メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • 巻頭特集

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2017年 5月号(No.226)
  • 今、求められる
    “働き方改革”の推進と
    生産性向上のポイント

現在の日本社会の大きなテーマのひとつが、「働き方改革」です。これは、戦後の高度成長期に合わせて形成された従来の働き方を見直し、今の社会情勢に合った新しい働き方を見つけようとする動きです。政府は2016年に「働き方改革実現会議」を開催するなどの取り組みを始めています。また、一部の企業はテレワークや在宅勤務制度の導入など、すでに具体的な施策を開始しています。今回は、働き方改革とはどのようなものか、なぜそれが必要なのか、そしてITにはどんな役割が期待されているかなどについて解説します。

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社会の変化に合わせた
新しい働き方が求められている

 “働き方改革”とは、様々な特性を持った労働者が、意欲や能力を発揮でき、ワークライフバランスの取れた暮らしを実現するための取り組みです。
 従来の日本企業の働き方は、新卒一括採用、年功序列、終身雇用制といった雇用形態をベースにした画一的なものでした。そこでは組織の論理が優先され、画一的な働き方以外は認められないことが一般的でした。しかし、日本の少子高齢化による労働力人口の減少とそれに伴う人手不足によって、労働環境は大きく変わりました。特に15歳から29歳までの若年層の労働力人口が急速に減り続けているため、新卒者の採用計画を達成できない企業が増加しています。その結果、様々な働き方に対応できる労働環境が求められるようになりました。そうなれば、従来はやむをえない理由で画一的な労働ができずに退職せざるを得ない人も働き続けられますし、休職していた人の職場復帰も容易になります。また、企業にとっても、人材育成のための投資が無駄にならないというメリットがあります。
 社会の成熟によって人々の価値観も変わり、常に仕事を最優先にするのではなく、家庭や個人の生活と仕事のバランスを重視する人が増えています。そのため、人手が不足する環境で優秀な人材を確保するためには、良好な労働環境や条件が求められます。非効率で生産性が低く、長時間の残業が当たり前の職場は、優秀な人材を集めるのはさらに難しくなるでしょう。また、グローバル化時代に対応した外国人の人材確保においても、従来の日本的な働き方を変える必要があります。

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働き方には
多面的な社会問題が反映されている

 日本企業の働き方の中で、現在、特に問題視されているのが長時間労働の常態化です。長時間労働がもたらす従業員の心身への影響は社会問題にもなっています。政府は2020年までに週労働時間60時間以上の雇用者の割合を半減するという目標を立てていますが、正規雇用社員の労働時間はこの20年間でほとんど変わっていません。働き方は社会や文化に深く根ざした部分があり、その改革は一朝一夕にはいきません。
 働き方改革が難しい要因のひとつに、問題が多面的で相互に関係していることがあります。現在、注目が集まっている長時間労働の問題も、数ある多面的な問題のひとつに過ぎません。他にも、少子化、介護、女性活躍、非正規雇用の増加、生産性の低さなど、様々な問題が働き方と関係しています。問題が多面的であるため、人によって注目する側面が異なり、ある人は「まず、女性の活用を進めるべきだ」と言い、またある人は「まず、長時間労働を規制すべきだ」と主張して、話が噛み合わないということが起こります。働き方改革について考える時には、まず多面的な問題を整理して議論し、解決策も多面的になることを理解しておく必要があります。

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フリー、フラット、プルーラルを目指す
未来の働き方

 将来の日本社会はどのような働き方を目指すべきなのでしょうか。働き方を改革するためには、目の前の課題をひとつずつ解決していくと同時に、最終的に目指す理想的な働き方のイメージが必要です。株式会社三菱総合研究所は、2015年に未来の働き方を示すキーワードとして、「フリー(自由)」「フラット(平等)」「プルーラル(多元)」の3つを提唱しています。
 「フリー」とは、組織に固定的に縛られず、個人の主体性に基づく働き方を意味します。働く人が自分で選び、決め、責任をもって自律的、主体的に働く社会です。
 「フラット」は、年齢、性別、国籍などに縛られず、誰でも平等に働ける社会です。また、組織と個人の関係が対等になり、階層構造のない組織や社会の出現も意味します。
 「プルーラル」は、自由で平等な働き方が浸透した結果、個人の活躍の場が組織を超えて大きく広がり、複数の役割を果たす“多元化”を意味します。
 こうした未来の働き方の前提となるのが、ICTの発達と活用です。テレコミュニケーションや人工知能などのICT技術の発達により、今ある様々な制約が取り除かれることで、生産性を高めながら、フリー、フラット、プルーラルな働き方が実現可能になります。

   

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テレワークを普及させるためには
マネージメントなどの改革も必要

 働き方改革を進めるうえで、早期の普及が期待されているのがテレワークです。テレワークを上手く活用することで、働く場所と時間の制約を取り除き、より柔軟な働き方が可能になります。テレワークによる在宅勤務が可能になれば、例えば出産や育児、介護といった事情のある人も仕事を続けることができるでしょう。
 テレワークはすでに多くの企業で導入されていますが、まだ広く定着するまでには至っていません。テレワーク導入の課題としては、セキュリティーの確保やスムーズなデータのやり取りといった技術的なものに加えて、コミュニケーションやマネージメント上の問題が挙げられます。
 コミュニケーションに関しては、今まで対面で伝えていた感情やニュアンスが、ネットワークを介しては伝えにくいという問題があります。こうした問題は、複数の新しいコミュニケーションツールを活用することである程度解決できますが、一方で、表情や言葉のニュアンスに頼らずに、伝えたいことを明確に表現する手法やルール作りも必要になります。
 また、従来のマネージメント手法は同じ空間で働くことを前提としていますから、テレワーク対応の業務管理や評価手法を導入する必要があります。例えば、今まで曖昧に管理されていた各人のスケジュールやタスクの進捗状況、現在のメンバーの状態などを、ツールで可視化・共有するなどして客観的なマネージメントを行えるようにします。
 そして最終的には、働く人達の意識が変わる必要があります。ツールや制度を導入しても人々の意識にまで定着するまでには、時間がかかります。働き方改革は、長年にわたって定着してきた習慣や価値観を変えることになりますので、中長期的な展望を持って行う必要があります。

働き方改革は多面体

働き方改革は、様々な社会問題が合わさった多面体のようなもの。このため、自社の問題をきちんと整理してから議論を行う必要がある。
■働き方改革は多面体
出典:株式会社三菱総合研究所

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