メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • エキスパートインタビュー

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2017年 4月号(No.225)
  • デジタルマーケティング導入の
    ポイントは他部門との協力関係の構築と
    適切な目標設定

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NRIネットコム株式会社
Webデザイン事業部 Webコンサルタント
課長代理
柿崎 千絵 氏

これまで主に"足で稼ぐ"オフラインのマーケティングや営業を行ってきたBtoB企業にとって、デジタルマーケティングは全く新しい手法です。そのため、どのように導入して良いのか分からず、興味があっても具体化できない企業も少なくありません。ここでは、多くのBtoB企業のデジタルマーケティング導入をサポートしているNRIネットコム株式会社Webコンサルタントの柿崎千絵氏にBtoB分野におけるデジタルマーケティングの現状と導入のポイントについて伺いました。

柿崎 千絵(かきざき・ちえ)氏プロフィール
専門はWebチャネル活用におけるデジタルマーケティング戦略の企画・立案。BtoCにおけるエンゲージメント向上のためのマーケティングプランの構築と分析を経て、現在はBtoB企業・事業におけるWebチャネル活用のコンサルティングに従事。流通、小売、製造、医療、情報通信、インフラなど多数の業界の支援実績あり。野村総合研究所 定期発行物 寄稿:ITソリューションフロンティア 2015年12月号 Vol.32 No.12「BtoB企業のWebサイト活用のあり方─増えてきた成功事例と可能性の広がり─」

多くのBtoB企業が注視する
デジタルマーケティングの動向

 NRIネットコムは、コンサルティングやデータ分析力に定評のあるWebマーケティングソリューション企業です。柿崎氏は、同社のコンテンツ分野のエキスパートとして、多くの企業のデジタルマーケティング活用をサポートしています。
 「BtoBでデジタルマーケティングを導入したいという企業は、2年ほど前から急増しています。業種や規模の偏りはなく、幅広いBtoB企業から引き合いをいただいています」
 かつては"Webには採用情報だけ載せていれば良い"というBtoB企業も多かったそうですが、今では状況が大きく変わりました。デジタルマーケティングに取り組む企業が急に増えた要因としては、マーケティングオートメーションツール(MAツール)の機能向上と低コスト化があると、柿崎氏は分析します。
 「数年前までは、MAツールの選択肢が少なく導入コストも高かったので、導入できるのは一部の企業に限られていました。現在は選択肢がとても多くなり、会社の規模や利用目的に合わせたデジタルマーケティングの導入が可能になりました」
 コンサルティングを希望するクライアントには、デジタルマーケティング未経験の会社が多く、必ずしも具体的な導入イメージを持っているわけではないそうです。
「マーケティング担当者の方の、"こんなことができそう"という漠然としたイメージからプロジェクトがスタートすることも多いのですが、担当の方々と会話しながら掘り下げていくと、会社の抱えている課題と目指すべき方向に関して、明確な課題意識をお持ちです。我々は外部のプロフェッショナルとして、お客様が考えていることをどうしたら形に出来るか、どうしたらお客様の社内で理解が得られるか、という点をご支援させていただいています」  

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他部門の協力が欠かせない
デジタルマーケティングの導入

 デジタルマーケティングの導入は、マーケティング部門が単独で行うのではなく、他の部門、特に営業部門と情報システム部門の協力を早い段階で取り付けておく必要があると、柿崎氏は強調します。
 「まず、導入を主導するマーケティングや広報の担当の方がいて、それに協力してくれる営業の方と、情報システム部の方が必要です。実際には、最初から協力者を探すよりも、まず我々がマーケティング担当の方とお話をさせていただき、プロジェクトの内容を整理してから、社内の各担当と調整を始めるケースが多いです」
 多くのBtoB企業では、営業部門が販売戦略の中心を担っています。また、最終的には対面での契約が必要になるので、営業部門の理解と協力が不可欠です。
 「マーケティングは中長期的な視点で戦略を考えないと成功しません。一方、営業部門にとっては足下の売り上げが重要です。この意識の違いを双方が理解する必要がありますので、打ち合わせにはできるだけ営業の方にも参加していただきます」
 営業の協力が得られれば、オンラインとオフラインの情報を組み合わせた分析も可能になります。例えば、「A社の担当者を訪問した」という営業担当からのオフライン情報を、Webのアクセス解析と突き合わせることで、より詳細な行動分析が行えます。また、企業によってはデジタルマーケティングの導入を機に、営業部門に対して行動履歴や分析を有効活用する新しい営業手法の研修を行うこともあるそうです。
 情報システム部門としては、MAツール導入に際して、個人情報の扱い、セキュリティーポリシー、クラウドサービスの利用規約、さらに細かな技術的な部分を解決する必要があります。これには技術の専門家のアドバイスが求められます。

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既存顧客が重視される
BtoBのマーケティング

 柿崎氏は、BtoBデジタルマーケティングのユニークな点として、既存顧客を重視する点を挙げます。
 「デジタルマーケティングと言うと、主に新規顧客の獲得がイメージされるのですが、BtoBではほとんどの企業が既存顧客を重視します」
 多くのBtoB企業では、既存顧客の需要が発生する間隔が長く、その間、顧客をいかにして繋ぎとめておくかという課題を抱えています。営業部門だけでは、取引頻度の少ない顧客との関係を長期間維持するのは容易ではありません。営業のマンパワーにも限りがあり、日頃の営業活動はどうしても取引頻度の高い大口顧客に集中します。また、取引の間隔が長く空くと、担当者の異動などで接点が薄くなってしまうこともあります。これを補完する役割がデジタルマーケティングに期待されています。
 「営業部門は今までどおりのスタイルで活動していただき、それだけでは取りこぼしてしまう顧客を、デジタルマーケティングで拾い上げていきます、という形でスタートすると営業部門にも受け入れられやすくなります」

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スモールスタートの成果を踏まえ
高度化を推進する

 デジタルマーケティングを初めて導入する企業では、まずスモールスタートで始めることが多いそうです。
 「打ち合わせの中で、お客様のアイデアがどんどん広がっていく時もありますが、最初から大掛かりなデジタルマーケティングを始めても上手くいきません。スモールスタートでも、どのプロセスで始めれば成果が出やすいかを見きわめて導入することが大切です」
 最初のステップとして良く用いられるのが、メールマガジンの配信をMAツールで行い、そこからWebアクセス分析を始めるという方法です。導入初期には、段階的に分かりやすい目標を立てることが重要です。まず、分析に十分な母数を集めることから初めて、シナリオを改善しながら、見込み客を育成・選別し、営業にバトンタッチするまでが最初のトライアルになります。通常はここまでで約1年かかると想定してください。そして、この時の成約率などをフィードバックして、マーケティングシステム全体を改善していくことになります。
 「将来、より高度なデジタルマーケティングを推進するためにも、最初のスモールスタートの段階でしっかりとした経験やノウハウを積むことが大切です」
 今後、ますます情報化が進む中で、マーケティングや営業の手法はさらに大きく変わっていくと柿崎氏は予測します。BtoBでのデジタルマーケティング導入はまだ始まったばかりですから、動向を継続的に注視していく必要があります。

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デジタルマーケティングシステムと企業の各部門の役割

DM、メルマガからWebへのアクセスを誘導する場合、アクセス分析と
顧客情報の組み合わせから有望顧客を抽出し、営業部門を支援する。

■デジタルマーケティングシステムと企業の各部門の役割

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