メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • 巻頭特集

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2013年 12月号(No.192)
  • 健康寿命の延伸に向けた医療・介護の制度改革の方向性と
    情報基盤に求められる要件

2014年4月に実施される5%から8%への消費増税は、毎年1兆円規模で増大する社会保障費の財源確保が目的です。とはいえ医療・介護分野では歳出削減が不可欠です。“健康寿命の延伸”や“地域包括ケアの推進”をキーワードに制度改革が推進されているなかで、健康に対する意識は高まっており、健康志向や予防医療という分野は民間企業にとっても大きなビジネスチャンスだといえます。今回は、政府が推進する制度改革、民間企業が推進する事業戦略という2つの側面から、医療・介護分野で重要になる成長戦略の考え方、IT活用のポイントについて考えてみましょう。

歳出削減を大命題に
地域完結型へと進む医療・介護制度改革

 政府が実行に着手し始めた成長戦略(日本再興戦略)では、「健康寿命の延伸」が重要なテーマの1つに位置付けられています。背景にあるのは、高齢化に伴う医療・介護費の増大です。2014年4月に8%に引き上げられる消費税(2015年10月に10%を計画)の増税分はすべて社会保障分野に振り向けられるとはいえ、医療・介護費の歳出抑制は財政再建に不可欠の取り組みとなっています。成長戦略が示した2030年のあるべき姿は、「医療・介護の需要をできる限り抑えつつ、より質の高い医療・介護を提供する」ことで「予防から治療、早期在宅復帰に至る適正なケアサイクルの確立」を目指す社会像です。
 こうした戦略を実行する際のベースとなるのが、2013年8月に公表された「社会保障制度改革国民会議報告書」です。同報告書は、“確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋”を副題に、医療・介護、年金、福祉、子育てなどの制度改革の方向性を示したものです。医療・介護分野では、「病院完結型」から「地域完結型」へのシフトという観点から、医療・介護連携や地域包括ケアシステムの構築を推進すべきだという方針が盛り込まれています。
 医療・介護連携や地域包括ケアシステムの構築では、自治体や医療機関が連携するための情報基盤整備とIT活用が不可欠となります。その施策をITの観点から明確化したのが、2013年6月に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」。「医療・介護等に関わる多様な主体が情報連携を行う仕組みの普及」や「医療・健康情報等の各種データの活用推進」といった方向性が示されました。
 また、医療費削減という観点では、厚生労働省が、後発(ジェネリック)医薬品の使用促進を図っています。例えば広島県呉市では、後発医薬品に切り替えることで診療費(薬価)を削減できる“差額通知”の発行により、3年間で7,000万円以上の費用対効果を創出。今後のさらなる使用促進に向けては、後発医薬品データベースの整備や安定供給が期待されています。

▲ ページトップに戻る

健康寿命の延伸で重要性が高まる
“ライフサポートビジネス”

 政府の成長戦略にある「健康寿命の延伸」という方針は、民間企業にとっては大きなビジネスチャンスと捉えることができます。本誌10月号の巻頭特集「超高齢社会への対応により生み出される新たなビジネスチャンスとIT活用のポイント」でも紹介したとおり、総務省の「ICT超高齢社会構想会議報告書」では、健康寿命の延伸に向けた「ライフサポートビジネスの創出」が大きな柱の1つとなっています。すでに多様な業種で多くの企業が買物や配食、見守りといった生活支援サービスを重視した事業を展開しているほか、少子高齢化で縮小する国内市場では、“健康志向”が重要なキーワードに位置付けられています。
 例えば食品メーカーでは、特定保健用食品(トクホ)や機能性の高い食品が収益向上に大きく貢献。政府の成長戦略でも、食品の機能性表示が2014年度中にも緩和する方針が明記されるなど、食品市場全体が縮小傾向にあるなか、今後の市場拡大が見込まれています。
 また、コンビニ業界でも、健康志向の事業展開が加速しています。例えばセブンイレブンが、健康に配慮した食事の宅配サービスを展開しているほか、ローソンが“マチの健康ステーション”をキャッチコピーにした健康食品の取り扱いを拡大、ファミリーマートは保険薬局を併設した複合店舗を増設する計画です。
 一方、一般用医薬品(OTC薬)のネット通販について今後の動向が注目されています。実店舗を構えるドラッグストアはもちろん、家電量販店や流通大手、ネット通販専業大手など異業種からも多くの企業が参入を検討。国内市場で“健康志向”の重要性が高まっていることを裏付けています。

▲ ページトップに戻る

“連携”で求められる
個人情報の安全な管理

 健康寿命の延伸に向けた政策、民間企業の事業戦略に共通するのは、“連携”が成否のカギを握るということです。政策で重視する地域包括ケアでは、自治体と介護施設、病院や保険薬局などの医療機関、患者・住民という関係者間で医療・介護・健康分野のデータを共有・活用するための医療情報連携基盤の整備が大きな柱です。総務省では、その実現に向けた具体的な施策として、次のような内容を示しています。

(ICT超高齢社会構想会議報告書)
 全国展開に向けて必要となる技術検証や運用ルールの確立等に関する実証
 低廉なシステムの在り方に関する検証
 医療・介護間で共有すべき情報の特定
 介護分野におけるデータやシステムの標準化
 在宅におけるモバイル端末やセンサー技術等の活用方策の明確化
 持続的な運用を担保する仕組みの検討

 一方、民間企業の事業戦略では、コンビニやドラッグストアと保険薬局の提携など、多くの企業が相乗効果による付加価値の向上を目指した異業種連携の重要性に着目しています。そこでは異業種企業や行政と情報・ノウハウを共有し、質の高いサービスを低コストで提供する成長戦略が求められています。 1企業にとどまらないその戦略実現にはIT活用が不可欠であり、CIOや情報システム部門にも大きな役割が期待されています。
 また、1企業にとどまらない情報連携を推進するためには、安全性の確保が不可欠です。特に病院・診療所、保険薬局といった医療・介護機関では、カルテやレセプト(診療報酬明細)など、個人のプライバシーに関わる情報を扱うことから、安全管理の徹底が求められます。
 こうした医療・介護関係事業者が個人情報を適切に取り扱うための指針に「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(最新版は第4.2版)があります。同ガイドラインでも、医療情報連携に伴う個人情報保護は重要テーマの1つ。「外部と個人情報を含む医療情報を交換する場合の安全管理」「電子媒体による外部保存をネットワークを通じて行う場合」などの安全基準を示しています。

▲ ページトップに戻る

医療情報連携基盤の全国展開

医療情報連携基盤の全国展開
出典:「ICT超高齢社会構想会議報告書」(総務省)

▲ ページトップに戻る