メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • カスタマーリポート

  • 導入事例
  • 2008年 10月号(No.140)
  • 三菱化学株式会社
  • 内部統制整備/評価支援ツール「TOOLMASTER/IC」導入事例
  • 有効性評価基盤の整備により
    作業の効率化と継続的な改善を推進

2005年10月に設立された三菱ケミカルホールディングスグループの事業会社として、“化学”を出発点にした広範な技術基盤をもとに、機能商品、ヘルスケア、化学品の3分野でグローバル事業を展開する三菱化学株式会社。三菱ケミカルホールディングスグループとしての業務プロセスレベルの内部統制において評価対象となっている同社は、2008年4月に適用された金融商品取引法の内部統制報告制度に対応するため、現在、有効性評価の実務作業を推進しています。その中で大きな課題の1つとなったのが、約30にも及ぶ事業部門の多様な業務プロセスに対応した有効性評価の仕組み作り。その基盤として同社は、三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)が提供する「TOOLMASTER/IC(ツールマスターアイシー)」を活用し作業の効率化を図っています。

画像:ポータブルハードディスク「Verbatim Portable HDD」画像:環境持続型樹脂「GS Pla」

三菱化学グループが提供する様々な製品。USB/FireWire接続可能なグローバルブランドのポータブルハードディスク「Verbatim Portable HDD」(写真左)と、地球にやさしい環境持続型樹脂「GS Pla」(写真右)

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監査室長
樋渡 泰典

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内部統制推進部
J-SOX推進グループ
グループマネジャー
橋本 尚久

統制レベルの継続的な向上に向け
有効性評価のITツールが不可欠に

 3月決算企業では2008年4月1日から本番を迎えた金融商品取引法の内部統制報告制度。三菱ケミカルホールディングスとして、全社的な内部統制では国内外の約30社、業務プロセスレベルでの内部統制では国内7社と海外1社を評価範囲としていますが、この中の1社として、グループ全体の基本方針に基づき、三菱化学では2006年11月にプロジェクトを発足し、取り組みを推進しています。
 同プロジェクトでは、当初からITツールの必要性を認識し、早い段階から文書化ツールの「iGrafx FlowCharter SOX+(アイグラフィクス フローチャーター ソックスプラス)」を活用して、業務フローやRCM(Risk Control Matrix)などの作成を進めていました。この過程で大きな課題の1つとして認識され始めたのが、約30にも及ぶ事業部門の多様な業務プロセスに対応した有効性評価の仕組み作り。三菱化学では、提供する製品が素材から加工品に至るまで多岐に渡っているほか、製品の提供先によって取引形態が異なる状況があったためです。
 プロジェクトでは、当初作成した約50〜60種類にも及ぶ業務フローをグルーピングしながら標準化を推進。最終的に9種類の業務フローに統合しました。プロジェクトで中心的な役割を果たした内部統制推進部J-SOX推進グループグループマネジャーの橋本尚久氏は、業務フローの標準化に加え、統制レベルの均質化を目指す上で、有効性評価の作業を標準化できるITツールが必要だったという点を強調します。
 「膨大な種類の業務フローを対象に有効性評価の作業を進めるのは困難だと判断し、業務フローを標準化しましたが、今回の制度対応ではグループ内での統制レベルを均質化し、継続的に向上させていくことが重要です。そのためには、業務フローだけではなく、有効性評価のルールや基準も標準化して提供し、作業をモニタリングしながら点検結果や証憑を保存していく必要があります。それが明確になった時点で、ITツールが必要であると判断しました」

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作業と関連付けた一元管理に加え
コミュニケーション機能を評価

