メルトピア

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  • デジタルカメラ活用テクニック

  • Vol.67
  • 2016年 10月号(No.220)
HDR(ハイダイナミックレンジ)機能を効果的に使う

白飛びと黒つぶれを防止するだけでなく
不思議な雰囲気を演出できるHDR

 写真撮影をするときに明暗の差が大きい場合など、明るいところは白飛びして、暗いところは黒くつぶれてしまうという現象が起こります。しかし、昨今のデジタルカメラには、HDR(ハイダイナミックレンジ)という機能があり、明るい写真と暗い写真を合成して、白飛びも黒つぶれもない一枚の写真に仕上げられるようになりました。またHDRでは写真に特殊な色味を加えるために、独特の雰囲気を醸しだすこともできます。今回はこうしたHDRの特徴を理解したうえで、写真1のような、不思議な色調の写真に仕上げてみましょう。

HDRの特徴をよく理解して
使いすぎには注意する

 HDRとは写真に写る最も明るい部分と、最も暗い部分の明度差の段階を拡張することにより、白飛びや黒つぶれを抑える技術です。例えば10段階で明暗を表現するよりも、20段階で表現したほうが、ディテール(全体の中の細かい部分)をはっきり映し出すことができるという考え方です。カラー写真の場合、光と色が密接に関係しているので、この明度差の調整が色にも大きな影響を与えて、独特な色調をもたらします。
 写真2をご覧ください。これはホームに停車している電車を普通に撮影したものです。写真3は同じ風景をHDRに設定して撮影しました。ご覧のように写真2では黒くつぶれてしまっている部分が、HDRを使うことで鮮やかに再現できています。すこし不自然さはありますが、全体的な色調は暖色系になりました。このHDRをもっと効果的に活用したのが写真1です。夕暮れ時で人物や地面はかなり暗くなっているはずですが、HDRのおかげではっきりと見ることができます。HDRは色を強調する効果があるので、この写真の様に、あまり鮮やかな色のない風景で、本来は黒くつぶれて見えなくなりそうな暗い部分を見せることで、比較的自然な雰囲気で写真を仕上げることができます。
 最後に注意点ですが、昨今、HDRの機能はスマートフォンでも気軽に楽しめるようになりました。使い方は簡単で大きな効果をもたらすために、つい多用しまいがちですが、シチュエーションによって、イメージが安っぽいものになってしまうことがあります。撮影する被写体にHDR機能が本当に必要かどうか、よく考えてから使いましょう。

撮影・文:中原義夫(Bubio Studio)

撮影例

写真1:日没後の瀟洒な街並みで人物を撮影。暗い路面など黒つぶれすることもなく、はっきりと写し出している。シャッタースピード1/200秒 F5 ISO 3200

撮影例

写真2:電車と風景を普通に撮影した作例。電車内や車体などが黒い影になりディテールが分からない。シャッタースピード1/500秒 F11 ISO 800

撮影例

写真3:写真2と同じ風景をHDRで撮影。シャドウ部の黒つぶれが改善されているのがよく分かる。全体の色も暖色系になっている。シャッタースピード1/500秒 F11 ISO 800

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