メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

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  • 2017年 5月号(No.226)
  • 三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社
  • グローバルIT基盤
  • 約14万人が利用するグローバルIT基盤の構築を
    構想企画から導入後の運用設計まで支援し
    クラウド環境への着実な移行を実現

近年、クラウドによるIT基盤の統合が、企業におけるIT投資の重要なテーマとなっています。しかし、事業形態が多岐にわたる場合や拠点数が多い場合など、大規模なIT基盤を着実に構築するには様々なノウハウが不可欠です。三菱電機グループでSI事業を手がける三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)は、三菱電機グループ約14万人が利用する「グローバルIT基盤サービス」の構築プロジェクトに構想企画の段階から参画し、設計、構築、展開、運用設計、運用体制の整備まで担当しました。

三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社

人物写真

理事
産業・サービス事業本部
産業第三事業部長
小室 聡

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産業・サービス事業本部
産業第三事業部 システム第一部
部長
雅春

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産業・サービス事業本部
産業第三事業部 システム第一部
第三課 課長
廣瀬 論也

世界300拠点に展開する
グローバルIT基盤を構築

 MDISは、三菱電機グループのIT事業会社として、コンサルティング、ソリューション提案、システム構築、ソフトウエア開発などを手がけています。特に、三菱電機の強みである社会インフラ、製造、流通サービス向けの情報システムやネットワーク、システム運用サービス、セキュリティーなどの分野で多くのソリューションを提供しています。
 MDISが事業を進めていく上での基本的なスタンスについて、産業・サービス事業本部産業第三事業部長の小室聡氏は「お客様の立場に立って、三菱電機の研究所やグループ各社と連携しながら、大規模システム構築のノウハウを駆使して、お客様と事業を共創しています」と語ります。
 これまでMDISが経験した大規模システムと比べてもエポックメイキングなプロジェクトと言えるのが、三菱電機グループのグローバルIT基盤の構築です。世界の300拠点で個別に管理・運用しているIT環境を統一してセキュリティーレベルを高め、同時に、グローバルに統一された情報共有のためのコミュニケーションツールによって業務の生産性を高めることを目的としています。具体的には、約19万台の端末の一元管理と重要情報保護の仕組みを独自のクラウド環境上に作り、Microsoft Office365を活用して、メールや情報共有の環境を統一し、Microsoft Azure上に独自開発した上長承認や自動暗号化の機能を追加します。MDISは、このプロジェクトにメインのインテグレーターとして参画し、三菱電機グループのIT戦略の立案、整備、展開を行っているIT戦略室とともにプロジェクトを推進しています。

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MDISが設計、構築、展開を担当し
パートナー企業をマネジメント

 MDISは、三菱電機グループ独自のクラウドとパブリッククラウドを用いたセキュアなグローバルIT基盤の構築を担当し、既存の認証機構とクラウドの認証機構との連携、既存のセキュリティー施策のクラウドへの適用を実現しました。
 プロジェクトを効率的かつ確実に進めるため、MDISは運用やインフラを担当する三菱電機インフォーメションネットワーク株式会社(MIND)やマイクロソフトをはじめとするパートナー企業を統括的にマネジメントする体制を構築しました。同事業部 システム第一部 部長の雅春氏は「大規模なIT基盤を確実に構築し、導入後の運用体制までカバーするために、パッケージ、クラウド、セキュリティー、ネットワーク、運用などそれぞれの分野に精通したパートナーが、それぞれの得意分野にリソースを集中できるよう配慮しました」と語ります。
 プロジェクトはまず、端末を一元管理する統合管理基盤の構築から着手しました。2015年3月から設計に着手し、2017年3月に展開が完了しています。これと並行してクラウドを活用したグローバルIT基盤整備の設計と構築を6ヵ月間で行い、2016年10月から本格展開を開始しました。2020年度までに300拠点への導入を完了させる予定です。

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幅広い事業を手がけるグローバル企業
グループ特有の課題を解決

 グローバルIT基盤の構築にあたり様々な課題に直面しましたが、その都度解決を図りました。「大きく四つのポイントがあった」と同事業部 システム第一部 第三課 課長の廣瀬論也氏は次のように語ります。
 「第一のポイントは構想企画・検討を綿密に行った事です。MDISがコンサルタントとして参画し、導入の実現可能性の検証(フィジビリティスタディ)や効果試算を三菱電機のIT戦略室と共同で実施しました。今回のグローバルIT基盤は半導体、エネルギー、産業、宇宙など多様な事業分野の製造、販売などの事業形態を持つ三菱電機グループの全拠点で共通的に利用するため、標準と非標準の境界線をどこに置くか議論を重ね、評価軸を立案し、精査したうえで計画を立案しました」
 二つ目のポイントはネットワークや認証基盤構築における課題です。従来、三菱電機の関係会社のグループネットワークはネットワークアドレス変換(NAT変換)を前提としていたことから、グローバルIT基盤サービス用の新たな認証機構(AD)の構築が必要となりました。これにより三菱電機の既存ADと関係会社用のADを統合しクラウド環境に展開することで、企業グループ全体を一つのOffice365テナントに収容します。「約14万人という大規模な人数が利用し、三菱電機とグループ会社で異なる複雑なAD環境の統合は、難易度が高いものでしたが、工夫を重ねることで克服することができました」と廣瀬氏は振り返ります。
 三つ目のポイントはクラウドサービスを利用することから生じる課題の解決です。Office365のようなSaaSサービスの場合、サービス提供事業主によって機能が頻繁にブラッシュアップされていくため、構築期間中にも新たなサービスや機能が追加されることがあります。
 「ITに不慣れなユーザーの場合、画面が突然変わって戸惑うこともあります。そこでサービスを追加する際には採否の基準を設定し、セキュリティーなどの最優先の領域は採用し、新機能の追加などの領域は利用者が判断することにしました」(廣瀬氏)
 また、必要な機能がOffice365の標準サービスにないか不足する場合は、Office365と切り分けてAzure上に独自に構築することで対応しました。
 最後のポイントは、ローカルとの折り合いをつけるという、グローバルIT基盤では避けて通れない課題です。他国の拠点とIT基盤を介して情報共有することは技術的には容易ですが、各国の法規制や言語等からくる要件を満たす必要があります。今回のグローバルIT基盤では、輸出管理等の現地法対応を見逃してしまうことがないよう、ポップアップ画面で注意喚起する機能を組み込みました。

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構想段階から参画することで
着実な支援を推進

 今回のプロジェクトを通じてMDISは、さらに新たなノウハウを得ることができました。今後は本プロジェクトで得た成果を三菱電機以外の企業にも展開していく計画です。小室氏は「上流の構想企画から、計画立案、システム、サービス開始後の運用、課金とそれぞれのコンサルティングメニューを用意して、トータルに支援します。このうち運用面はMINDとの協力体制で継続的に支援し、将来的にはAIなども採り入れながら運用の効率化や自動化に取り組み、低コストでの運用を目指していきます」と語ります。

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「グローバルIT基盤サービス」コンサルティングメニューの概要図

■「グローバルIT基盤サービス」コンサルティングメニューの概要図

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