 プロジェクトでは文書化作業を進めるとともに、2007年9月から有効性評価を支援するITツール導入の本格的な検討を開始。デモンストレーションや懸念事項に対する集中的な議論などを通じて複数製品を詳細に比較・検討し、最終的にMDISが提供する「TOOLMASTER/IC」の導入を決定しました。
 「まず、大企業での導入事例があることを前提条件としていたため、三菱電機での実績を評価しました。また、有効性評価の具体的な作業は自社の実態に即して、私どもが明確にする必要性があります。その一連の作業を最適化するという観点で、基本コンセプトがしっかりした製品を導入した方が有効だと判断しました。そして、プロジェクトとして『TOOLMASTER/IC』を選択することにしたのです」(橋本氏)
 その検討にあたり重視した機能の1つは、不備の発見〜是正〜再評価のライフサイクル管理でした。これら一連の作業とデータを関連付けて管理できるだけではなく、現場とのコミュニケーションツールとしての優位性が大きなポイントとなりました。
 「各事業部門に対する指示、あるいは各事業部門からの報告といったコミュニケーションにメールを使うと、体系的な管理が困難になることを当初から懸念していました。『TOOL MASTER/IC』であれば、ワークフローで決められた手順を踏み、証跡を残すこともできる。必要なデータを網羅して一元管理できるというデータキャビネットとしての機能に加え、作業と関連付けたコミュニケーションツールとしての機能を高く評価しました」(橋本氏)
 さらに、「TOOLMASTER/IC」が文書化のツールとして活用しているiGrafxとの連携を容易に実現できる点にも着目。作成していた膨大な文書を活かせるメリットも選択のポイントになりました。

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作業の明確化と体制作りを進め
継続的な改善を着実に推進

 三菱化学では、2008年2月に内部統制推進部を設置し、プロジェクトの役割を部内のJ-SOX推進グループに移管しました。J-SOX推進グループは、内部統制推進部に統合された監査室と連携しながら、同年4月までに特定の業務プロセスを対象に、不備の是正・再評価に至る有効性評価の簡易的な試行を実施。並行して三菱化学グループのIT事業を担う株式会社菱化システムの支援によって「TOOL MASTER/IC」の導入を進め、5月に本稼働を開始しました。
 その後J-SOX推進グループと監査室では、組織階層や業務プロセスの管理体系といった有効性評価作業の詳細設計を進めながら「TOOLMASTER/IC」への登録を開始。監査室長の樋渡泰典氏は次のように語ります。
 「当社はテストの対象が広範囲に及ぶため、テストを実施する現場と連携が取れる体制作りがポイントになりました。具体的には、どの単位で責任者を配置し、内部統制推進部とどのように作業を分担するかなどを明確にして、必要な教育を実施しています。『TOOL MASTER/IC』をコミュニケーションツールとして活用しながら、制度2年目以降の継続的な改善を全社的に統制の取れた形で進められるのは、大きな効果だと思います」
 また、コミュニケーションツールとしての活用では、海外の事業拠点を対象にした有効性評価の作業でも効果が期待されています。
「物理的な距離を縮められるというメリットは大きいと思います。私どもにとっては、データを集める、メールのやり取りをするといった作業負担を徹底的に減らし、評価に時間を費やすことが重要ですから、海外拠点に対してもワークフロー機能を活用していく。三菱ケミカルホールディングスの経営戦略としてグローバル展開を図る上で、海外事業拠点に対して『TOOLMASTER/IC』を活用できる効果を期待しています」(橋本氏)
 「TOOLMASTER/IC」の導入は、三菱化学として内部統制への主体的な取り組みを推進する上でも大きな役割を果たしています。「『TOOL MASTER/IC』を導入したことで、どの組織にどのようなテスト指示を発行すべきかといった作業をしっかり整理して着実に進められるようになりました。また、私どもの要望・疑問に対して明確にアドバイスをいただけるMDISのサポート力も高く評価しています。今後もMDISの提案を参考にしながら、ツールを活かした運用方法を見極めていきたいと考えています」(樋渡氏)
 三菱化学が導入したことで、三菱ケミカルホールディングスでは「TOOLMASTER/IC」をグループとしての標準的なツールに位置付ける方針を明確化。すでに三菱樹脂、田辺三菱製薬でも導入の検討を進めています。
 三菱化学は、三菱ケミカルホールディングスグループの中核会社の1つとして、高度な技術力を背景に革新的な製品・サービスを提供するとともに、「化学」の力で社会に貢献していきます。

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説明図

システム構成イメージ

※TOOLMASTER/ICは三菱電機株式会社の登録商標です。
※その他、会社名および製品名は各社の商標または登録商標です。

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