メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • カスタマーリポート

  • 導入事例
  • 2009年 4月号(No.145)
  • リオン株式会社
  • 三菱SCM/ERPソリューション「MELEBUS」導入事例
  • 基幹システムの全体最適化に向けた
    円滑なプロジェクト推進で
    自社主導による短期導入と着実な機能拡張を実現

リオネットの名で親しまれている補聴器をはじめ、医用検査機器、産業用途の音響・振動計測機器群や微粒子計測器、地震計測システムなど、長年培った技術力を結集した事業を展開するリオン株式会社。IT活用にも積極的な姿勢を見せる同社は、2006年7月から基幹システムの全面刷新に着手。三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)の製造業向けERPテンプレート「MELEBUS(メリーバス)」の活用や、一体となった円滑なブロジェクト推進により、10ヵ月後の2007年5月から本稼働を開始。さらに、この期間で培ったスキルによって、グループ会社を含めた機能拡張も自社主導で着実に推進し、全体最適化による様々な効果を実現しています。

画像:デジタル補聴器「リオネットロゼ」画像:普通騒音計「NL-27」

快適な生活の実現に貢献するリオンの新製品。補聴器で音のコントラストを調整し、自動的に聴き取りやすい音にする独自の新技術「SSS機能」を搭載したデジタル補聴器「リオネットロゼ」(写真左)と超小型・超軽量タイプの普通騒音計「NL-27」(写真右)

人物写真

常務取締役
経営企画統括部長
清水 健一

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取締役
管理統括部長
山根 昇

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管理統括部
システム管理部
部長
武井 直樹

システム運用負担の増大で
“全体最適”が不可欠に

 リオン株式会社では、ユーザ部門にとっての使いやすさに主眼を置いた自社開発による基幹システム構築を約35年前から推進してきました。対象となる業務領域の拡大やシステム間連携、ユーザの要望に応える様々な改善を実施しながら運用を継続してきましたが、長年に及ぶ安定稼働の維持を実現する一方で、システム運用に携わる情報システム部門の負担が増大。システムの全体構造が複雑化したことで、改善に伴う影響範囲の特定が困難、COBOL言語に精通した要員の不足といった課題が顕在化していました。
 そこでリオンでは2006年に入り、会計や生産管理、販売・在庫管理などの基幹システムの全面刷新を決断。自社開発による段階的な移行を検討しましたが、最終的にERPの導入を決定しました。
 常務取締役・経営企画統括部長の清水健一氏は、従来の情報システム構築・運用に対する基本方針の転換が不可欠だったことを強調します。
 「ユーザ部門にとっての使いやすさだけではなく、経営的な観点から必要な情報をスピーディーに把握するリアルタイム性を高めるべきだと考えました。また、社内外の環境変化に柔軟に対応するには、システム全体の複雑化という状況から脱する必要があります。そこで従来のような個別最適ではなく、全体最適というコンセプトを採用すべきだと判断しました」
 また、そのコンセプトと合わせて重視したのが、同社が培ってきた独自のノウハウとの適合性です。取締役・管理統括部長の山根昇氏は、特に生産管理業務の標準プロセスが決め手になったと指摘します。
 「SAP ERPには、これまで当社が独自のノウハウを結集し築いてきた生産管理プロセスが包含されていたことが、導入を決断した大きな要因です。つまりアドオンではなく、標準プロセスを活用することで当社の強みを活かすことが可能です。全体最適を目指しながら、自社開発より短期間に導入できるメリットを重視しました」

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着実な稼働を短期間に実現する
的確な提案、導入実績を重視

