メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • カスタマーリポート

  • 導入事例
  • 2006年 11月号(No.121)
  • 岐阜県医師会・岐阜市医師会
  • 電子署名ソリューション「MistyGuard<SignedPDF>シリーズ」導入事例
  • 安全な医療情報交換の基盤確立に向け
    「日医認証局実証実験」を推進

約16万人の会員医師を擁する日本医師会では、標準化されたシステム導入、互換性のある医療情報のやり取りなど、広範囲の医療現場を前提とした様々なIT関連プロジェクトを推進しています。こうした医療現場でのIT活用で不可欠な仕組みの一つが、医療従事者の公的資格などを認証する基盤。すでに同会では、 PKI(Public Key Infrastructure)の仕組みを活用することで広範囲の医師の認証を可能にする「日医認証局」を構築しました。これをを踏まえて、診療情報提供書(医師の「紹介状」)の発行から電子署名、紹介先での確認までの一連の流れを通じて電子署名の有用性を検証する「日医認証局実証実験」が、平成17年度に岐阜地区と京都地区で実施されました。この取り組みで、三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)の電子署名ソリューション「MistyGuard<SignedPDF>シリーズ」が活用され、安全な医療情報交換の基盤確立に貢献しています。

画像:建物外観

医療のIT化を積極的に推進する岐阜県医師会

人物写真

岐阜県医師会 副会長
川出 靖彦

人物写真

岐阜市医師会 副会長
河合 直樹

HPKIの普及を目指し
実務を通じて有用性を検証

 日本医師会が平成17年度後半に実施した「日医認証局実証実験」の大きな目的は、電子証明書による電子署名の有用性検証と安全な情報交換の基盤整備についての基礎データ収集。同会では以前から全国統一のルールに基づいた認証基盤の確立を目指し、ヘルスケアPKI(HPKI)に準拠した「日医認証局」を約 16万人の会員医師を対象に構築、運用してきました。今回の実証実験で利用したシステムは、このプロジェクトの一環として開発されたものです。
 実証実験では、日医認証局が発行した電子証明書をICカードに格納するという方式を採用しました。利用する会員医師はインターネット経由でPDF形式の紹介状を作成します。その後作成した紹介状に電子署名を付与し、患者の了解を得た上で、イントラネット経由などで送信するという流れとなります。紹介状の受信側はPDFファイルの印影をクリックすると署名者情報を確認できます。
 実証実験の電子署名システムは、ヘルスケア(保健・医療・福祉)分野でのセキュリティーシステム構築実績、上流から下流まで幅広くセキュリティー製品が提供していること、ブラックボックス化されていない国産技術によって開発されているなどの理由からMDISの MistyGuard<SignedPDF>シリーズから、署名機能として「SignedPDF Interactive Server」が、署名文書受け手側の検証ツールとして「SignedPDF Verifier」が選定、活用されました。実証実験で使用するICカード(日医認証局電子署名カード)の発行および電子署名システムのハウジングは三菱電機グループ関係会社で、電子認証サービスなどを提供しているジャパンネット株式会社が行っています。
 今回の実証実験も含めた一連の取り組みで日本医師会が重視したのは、医療現場のIT化で不可避となるセキュリティーを確保するための認証基盤の普及です。実証実験は、紹介状のやり取りを通じて現場の医師に電子署名や電子証明書の仕組みや必要性に対する理解を浸透させる取り組みとしても位置付けることができます。

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実証実験の仕組みは
岐阜県医師会の方向性にも合致

 今回、日医認証局実証実験を実施した岐阜地区では、岐阜市医師会を中心にIT化の取り組みを推進してきました。1997年には、まず岐阜市内を対象にした医療機関のイントラネットを構築し、1999年にはこれを3市3郡に拡大した岐阜地区医療総合ネットワークの整備を完了。2000年には、介護保険主治医意見書を送信するなど、イントラネットを利用した医療情報交換がすでに実施されていました。
 2005年4月からは、こうした取り組みを県内全域に拡大するため、岐阜県医師会主導による岐阜県医療総合情報ネットワーク構築へと移行。すでに確立していた診療情報提供書による医療機関連携の仕組みを電子化するための準備にも着手し始めていました。こうしたIT化の方向性を明確にしていた岐阜県医師会にとって、大きな意味を持っていたのが日本医師会の計画していた「日医認証局実証実験」です。岐阜県医師会副会長の川出靖彦氏は、実証実験の位置付けについて、次のように語ります。
 「紹介状作成ソフトを開発するといった作業は進めていましたが、まだ実験レベルであり、セキュリティーが大きな懸念材料でした。特に電子化された医療情報の交換を前提にすると、間違いなく医師が作成したことをいかに証明するかが重要になります。日本医師会の実証実験は、まさにこれを実現する仕組みであり、岐阜県医師会が求めていた仕組みでもありました」
 岐阜県医師会では実証実験の実施決定後、岐阜市医師会の協力も得ながら2005年11月から会員医師を対象に参加者を募集。ICカードや検証ソフトの配布などを経て、2006年2月には会員医師によって実際に紹介状を作成し電子署名を付与するという実運用がスタートしました。

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医療現場の意識が
IT化普及のカギ

 約2カ月の試用期間を経て実施したアンケート調査によれば、「将来的に日常臨床に有用と思いますか?」という設問に対しては95%が「有用と思う」「どちらかというと有用だと思う」と回答するなど、現場での高い評価を示す結果が表れています。岐阜市医師会副会長の河合直樹氏は、今回の実証実験の成果について、次のように話します。
 「これまで概念とされていた認証の仕組みを、会員医師が実際に体感できたことが重要です。紙文書であれば印鑑を押せば終わりですが、電子化された場合には、ICカード内の電子証明書を用いて、自分が作成したという証明を文書の中に閉じ込める作業が必要になります。ITに詳しくない医師でもそれを肌で感じながら、実際に使えたということが大きな収穫だと思います」
 今回の実証実験は当初の目的は達成しましたが、「大きな一歩だが、第一歩を踏み出したに過ぎない」と川出氏は語ります。電子署名や電子認証の仕組みを医療現場に普及させるためには、まだ課題も残されています。
 「将来的には国内すべての医師を認証する仕組みも必要になります。また、医療情報を蓄積したデータベースサーバをどこに設置するか、病院内のネットワークをどう構成して外部の情報を取り込むかなど、運用上の課題も残されています。これらは試行錯誤を通じて解決していくしかないと思いますが、明らかなことは、今回のような認証の仕組みが必須だということです。我々はもっと多くの医師の方々に、認証の仕組みを理解していただくことが、次のステップだと考えています」と河合氏は語ります。
 川出氏はIT化普及のためには現場がITの必要性を実感することが不可欠だと指摘します。
 「医療機関連携を考えると、IT化によって診療情報が確認できれば、複数の診療科を受診する患者様の重複検査を排除できるなど、確実に効率を高めることができます。どこまでの診療情報を電子化するべきかなど、今後も議論が必要なテーマもありますが、まず、最低限の情報を交換できれば、明らかに便利になることを現場の医師が実感することが重要です。IT化の普及は、その点にかかっているといっても過言ではないのではないでしょうか。岐阜地区では今回の実証実験で必要性を実感できたと確信しています」
 岐阜県医師会では、今回の仕組みを導入する範囲を順次拡大し、医療のIT化を推進していきます。

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説明図

実証実験のイメージ

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