メルトピア

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三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • デジタルカメラ活用テクニック

  • Vol.57
  • 2015年 1・2月号(No.203)
多重露光によるソフトフォーカスで、表現力を磨く

ソフトフォーカスの中に
シャープなイメージを埋め込む

 ソフトフォーカスとは、レンズの前に白い紗(薄く透き通る織物)などを被せて焦点をぼかし、やわらかいイメージに仕上げる撮影法です。映像の世界では古くからよく使われている表現であり、映画のシーンなどで思いあたるシーンがあるのではないでしょうか。もし単純なソフトフォーカスを試したければ、白い紗をレンズに被せて撮影すれば良いのですが、こうすると画像全体がぼけてしまい、なかなか思うようなイメージに仕上がりません。そこで、今回ご紹介するのは多重露光を使った高度なソフトフォーカスの撮影です。これは焦点の合っているシャープなイメージと、焦点が合っていないソフトなイメージを合成させることで、効果を得るものです。写真1のような、雰囲気のある写真撮影のポイントをお話しします。

同じ被写体の画像を合成することで
美しい「ボケ」が生まれる

 今回の撮影には、多重露光の機能を備えたカメラと、同じ被写体を動かないようにして2枚撮影するため、三脚を準備します。写真2をご覧ください。これは黒い布の上に置いた白いマグカップを、三脚で固定したカメラで撮影したものです。写真3は、同じマグカップをあえて焦点をぼかして撮影したものです。この2枚をカメラの多重露光機能で合成したものが写真4となります。ご覧のように、シャープに写ったカップの周りに、白く浮かび上がった美しい「ボケ」が生まれました。レンズの前に紗を被せるだけでは、このような美しい効果は生まれません。市販のソフトフォーカス用のフィルターでも同様です。ところが多重露光を使うと簡単にできるのです。この効果をポートレートに適用したのが写真1です。セーターや顔の輪郭には、柔らかい「ボケ」が見えますが、目、鼻、口などはシャープに写し出されています。全体的にボケた写真とは異なり、硬軟織り交ぜた、上質な表現となりました。
 今回の撮影のポイントは、合成用の「ボケ」た写真を撮影するときには、ピントのリングをより接写側に回すことです。こうすることでボケのイメージに広がりが生まれます。また画像を合成することで、写真自体が少し明るくなるので、露出補正を−1くらいにして、1枚の合成用の写真を撮るときれいに仕上がります。

撮影・文:中原義夫(Bubio Studio)

撮影例

写真1: 多重露光のソフトフォーカスで、ポートレート撮影。暗い背景でモデルを撮影。目、鼻、口などはシャープに写し出されているが、セーターや顔の輪郭など白く明るい部分は柔らかく広がるイメージに仕上げることができた。レンズ80mm(35mm 換算) 1/1000秒 F1.8 ISO 800

撮影例

写真2: 黒い布の上の白いマグカップを撮影したもの。80mm(35mm 換算) 1/125秒 F4 ISO 3200

撮影例

写真3: 写真2と同じマグカップを、あえて焦点をはずして撮影したもの。80mm(35mm換算) 1/125秒 F4 ISO 3200

撮影例

写真4: 写真2と写真3の多重露光の合成イメージ。黒い背景に白く明るい部分が浮かび上がっているのがわかる

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