メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • カスタマーリポート

  • 導入事例
  • 2004年 11月号(No.100)
  • 株式会社ライフォート
  • データウェアハウスサーバ「DIAPRISM」導入事例
  • 「顧客満足度の向上」のための目的意識と
    評価基準のはっきりしたCRM分析を実践

今年5月、マルゼンと神薬堂の2チェーン合併によって設立された株式会社ライフォート。神戸市に本部を置き、「ライフスタイルドラッグストア」を提案する同社の店舗数は101(2004年6月現在)、売上は320億円規模となっています。さらに、現在も京阪神・山陰を中心に店舗網を拡大中で、将来的には首都圏への出店も視野に入れています。同社では、顧客を属性・購買金額・来店頻度などで分類、個別にきめ細かい販促を行い、売上や利益の向上を図るCRMを展開中で、ここから読み取れるデータを、効果の高い販売促進のみならず「顧客満足度の高い店作り」に役立てています。そのデータの集計、分析に三菱電機インフォメーションテクノロジー株式会社(MDIT)の「DIAPRISM」が活用されています。

画像:ライフォート米田店の外観とポイントカード

人物写真

取締役
営業企画部長
寺田 光

人物写真

情報システム部長
久保 昭

スタンプカードから
ポイントカードへ

 ライフォートでは、合併前の神薬堂で高い効果をあげたCRMシステムの全店導入と、そのデータを基にした販促、そして顧客満足度向上の実践を進めています。取締役営業企画部長の寺田光氏は、「以前からスタンプカードを導入していましたが、それを集計、商品分析したり、顧客分析を行うことはできませんでした。他店との競争がますます厳しくなる中で、私たちの顧客とは誰なのかを改めて見直すツールがどうしても必要でした」と話します。
 1年間の準備期間を経て、旧神薬堂でCRMを導入したのが2002年6月。採用したのは、「DIAPRISM」でした。導入後、同社では顧客の購買金額や粗利額などの諸データを基に、年齢層や居住分布などの属性で分類したり、月間や曜日別、時間帯での購買動向を追いかけることが可能になったほか、併買傾向をはじめとする顧客の購買動向が、表やグラフ・マップ表示で一目で把握できるようになりました。
 ライフォートでは、まず、それまでのスタンプカードを切り替える形でリライト型のポイントカード発行を顧客に勧め、さらに、会員になると同時に住所・氏名・性別・電話番号・E-mailアドレスを用紙に記入してもらうことを各店舗で行いました。その場でポイントカードを発行した後、買い物のたびに購買履歴を蓄積し、収集した情報を本部で分析するシステムを構築しました。
 旧神薬堂では、同年9月までに約30店全店にこのシステムを設置、以後、顧客データを活用した数々の販促を行ってきました。

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顧客を絞り込んだ販促で、
DM発送の7割が来客

 2003年8月1日〜15日の期間で行った「プレミアムセール」では、粗利が上位2万人までの顧客を抽出してDMを発送。重点商品として医薬品など4アイテムをPRし、同時に日用品を対象とした50〜100円のクーポン券を添付しました。さらに全品10%の割引券をつけたところ、レスポンス率はなんと70%を記録しました。選んだ4アイテムに限っても前月対比の4〜5倍の売行きを示し、台風や冷夏で低迷気味だった売上を立ち直らせることができました。
 また、50アイテムほどの主要商品の中から特にリピート率が低い商品を選び出し、過去に対象商品を購入し、その後長期間継続購入のない顧客を対象に、買い替え時期を狙ってDMを打ちました。これに対するレスポンス率は80%近くに達し、売上向上に大きく貢献しました。顧客を絞り込むことでDM発送コストも軽減、良くて数%のレスポンスと言われるDMの世界で、極めて効果的な販促となりました。
 さらに、ポイントデータを基に、顧客属性と好適商品の相関関係を把握でき、きめ細かい販促も可能となりました。例えば、シミ、ソバカスに効果のあるというシステイン配合の製品は各社から出されていますが、分析すると商品ごとの利用者の年齢層は明らかに違っていました。こうした分析結果を基に、新商品発売時にそれらの年齢層を考慮しながら慎重に顧客を抽出し、個別にPRすることもできます。
 このほか、購入金額や粗利などで選び出した優良顧客の居住分布など、顧客像が一目瞭然になりました。このデータを基にした同社の数百枚単位のこまめな販促成果がメーカーやサプライヤーも注目を集め、サプリメント製品や育毛剤などでのタイアップ販促が実現しています。

