メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

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  • 導入事例
  • 2017年 1・2月号(No.223)
  • 株式会社KYOTSU
  • 入出荷検品システム
  • ハンディターミナルを活用した
    入出荷検品システムの構築により
    出荷作業の精度向上と効率化を実現

名古屋市に本社を置き、精密電子機器などの物流配送を手がける株式会社KYOTSU。物流センター機能のアウトソーシングビジネスを展開する同社は、出荷作業の改善に向けて株式会社三菱電機ビジネスシステム(MB)とともに、ハンディターミナル(HT)を使った入出庫検品システムをスクラッチで開発。商品に張り付けられた現品票や棚番のバーコードを読み込むことで商品をより正確に管理できるようにしました。その結果、出荷数、販売数のリアルタイム可視化の実現や、ピッキングミスによる誤出荷の軽減などを実現。アウトソーシングビジネスのさらなる拡大に繋げています。

精密電子機器などの物流配送を手がける株式会社KYOTSU

精密電子機器などの物流配送を手がける
株式会社KYOTSU

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代表取締役社長

堀 和夫

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管理部 部長

片山 明宏

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小牧流通センター
センター長
飯島 満夫

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管理部 係長

中島 拓也

出荷作業の改善に向けて
システム化を決断

 KYOTSUは1948年に「合資会社共通運輸社」として設立され、約70年にわたり物流事業を展開しています。主な取引先は、電子機器メーカー、精密機器メーカー、住宅設備機器メーカーなどで、愛知に5ヵ所、東京に1ヵ所の合計6ヵ所に営業所を設置して、取引先の受注センター業務、入出庫管理業務、路線発送梱包業務を行っています。
 取引先の入出荷管理業務では、商品が入荷されると、入荷検品を経て倉庫に入庫します。倉庫内では在庫を管理しながら、取引先から出荷指示に応じて、必要な商品をピッキングして検品し、パッケージに梱包して指示されたお客様先に出荷します。従来までの環境では、取引先の基幹システムから出力された紙の売上伝票をもとに、作業員が手作業と目視で検品とピッキングを行っていたため、作業に多くの手間と時間を要していました。代表取締役社長の堀和夫氏は次のように語ります。
 「入荷と出荷の伝票は1日でそれぞれ約5,000枚あり、中には判読しづらい伝票もあります。また、検品やピッキングを担当するパートやアルバイト社員は、初心者からベテランまで幅広く、入出庫の精度は作業者に依存する傾向がありました。そこで、ハンディターミナルを使った入出庫検品システムを導入し、改善を図ることを決断しました」

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現場業務に即したシステムを
スクラッチで開発

 入出荷検品システムの導入を検討したKYOTSUは、MBとシステム構築を進めることを決定しました。
 「当社の場合、取引先がメーカーから商社まで幅広いため、様々な納期設定や発注形態にも臨機応変に対応できるシステムが求められていました。また、取引先との在庫データの連携も複雑です。そこで、パッケージではなくスクラッチ開発としました。パートナーには、当社の要件を的確に判断し、規模に見合ったシステムを提案したMBを選定しました」(堀氏)
 入出荷検品システムは、2012年に新規取引先である電子機器商社の受託業務の用途として、名古屋市の中部流通センターで稼働を開始しました。2013年5月には既存の取引先である住宅機器メーカーの受託業務に横展開し、愛知県岩倉市の小牧流通センター岩倉営業所で稼働。横展開時は取引先の業務に合わせて新たな開発を加え、「必要なものを必要な時に必要なだけ作る」カンバン方式とロット管理での対応を実現しています。管理部 部長の片山明宏氏は「取引先によって要求が異なりますが、スクラッチでシステムを構築しているため、対応が容易です」と語ります。
 住宅機器メーカー用に構築した入出庫検品システムは、品質が高く在庫管理の精緻化や、誤出荷を削減したことなどが評価され、そのメーカーから2016年には製品を作って梱包して工場に出荷する「キット品出荷作業」の追加受注を獲得しています。

