々な指標を設定したマネジメントの推進です。例えば、営業のスキルそのものを数値化するSPI(Synthetic Personality Inventory:営業生産性指数)の公式など、これまで曖昧だった判断基準を数値化(指標化)することを推奨しています。メンバー全員が必要な情報を共有し、行動につながる、自社に即した標準的な仕組みづくりという視点に基づけば、スマートデバイスの活用方法なども明確になり、成果の最大化に貢献するということです。

SPI(営業生産性指数)の公式

※本記事の一部は、エキスパートインタビューにご登場いただいた野部剛氏への取材をベースに構成しました。
 参考文献:
 『成果にこだわる営業マネージャーは「目標」から逆算する』『90日間でトップセールスマンになれる最強の営業術』『これだけ!Hou Ren Sou報連相』(いずれも野部剛著)

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営業力強化の取り組みで活用できるフレームワークやツールの例

営業力強化の取り組みで活用できるフレームワークやツールの例
出典:ソフトブレーン・サービス株式会社

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