メルトピア

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  • デジタルカメラ活用テクニック

  • Vol.64
  • 2016年 3月号(No.214)
多重露光で個性的なイメージを創る

新しいデジタル技術により
多重露光撮影が手軽に

 古くから写真の世界では、抽象的なイメージを作り上げるために、多重露光という手法が用いられてきました。これは一枚のフィルムに複数のイメージを写し込んで、幻想的な表現を楽しむものです。ところが、多重露光には、複数枚のイメージを重ねる度に露出が明るくなってしまい、仕上がりを予想するには多くの経験(と失敗)が必要でした。今回ご紹介する新しいデジタル技術による多重露光機能は、多くの経験を必要としません。イメージを重ねても、露出が明るくなり過ぎないように自動的に調整するという優れものです。この機能を使い、写真1のような合成写真にチャレンジしてみましょう。

カラフルでボケた背景と
シンプルな主体を融合させる

 まず、イメージを重ねても露出が明るくなり過ぎないように多重露光の設定値を「ゲインなし」もしくは「平均」という項目を選びます。こうすることで露出を気にすることなく手軽に多重露光撮影ができます。
 写真2をご覧ください。これはカラフルなタオルを、あえてピントを合わせずに撮影したものです。このイメージに写真3を多重露光によって合成させたものが写真4です。ご覧の通り合成された写真4のイメージは明る過ぎず、とても自然な雰囲気で合成されています。撮影のポイントは、背景とする写真はカラフルだけれどもピントを合わせないボケたイメージを使用し、主体とする写真はシンプルな形状でなるべく色数が少ないものを選ぶことです。複雑な写真同士を合成するとイメージが混沌としてしまい、何を主張したいのか不明確になってしまいます。
 このポイントを踏まえて撮影したものが写真1です。これはピントを外して撮影したカラフルな布に、地面に写る人物の影を合成したものです。人物の影というシンプルな主体とそれを彩る背景を調和させることで、印象的な作品に仕上げることができました。
 このように多重露光の新しい機能を使うことにより、露出の設定に悩むことなく、簡単に写真の合成ができるようになりました。しかし最も重要なのは、写し出す作品がインパクトのある表現になっているかどうかです。やはり最後は表現者の感性の問題なのです。シンプルなものとボケたものを組み合わせて、個性的なイメージ作りにチャレンジしてみてください。

撮影・文:中原義夫(Bubio Studio)

撮影例

写真1:カラフルな布地とシンプルな人物の影を多重露光することで、インパクトがある個性的な画像に仕上げることができた。50mm(35mm換算) プログラムオート設定 ISO800

撮影例

写真2:背景とするカラフルなタオルはあえてピントを合わせずに撮影する。レンズ50mm(35mm 換算) プログラムオート設定 ISO800

撮影例

写真3:主体とする画像の形状と色はなるべくシンプルものを選ぶことが撮影のポイント。レンズ50mm(35mm 換算) プログラムオート設定 ISO800

撮影例

写真4:写真2と3を多重露光で合成。露出設定はカメラが自動的に行う。レンズ50mm(35mm 換算) プログラムオート設定 ISO800

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