メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • 巻頭特集

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2014年 6月号(No.197)
  • 経営戦略に合致した人的資源の
    採用、配置、発掘、育成を実現する
    人材マネジメントにおけるIT活用のポイント

グローバル化、人材の多様化、雇用延長、現地雇用など、法制度の改正を含めた労働環境が大きく変化する中で、企業の人事部門に求められる役割が大きく変わってきました。その1つとして挙げられるのが、一括採用・終身雇用時代のマス管理から、様々な属性を持った社員1人ひとりをきめ細かく把握する個別管理へのシフトです。ビジネス環境の変化に対応した人事を行うため、日本企業でも人材マネジメントシステムの導入が進んでいます。今回は、人材マネジメントシステムの概要、必要になった歴史的な背景、そして従来の人事システムとの違いなどを解説します。

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人員配置の最適化を実現する
人材マネジメントシステム

 日本企業の人事において、「人材(タレント)マネジメントシステム」を導入する動きが活発になっています。人材マネジメントとは、企業の経営戦略に合わせて適切な人材を採用、配置、発掘、さらには育成することです。もちろん、こうした人材の活用は、従来から人事部門の基本的な役割の1つですが、ビジネス環境が激動する現在において、人材に対して、より高度なマネジメント機能が求められるようになりました。そして、これを実現するためのITソリューションが人材マネジメントシステムです。このシステムでは、まず自社の抱える人材の能力やスキル、経験、業績など、様々な情報をデータベース化。そして、データベースならではの機能を駆使して、人材情報を分析・可視化することで、従業員の能力最大化、人員配置の最適化を実現するとともに、経営戦略の立案・実行を支援します。

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ビジネス環境の変化により
複雑化が進む人事部門の業務

 人材マネジメントシステムが注目されている背景には、人事を取り巻く環境の変化があります。1980年代まで、日本では大企業のホワイトカラーの男性を中心に終身雇用が普及していました。新卒の一括採用、年功序列や職能資格制度といった人事制度は、右肩上がりの経済の中では有効に機能していました。従業員は部署を変えず比較的長く働くことが多く、異動は定期的なローテーションが中心でした。このため人事部門の役割も「勤怠・給与管理」「労働基準法や社内規定の順守」といった、どちらかといえば守りの側面が強かったといえます。
 1990年代になるとバブル経済の崩壊をきっかけに、日本企業の人事は変革期を迎え、早期退職・成果主義・中途採用・選抜人事といった新しい制度の導入が進みました。
 そして21世紀に入ると、「グローバル化」という大きな波が押し寄せます。経済のグローバル化に対応するため、企業は経営の大幅な効率化と意思決定のスピードアップを進めています。人事においても、各個人の能力や特性に応じた人材の最適な配置や育成を進める必要性が高まりました。グローバル化は、海外現地法人での採用と育成、国内での外国人社員の登用といった新たなマネジメント項目も生みました。これに加えて、「雇用延長」「女性の活用」「働き方の多様化」「後継者育成」「従業員の心のケア」といった課題にも対応しなければなりません。人事を取り巻く環境は、かつての一括採用・終身雇用の時代と比べて、大幅に複雑化しています。
 現在の人事は、入社年次や役職・等級といった従来の分類によるマス単位の管理から、社員1人ひとりの個性や能力をきめ細かく把握する個別管理へと大きく変わってきています。こうした膨大な情報を効率的に扱うには、ユーザニーズに対応したITの活用が有効な手段となってきます。

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適切な情報提供部門としての
役割が求められる人事部門

 現在の人事部門には、従来の管理業務に加えて「全社戦略に関わる経営のビジネスパートナー」「現場のマネジメント支援者」「人材開発・組織開発のエキスパート」といった役割が期待されています。
 経営層は、戦略立案や意思決定のために、人材リソースに関する、迅速かつ正確な情報と多角的な分析を必要としています。現場のマネジメントは、部下の能力を引き出すために、過去の実績やスキル、現在の状況や考え方などをできるだけ詳細に把握したいと考えています。さらに、現場で働く従業員は、成果を上げるために社内で活用できるリソースや、今後のキャリアアップに何が必要かといった情報を知りたがっています。多様な社内ニーズに対応するためには、人材の詳細な情報をリアルタイムに把握し、オンデマンドで提供しなければなりません。人事部門がこうした役割を果たすための武器として、人材マネジメントシステムが注目されているのです。

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従来型の人事情報システムとは異なる
人材マネジメントシステムの要件

 多くの会社には、すでに人事情報システムが導入されていますが、従来型のシステムの多くは、現在の人材マネジメントのニーズに対応できていないのが現状です。これまでの人事情報処理と人材マネジメントでは、システムに求められる要件が大きく異なるからです。
 従来の人事情報システムの多くは、給与処理のような定型業務を効率的に処理することを目的に作られています。また、制度や法改正を除けば、一度構築したシステムを改変することは少なく、なにより安定性・低コストが重視されます。
 これに対し、人材マネジメントシステムは、業務の質の向上とマネジメント支援を通じて、競争優位性を生み出すことを目的とする戦略ツールです。そこには、他社と異なる自社のもつ独自性やニーズの変化に応じた素早い対応が求められます。
 ユーザー層にも違いがあります。従来のシステムは、一部の人事担当者だけが使うものでした。しかし、人材マネジメントシステムの利用ユーザーは、経営層や現場マネージャー、人事企画担当など幅広く使用することもあります。マネジメントに必要な分析・シミュレーション機能が充実していることはもちろん、それを幅広いユーザーが容易に使いこなせるような高い操作性も重要になります。

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業績に貢献する人事につながる
実態に基づきPDCAを回すマネジメント

 人材マネジメントシステムに十分な効果を発揮させるには、ユーザー自身が既存の発想から抜け出し、意思決定のプロセスを変えていく必要があります。その1つに事実に基づいたマネジメントが挙げられます。例えば、採用、配置、研修、制度といった人事に関わる施策の結果を、データに基づいて定量的に評価・検証していくことです。検証した結果をフィードバックして、新たな仮説を立ててシミュレーションし、よりよい施策作りに役立てます。人材マネジメントシステムを駆使して、生産現場や営業活動で行われているようなPDCAを回すことは、会社の業績に貢献できる、強固な人事部門作りにつながります。

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人事の役割と求められるシステム

人事の役割と求められるシステム
出典:インフォテクノスコンサルティング株式会社

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