メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • カスタマーリポート

  • 導入事例
  • 2004年 3月号(No.92)
  • 株式会社オーエムシーカード
  • FAXOCRシステム「MELFOS」 導入事例
  • カード入会審査を自動化・迅速化
    一日1万件以上の大量処理を実現

サービスの充実化や提携先の拡大など、競争が激化しているクレジットカード業界。その中でも、先行するシステム開発力を武器に、会員数700万人を超えるなど堅実な成長を続けているのが株式会社オーエムシーカードです。
幅広いお客様に新たなライフスタイルを提案するオーエムシーカードでは、入会審査業務の迅速化・効率化が大きなテーマとなっていました。そこで同社は、 2003年3月、クレジットカードの入会審査システム「IBIS(アイビス)」を導入しました。株式会社CSKと共同開発したIBISの特徴は、人工知能技術を活用し、リスクと収益性の両面を考慮した業界でも初めての自動審査を実現したことです。
IBISで処理する大量の入会申込書の多くは、FAXや郵送によるものです。この読み取りに活躍しているのが、三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)のFAXOCRシステム「MELFOS」です。カードビジネスの最前線でも、MELFOSの使いやすさと高精度が高い評価を受けています。

画像:福岡カードセンター画像:OMCカード

カードセンターでは大量の入会審査を行う(福岡カードセンター)(左)とさまざまな種類のOMCカード(右)

人物写真

東京カードセンター
センター長
坂井 裕二

人物写真

会員管理本部 企画管理部
次長 
水上 佳明

人物写真

福岡カードセンター
センター長 
大駅 郁子

サービス強化を目指し
最先端の入会審査システムを

 オーエムシーカードでは約10年間、基幹ホスト系入会審査システムを使用してきました。その間にさまざまな課題が生じ、新審査システムIBISの開発に着手しました。主な目的は3点ありました。
 まず「与信判定を行うスコアリングエンジンの改良」です。スコアリングエンジンは、入会審査システムの心臓部とも言えるものです。従来から蓄積してきた会員データの分析結果をもとに、人工知能技術を駆使した最先端のスコアリングを目指しました。
 2番目の目的は、「即時発行カードのサービス強化」でした。お客様が申し込まれた店頭にてその場で入手できる即時発行カードは、オーエムシーカードが 10数年も前から手がけてきた独自サービスです。発行まで30分近くかかった待ち時間を短縮化することが求められていました。
 3番目に、「入会審査業務の自動化」を目的としました。まず申込書データの入力を、従来の手入力からFAXOCRによる自動処理に変更しました。自動入力の要となるFAXOCRシステムの比較検討においては、多様な申込書式への柔軟な対応性や、読み取り精度の高さなどからMELFOSが採用されました。
 MELFOS選定の経緯について、会員管理本部 企画管理部次長の水上佳明氏は、「MELFOSの優れた特長は、用紙の色彩や書式を選ばないこと。一般的なFAX送信用紙は印刷色が限定されますが、MELFOSはカラフルな用紙でも問題なく読み取れました。また提携カードなど100種以上に及ぶ当社の申込書の書式をすべて統一することは不可能ですが、MELFOS はすべての申込書に対応できる柔軟性がありました。これが選定の一番のポイントでした」と、当時を振り返ります。

