メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

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  • エキスパートインタビュー

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2017年 5月号(No.226)
  • 働き方改革を超えた
    “進化”を目指すには
    IT基盤の整備が不可欠です

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株式会社三菱総合研究所
経営コンサルティング事業本部
組織・機能戦略グループ 主席研究員
佐々木 康浩 氏

企業が働き方改革に取り組む時には、どのような体制や手法で取り組めば良いのでしょうか。働き方の変更は、企業活動のあらゆる部分に加えて従業員の生活にも影響があるため、ITツールの導入だけにとどまらないアプローチが必要となります。ここでは、三菱総合研究所 経営コンサルティング事業本部 組織・機能戦略グループ 主席研究員の佐々木康浩氏に、企業が働き方改革に取り組むうえでのポイントや、ITを活用した働き方について伺いました。

佐々木 康浩(ささき・やすひろ)氏プロフィール
1988年、慶應義塾大学大学院 理工学研究科 修士課程修了後、株式会社三菱総合研究所入社、現在に至る。東京工業大学大学院にて、博士(工学)を取得。「実践・ペルソナマーケティング」(共著)をはじめ、発表論文多数。専門は、組織の情報戦略・人材戦略にかかる業務コンサルティング。ITスキル標準(ITSS)について、我が国における草創期から経済産業省やIPA(独立行政 法人情報処理推進機構)と連携し、普及・啓発活動に貢献。スキル標準ユーザー協会の初代認定コンサルタント。

まず自社の働き方を正しく把握して
継続的に取り組む

 ワークスタイル変革に関する研究やコンサルティングを行ってきた佐々木氏は、企業が働き方改革に取り組むうえで、まず専任の部署やプロジェクトチームを立ち上げることを推奨しています。なぜならば、他の仕事を持ちながらの活動では、どうしても働き方改革への取り組みが後回しになってしまうからです。そして、多面的な問題を整理して議論することが重要だと語ります。
 「働き方の問題は多面的ですから、論点を整理して進めないと議論がすれ違ってしまいます。まず、自分たちの働き方における問題点を調査し、その中のどれから解決していくのかを決めます。すべての問題を一気に解決するのは困難ですから、優先順位を付けてロードマップを作成し、それぞれの問題の解決策を考えていきます」
 重要なのは、働き方改革への取り組みを一過性のものとせず、対策の効果を検証と改善を繰り返すPDCAを回し続けることだと言います。
 「働き方改革を推進するにあたっては、PDCAをしっかりと回すことです。しかし、日本企業の場合、計画に時間をかけすぎてしまい、実行した後のチェックと対策が行われないことが良くあります。ですから、問題点を洗い出すチェック工程から始める“CAPD”のような流れで取り組む方が良いかもしれません」(佐々木氏)
 自社の状況を客観的に評価し、対策の方向性を考える手法として、佐々木氏は、三菱CC研究会※で考案された「テレワーク成熟度モデル」と「テレワーク成熟度指標」を一例に挙げます。これは、企業がテレワークを活用できる状況にあるかどうかを多面的に分析できるツールです。5つの項目をチェックすることで、現在のテレワーク成熟度レベルが判定でき、改善すべき点も明確になります。内容的には、テレワークに限らず、働き方に関する多くの課題にも応用可能です。このようなツールを利用することで、議論の発散を防ぎ、効果的な対策の実行や、PDCAを回すことが可能になります。
 「成熟度レベルを一気に上げることは難しいので、個々に対策を積み上げて、ひとつずつレベルアップしていく必要があります。そこで失敗しても諦めないことが重要です。現在、テレワークを活用している組織の多くは、何度かの失敗にも諦めずに取り組み続けたところが多くあります。新しいことに挑戦するなかで失敗はつきものです。その失敗からきちんと学ぶことが大切です」(佐々木氏)

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明確なジョブディスクリプションと
スキルの見える化が必要

 働き方改革に必要な対策は企業によって異なりますが、どの企業にも共通して求められる要素として佐々木氏が挙げたのが“ジョブディスクリプション”です。ジョブディスクリプションとは、その業務がどんなもので、どんな能力が必要かという、仕事の内容を定義したものです。欧米企業では、従業員一人ひとりに要求される仕事の内容やスキルが明確になっています。一方、日本企業の多くは、仕事の内容や指示が曖昧なことが多く、このことが不透明な人事評価や長時間労働、雇用流動性の低さの原因に繋がっています。今後、日本企業が働き方改革を進めるうえで、ジョブディスクリプションの明確化が必要です。同時に、働く人の側も自身の持つスキルを明確にすることが求められます。

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長時間労働の解消やテレワークは、
改革の初期段階に過ぎない

 佐々木氏は、長時間労働の解消やテレワークの普及は、働き方改革のごく初期のステップであり、中長期的には、その先にある本当の意味での働き方改革を目指す必要があると言います。
 「単にこれまでオフィスでやっていた仕事を自宅に持っていくだけでは、働く時間と場所をシフトしているだけで“改革”とは言えません。ITの活用によって仕事のやり方そのものを変えることで、これまで8時間かかったものが5時間で終わるような変化を目指すべきです」
 従来の働き方に最適化された業務フローを変えずに、働き方だけを変えても、生産性の大幅な向上は期待できません。“この作業や帳票は本当に必要なのか”と言った根底から仕事の棚卸しを行い、業務の内容やフローそのものをITを駆使した新しい環境に最適化してこそ、生産性の向上が実現するはずです。
 さらに、その延長線上には、ロボット(AI)と人間が一緒に働くオフィスへの進化があると佐々木氏は予測します。
 「現在の生産現場では、すでにロボットと人間が一緒に働くのが当たり前になっていますし、無人の工場もあります。オフィスワークも交通費精算や会議の日程調整、会議室の確保といった作業はロボットの秘書にやらせて、人間はもっと付加価値の高い業務に移っていくはずです。その際にもジョブディスクリプションが重要です。ロボットは“適当によろしく”では動いてくれませんから、仕事の内容を明確にしておく必要があります」
 こうした働き方改革や進化においては、情報システム部門の役割が重要になると佐々木氏は語ります。
 「ITを使って業務改革を行うというのが、情報システム部門の仕事だと思います。これからは、ロボットの導入で工場に起きたような大きな変化が、オフィスにも起こります。情報システム部門には、ぜひともこの変革をリードする存在になって欲しいと思います」

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働き方の進化には、
優れたIT基盤が不可欠

 ITを活用した働き方改革や、さらにその先にある働き方の進化を実現するためのポイントはIT基盤だと佐々木氏は強調します。
 「働き方改革では、どうしてもアプリケーションに注目が集まりがちですが、ITを活用した働き方改革や進化の実現には、優れたIT基盤が欠かせません。ネットワークに求められる速度や安定性、セキュリティーといった要素を実現するためには高度な技術とノウハウが必要です。特に経営層には、ネットワークの重要性を理解していただきたいです」

※高度情報社会に対応して、共同してコンピューターとコミュニケーションの研究を行い、社会の発展に寄与することを目的として、1984年に設立された組織

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「働き方改革」にとどまらず、「働き方の進化」へ

■「働き方改革」にとどまらず、「働き方の進化」へ
出典:株式会社三菱総合研究所

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