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在庫情報のリアルタイム化で
取引先からの高評価を獲得

 KYOTSUが構築した入出庫検品システムは、入荷・入庫、出庫・出荷、ロケ変、在庫・棚卸の機能がシームレスに連携しています。また、取引先の基幹システムとも連携しており、取引先から発注情報、出荷情報、在庫情報をCSV形式で取得したり、入出庫検品システムに蓄積した入庫実績、出荷実績、在庫実績、棚卸実績のデータを取引先に提供することも可能です。
 入出庫の具体的な手順として、入荷・入庫についてはまず、取引先の発注データをシステム内に取り込みます。仕入れ先から商品が入荷されたら、商品ケースに添付されている納品書の発注番号バーコードをHTでスキャン。すると入荷実績としてシステムにデータが蓄積されると同時に、ラベルプリンターから2次元コードが付いた「現品票」が出力されます。この現品票には棚番、伝票番号、型式、数量、入荷日などが記載されています。次に現品票を張り付けた商品ケースを保管エリアに持っていき、作業者が現品票の2次元コードと、保管場所の棚番バーコードの2ヵ所をHTで読み込むと入庫は完了です。その時点で取引先から送られてきた出荷リストと照合され、入庫ミスは事前にチェックができます。
 在庫管理の在庫移動・補充についても、取引先から在庫情報データを取得してシステム内の在庫実績と照合して差異リストを出力し、必要に応じて棚番の現品票をHTで読み込んで在庫移動・補充を行っています。半期に1回実施する棚卸でも、棚番のバーコードと現品票の2次元コードをHTで読み込んで差異表や一覧表、実績表を作成します。そのため、従来は数十人で丸1日かかっていた棚卸時間が半日で終了するようになりました。
 小牧流通センター センター長の飯島満夫氏は、「ロケーション表示がフリーロケーションと固定ロケーションの2つに対応し、効率的な在庫管理が実現しています。特に仕様変更が定期的に発生する電子機器や精密機器の場合、先に入庫した商品を先に出す『先入れ先出し』が重要です。従来は在庫管理がなされていない取引先は先入れ先出しが実行できず、棚卸時には相当の機器の廃棄を余儀なくされていました。それが適切なロケーション管理と、商品を個別に出荷できるバラ出しの実現によって、先入れ先出しが徹底され、廃棄ロスの撲滅にも繋がっています」とメリットを語ります。
 このように、入出庫検品システムの導入により従来の課題は改善され、入出庫業務の作業効率は飛躍的に向上しました。誤出荷も削減され、品質向上によって取引先からの新規業務の受注増など経営面にも貢献しています。また、業務の標準化により作業者の個人差も解消しました。管理部係長の中島拓也氏は「初心者でもシステムの操作にすぐ慣れるので、導入直後から大きな混乱もなくスムーズに業務が回っています」と語ります。
 数々の効果が得られた中で、特にKYOTSUが実感しているのが、在庫情報のリアルタイム更新です。
 「精密機器の業界では、倉庫内の在庫管理はある程度大雑把で仕方がないとあきらめている部分がありましたが、KYOTSUが実現したシステムを見て、業界内からの注目も高まっています」(飯島氏)

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管理対象を配送まで拡張し
トータルサービスの提供へ

 今後については、KYOTSUが入出庫業務を代行している他の取引先にもシステム化を提案しながら業務の効率化を加速させつつ、精度が求められるキット品の出荷作業への対応、ロット管理や在庫管理の機能、商社管理機能などをアピールしながら新たな取引先を獲得していく計画です。
 また、現状のシステムについても管理対象を配送業務まで拡張し、物流業務を丸ごとリアルタイム化することも検討されています。堀氏は「最終的にはトラックのドライバーもHTを持ち、配送が終わった時点で受領伝票を読み込み、そのデータを取引先にフィードバックすることができれば入庫から配送までのリアルタイム化が実現するので、ぜひ実現させたいと思います」と話します。
 KYOTSUは、今後も既存の枠組みにとらわれない新しい発想で次世代を先取りし、物流の新たな可能性にチャレンジし続けます。

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システム構成イメージ

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