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リピート率、ランク維持度で
店舗ごとの顧客満足度を分析

画像:カードリーダー

 このように同社では、CRMによるデータ分析からワン・トゥ・ワンマーケティングを確実に実践、さらに店舗ごとの顧客満足度の向上のためにデータを活用しています。
 「DIAPRISM」による分析では、顧客ごとのリピート率や、売上や粗利で分類した顧客のランク間での動向も追跡できます。リピート率が高ければ満足度は高く、逆ならば低い。また、ある月にAランクにいた顧客が翌月も同じランクにいれば満足度は高く、Bランク、Cランクの顧客がAランクに上がればなお高い。逆ならば店に対する満足度は低いことになります。
 同社では、この顧客リピート率や、Aランクの顧客維持と下位ランク顧客をどれだけAランクに育成できたかという「A顧客維持・育成指数」を基に、各店の顧客満足度の評価を行い、人事考課の基準の1つとして採用しています。
 また、重点販売品目ごとに、購入した顧客のその後の購入履歴をトレースすることで、さまざまな情報が得られます。対象商品を何度も購入していればその商品から高い満足度を得たことになります。逆に、一度きりなら商品に不満があったか使い勝手が合わなかったことを意味し、さらなる分析と販売手法の再検討が必要です。さらに、店の利用自体が減っていれば顧客の意に染まない販売があったと考えられるなど、売り方の善し悪しまでもCRMによって分析できることになります。

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厳しい環境の中で現場の
モチベーションを維持・向上する

画像:店舗内

 同社では、各店舗向けに「A会員維持・育成」と一般顧客の「リピート率の改善」のためのチェック表も作成しています。顧客満足度は多様な要素に左右されますが、チェック表には、「情報の共有化」「売り場環境の改善」「接客・サービス」など、計80項目にわたり詳細な対策がまとめられています。評価だけではなく、各店舗が問題点を認識し、的確な対策を取り、効果的な改善をしようという狙いです。
 店舗には、売上データに加え、顧客満足度という別の指標が加わりますが、現場の努力が適切に評価されることで、士気を高められるという効果があります。これについて情報システム部長の久保昭氏は、「競合店出店など環境が厳しくなる現在、売上を見ているだけでは、前年マイナス、予算マイナスなど、辛い評価しか得られず、現場でのやる気も殺がれるだけです。しかし、別の指標が加われば、かえって立ち直るきっかけもつかめるはずです」と話します。
 競合店出店直後は、売上もリピート率も下がるものですが、その後も店の水準を維持し続ければ、数カ月後に顧客が戻ってくる可能性が高いと言えます。しかし、売上にすぐに直結されるわけではないため、わかっていても自分たちの努力になかなか確信を持ちきれないのも事実です。だからこそ、このときにリピート率などから顧客が戻ってきていること、すなわち努力した成果が数値として把握できれば大きな励みとなります。
 品揃えの改善や販促、接客・サービスの向上など、確信を持って続ければ必ず売上の回復に結びつきます。また、指標が多いほどヒントを多方面から得られ、改善の糸口も多面的に探ることができます。さらに同社では、各店舗からオーダーする分析「依頼メニュー」を作っており、これに対しての店長からの問い合わせが増え続けていると言います。店長は「ウチの顧客はこういう人たち」「こういう売り方が喜ばれるはず」と直感的にわかっていても、なかなか確信を持てないものです。しかし、CRM分析で漠然としたものをはっきりとさせれば、店長は自信を持って対応できます。
 寺田氏は、「今は上からこうしろと指示するような時代ではありません。店長は自分で数値を見て、考え、具体的な目標を定める。そして全員が情報を共有して意識の向上を図る。店の活動範囲がこうして広がっていきます」と、自分の店舗の数値を把握することが、現場が自ら動く原動力になることを強調します。
 現在、ポイントカードの会員は40万人で、購入者の70%を占めます。導入から2年弱でここまで蓄積できたのは、各店で目標を定め、積極的に入会の勧誘を行ったことと、お客様から信頼を得たことが大きな要因です。プレミアムセール時のレスポンス率も驚異的でしたが、DMがほとんど間違いなく届けられたことも驚きでした。
 これは、会員登録の際にお客様が住所や名前を正確に書いてくれていた証でもあり、店やチェーンへの信頼度が現れていると言えます。ライフォートでは、会員の増加を励みに、今後は、兵庫県内の店舗を中心に、さらなるCRM分析と幅広い活用を進めていく方針です。

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