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全国の店舗カウンターを結び
最短5分で審査完了

 新審査システムIBISの構築期間は11ヵ月で、2003年3月に稼動スタートしました。
 IBISは、大阪システムセンターを中心に、東京と福岡のカードセンター、全国の店舗カウンター、また基幹ホストシステムや個人信用情報センター、金融機関等を結ぶ大規模なシステムです。
 大阪システムセンターには、MELFOSサーバ、スコアリングエンジンを搭載した審査サーバなど、各種サーバシステムや基幹ホストが設置されています。東京と福岡のカードセンターには、約150台の審査端末が設置され、全国から寄せられる膨大な入会申込が迅速に処理されます。
 オーエムシーカードの入会申込には、店頭・郵送・Webの3つのルートがあります。
 店頭申込の場合、申込書はFAXにより大阪システムセンターのMELFOSサーバに送られます。MELFOSサーバでは、受信したFAXをイメージデータ化し、帳票認識、文字認識を行い、申込書データとして保存します。申込書データは、自動的に東京と福岡のカードセンターにある各審査端末に割り振られ、オペレータが申込書データの確認・修正入力、及びベリファイを行います。審査端末は操作性に優れた液晶2画面PCを採用し、申込書イメージ画面と入力データ画面を対照しやすくなっています。その後、基幹システムからの社内情報や外部信用情報の取得、自動審査、架電による本人確認、決裁が行われます。
 IBISでは、申込書送信から結果返信までの一連のプロセスを最短5分で処理できます。即時発行カードの場合、店頭で本人確認が行われるため審査時の架電はされず、そのため迅速に処理されます。
 郵送の場合は、カードセンターのスキャナで申込書をイメージデータとして取り込み、大阪システムセンターのMELFOSにて帳票認識、文字認識を行い、申込書データとして保存されます。以降の処理プロセスは店頭申込と同様です。

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最先端のスコアリングにより
迅速大量処理を実現

 IBISの導入により、オーエムシーカードでは迅速・正確かつ収益性を考慮した、クレジットカード業界でも最先端の入会審査システムを実現できました。
 その頭脳とも言えるのがスコアリングエンジンです。オーエムシーカードはCSKの協力のもと、人工知能技術を活かし、収益性とリスクの両面を考慮した独自の収益予測スコアリングを採用しました。これは、過去数年に入会した会員のプロフィールや支払い実績のデータベースをもとに判断するものです。たとえば与信限度額を細かく設定し、貸し倒れなどのリスクが高いと判断した場合でも、十分な収益性が見込めれば一定の与信枠のカードを発行することができ、当日売上につながります。国内のクレジットカード会社では初めての試みであり、従来カード発行の対象外としてきた顧客層の新規獲得も可能となります。
 カードセンターにおける入会審査作業は、通常カードよりも即時発行カードが優先されます。IBISはまず即時発行カードの入会審査に要する時間を大幅に短縮し、同時に大量処理を実現しました。
 福岡カードセンターセンター長の大駅郁子氏は、「従来の審査システムでは短くても15分以上要していたものが、最短5分、平均でも6〜7分で結果返信が可能になりました。 2003年の秋、プロ野球のダイエー球団が日本一に輝いた際は、一日で1万件を超える過去最高の即時発行カードの入会申込量を処理できました。従来の手作業ではとても不可能な量でした」と、IBISの導入効果を語ります。

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個人情報を守るために
万全のセキュリティ対策

 入会審査は個人情報を扱うため、厳しいセキュリティ管理が不可欠です。
 大阪府茨木市にある大阪システムセンターでは、365日24時間、万全の体制でシステムの運用監視を行っています。ISMS(Information Security Management System)認証を取得するなど、最先端のセキュリティ品質により高度な自動監視を行っています。
 カードセンターにおいても個人情報管理には細心の配慮を行っています。IBISでは、お客様の申込書イメージの暗証番号部分を黒くつぶし、限られたスタッフしか見られないよう工夫しています。
 災害時等の危機回避にも万全の体制です。福岡と東京のカードセンターは、仮想的に同一のセンターの機能を果たしており、実際に2003年春に発生した福岡市内の豪雨洪水時には、多くのオペレータが福岡カードセンターに出社できない状況となりましたが、すべての業務を東京カードセンターに臨時移管することで乗り切ることができました。
 また虚偽申込や不正申込に対する防止策も万全です。これまで蓄積してきたノウハウにより、不正申込を高精度でチェックすることができます。