 SAP ERP導入にあたり、リオンでは複数のベンダーに提案を依頼して内容を検討。最終的に、製造業向けテンプレートである「MELEBUS」を提供するMDISの採用を決定しました。
 「私どもはまず、全体最適のコンセプトに基づく新たな基幹システムを早期に稼働させることを優先しました。MDISはその要望に応じた的確な提案をしてくれました。また、製造業向けに開発された『MELEBUS』の導入実績から、豊富なノウハウを持っていると判断できたことも、ポイントの1つになりました」(山根氏)
 リオンでは、2006年7月にプロジェクトを発足。基幹システム再構築(ブループロジェクト)と機能拡張(Mプロジェクト)の2つに分けた計画を策定しました。2段階の導入アプローチを採用した理由はリスクの軽減にあります。管理統括部システム管理部部長の武井直樹氏は、さらに自社主導の導入を進める目的もあったと語ります。
 「従来の自社開発と比較すると未知数の部分が多く、最初から広範囲を対象にするのはリスクが大きいと判断しました。また、最初のプロジェクトで社内の人材のスキルアップを図れば、次のプロジェクトを自社主導でスムーズに推進できる。そうしたスキルトランスファーを当初から計画していたMDISの提案も高く評価し、計画を策定しました」

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スキルトランスファーによって
プロジェクトを円滑に推進

 リオンではERP導入を全社的プロジェクトと位置付け、活動推進にあたっては、プロジェクトメンバーに対してトップダウンで全体最適というコンセプトを徹底。また、従来は情報システム部門主導で進めるケースが多かったのに対し、今回はユーザ部門主導という方針を明確化しました。
 リオンでは、こうした従来と大きく異なるプロジェクトをMDISの支援のもと、計画から要件定義、設計・開発、運用環境構築に至るすべてのフェーズで着実に推進していきました。
 「例えば細かいレベルの進捗管理など、MDISは期限を厳守するための手法やノウハウを具体的に提示してくれた点を評価しています。また、ユーザ部門主導の体制整備に関するアドバイスも非常に有効でした。結果的に、ユーザ部門のメンバー自らが主体的に取り組む意識改革が実現でき、その積極的な取り組みがプロジェクトを円滑に推進する大きな原動力になりました」(山根氏)
 また、SAP ERPに関する技術的なスキルトランスファーによる効果も発揮されました。
 「特に開発フェーズに入ってからの、プロトタイプを使った指導が効果的でした。私どもはERPに対して手探り状態にあり、戸惑いも予想以上に大きかったことは事実です。例えば、初めてERPに接するメンバーにとっては、入力したデータがどこに影響を及ぼすかといった点が非常に理解しづらい。そうした状況の中でMDISが的確なアドバイスをしてくれたことで、私どものスキルも確実に向上していきました」(武井氏)
 こうした活動を経て、リオンの基幹システム再構築は、当初計画の納期とコストを厳守。10ヵ月後の2007年5月に本稼働を開始しました。その後同年 10月からは、メンテナンスシステム構築とリオンサービスセンター株式会社への機能拡張を推進。蓄積したスキルやノウハウを活かした自社主導の活動により、7ヵ月という短期間で2008年5月からの本稼動を実現しました。

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運用負荷軽減、内部統制強化など
全体最適による効果を創出

 リオンでは、当初から重視した個別最適から全体最適への移行により、様々な効果を創出しました。
 「特に安定稼働を維持する負担が大幅に軽減されました。この結果、例えば今後は、生産管理や在庫管理などの仕組みをどう最適化するかといった戦略的な議論に集中できます。税制や会計制度といった社外環境も含め、システムが変化に対して柔軟に対応できるという安心感を持てたことは、経営的にも非常に大きな効果といえます」(清水氏)
 また、すでに認識されている重要な効果の1つに内部統制の強化があります。
 「SAP ERPを導入したことで、監査対応の点でも信頼性が担保できました。また、グループの連結経営という観点では、与信管理や棚卸評価などの仕組みをリオンサービスセンターと共通化できたことが大きい。グループ内で管理レベルの共通化を図れたことは、内部統制の強化に向けたメリットとなりました」(清水氏)
 現在、リオンでは投資対効果を見極めながら、ERPシステムの拡充を図り、グループ総合力のさらなる向上を推進中です。
 リオンは理学に深く根ざした音響とそれに関連する分野をさらに開拓し、これからも社会の発展と快適な生活の実現および環境改善に貢献していきます。

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説明図

リオンの基幹システム全面刷新プロジェクト

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