画像:作業風景

2画面PCにより効率的に作業(東京カードセンター) *画面は撮影用に作成したものです

画像:作業風景

大阪システムセンター

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カードセンターにおける
業務運営も容易に

 IBIS導入前のカードセンターは、FAXの受信音や、受信用紙の受け渡し、作業指示の声が飛び交っていました。特に平日の夕刻や土日の午後など、入会申込が集中する時間帯には騒然となる場合もありました。また、紙ベースでの作業指示は、ミスの元になっていました。
 一方IBISでは、各審査端末に自動的に順次作業が割り振られるため、オペレータは目の前の作業に集中できます。導入以前と異なり、センター内は極めて静かな環境となりました。
 カードセンター内には作業監視用の大型モニターが置かれ、全体の作業進捗状況が把握できます。作業プロセスごとの進捗スピード、滞留件数、携わっている人数などが分かり、マネジメントが容易です。
 IBISの審査端末では、従来の紙ベースでの作業に比べ、オペレータに求められる熟練度も軽減されています。紙ベースの業務指示に比べ、細かい業務分担が行いやすく、経験の少ないオペレータには単純な入力作業のみ分担させ、経験豊富なオペレータに熟練を要するベリファイ作業などを割り振ることができます。

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優れたITシステムを活用し
より高品質なサービスへ

 東京カードセンターセンター長の坂井裕二氏は、「当社はクレジットカード業界においては中堅ながらも、今回最先端の入会審査システムを採用しました。導入後半年が経過し、ようやく使いこなせるようになった段階です。今後、競争の激しい業界において有益な戦力になることでしょう。この審査システムがオーエムシーカードの新たな事業ステップにつながることを確信しています」と、近い将来の大きな可能性を語ります。
 “優れたITシステムを活用して、クレジットカード業界で最高のサービスを!!”。オーエムシーカードのチャレンジは、さらに大きな目標に向かって進みます。

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説明図

IBISシステム構成

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  • 株式会社CSK
  • 先進の人工知能技術とBPOサービスにより
    生産性向上に役立つシステムを提案

人物写真

金融システム事業本部
事業本部長
工藤 敏晃

人物写真

金融システム事業本部
金融システム第六事業部 事業部長
堀中 一郎

金融分野で培ったノウハウを
画期的な審査システムに

CSK本社ビル

東京・青山に立地するCSK本社ビル

 オーエムシーカード様の入会審査システムは、クレジットカード業界でも最先端のシステムであり、株式会社CSKにとっても非常に意義深く挑戦しがいのあるものでした。
 当初のシステム開発の目標は、従来30分近く要していた審査時間を15分以内に、というものでした。また入会申込のピーク時には2,500件/時という大量件数にも応えられるシステムが求められました。そこで人工知能技術を用い、人手を介しない自動審査により5分以内で入会審査が行えるシステムを追求しました。
 CSKが金融システム分野で人工知能を活用したのは、十数年前にクレジットカードの不正使用対策に用いたのが最初でした。その後、多くのノウハウが蓄積され、オーエムシーカード様のシステム構築に活かされています。
 金融システム事業本部 金融システム第六事業部事業部長の堀中一郎氏は、「人工知能技術は、スコアリングエンジンの中核となるもので、不正使用等のリスクを予測するリスクスコアリングと、将来の収益性を予測する収益スコアリングの両面で活用しました。中でも収益スコアリングは画期的なものであり、オーエムシーカード様の入会審査システムを特徴づけるものとなっています」と語ります。

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BPOサービスにより
つねにお客様の生産性向上を

 金融業界において、ITの重要度は増す一方です。その優劣がビジネスの成否につながると言っても過言ではありません。CSKは、ここ十数年来の金融業界の急激な変貌の中で、独自のシステム構築力を活かし、金融システム分野での成長を続けてきました。
 金融システム事業本部事業本部長の工藤敏晃氏は、「当社では、豊富な金融システムの構築実績で培ってきたノウハウを役立て、金融ビジネス分野に独自のITサービスを提供していきます。不正使用を防ぐシステム作りもそのひとつです。また、わが社が提唱しているBPO(Business Process Outsourcing)サービスにより、金融機関様の生産性向上に寄与するサービスを提案していきたいですね」と、将来を展望します。
 CSKのBPOサービスは、お客様のビジネス全体の最適化をお客様とともに実現しようというものです。分析・改善・実行のサイクルを繰り返すことにより、個別業務のプロセスを改善し、コア業務への集中をサポートします。
 オーエムシーカード様の入会審査システムは、CSKのノウハウが凝縮されたものであり、今後他のクレジットカード企業の目標となるシステムとも言えるでしょう。

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