三菱電機株式会社(社長:野間口 有)は、光通信システムの「誤り訂正技術*1」で、「ターボ符号*2」と「軟判定回路*3」を組み合わせることにより、情報ビット全体に対する訂正可能ビット数の比率が最大2%となる、世界最高性能の「誤り訂正技術」を開発し、このほど10Gbps(ギガビット/秒、1ギガは10億)の通信速度での動作実証に成功しました。
これまでの業界標準*4 の140倍の「ビット誤り」を訂正できることから、光通信装置のコストを上昇させること無く、システムの長距離化、大容量化が可能となります。この技術についてOFC2003(Optical Fiber Communication Conference、3月27日、米国アトランタ)で発表します。
| *1 | 誤り訂正技術 | : | 伝送したい情報ビットに送信側で付加情報を加えておき、伝送路でビット誤りが発生しても 、付加した情報をもとに受信側でビット誤りを訂正する技術。 |
| *2 | ターボ符号 | : | 情報ビットの誤り訂正に用いる符号の一つで、ビット誤り訂正能力に優れていることが特長 。 |
| *3 | 軟判定回路 | : | 通常、デジタル情報ビットは1か0で区別されるが、"0に近い1"や"1に近い1"など、"確からしさ"情報を併せ持つようにビットを判定する回路。これにより「ターボ符号」の性能を飛躍的に向上させることができる。 |
| *4 | これまでの 業界標準 | : | リード・ソロモンとよばれる符号を用いる方式で、ITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)にて標準化され広く実用化されている方式。 |
開発の背景
光ファイバーは、高速で高品質の通信ネットワークを実現できる伝送路として、海底ケーブルシステムをはじめとする通信システムの基幹網で利用されています。
ところが、ネットワークが長距離化・大容量化するにつれて、伝送する情報1ビット当たりの光パワーが減少するため、受信局に正しく情報が伝わらない「ビット誤り」が増加し、中継できる距離の制約から多くの光通信装置が必要となるなど投資コスト増加の要因となっていました。
こうした背景から、光通信のさらなる長距離化・高速化を低コストで実現するために、情報ビットの「誤り訂正技術」の処理性能を飛躍的に高める技術の開発が望まれていました。
開発の概要と主な成果
| 1. | 光通信用として世界最高となる最大2%(従来比140倍)の誤り訂正能力を実証 「ターボ符号」と「軟判定回路」を組み合わせた新しい回路技術を開発することにより、全情報ビット中、最大2%のビット誤りまで訂正できる「誤り訂正技術」を開発し、実証に成功しました。これまでの光通信の業界標準では0.014%であったことと比較して、140倍の「ビット誤り」を許容できるようになります。 これにより、光ファイバー伝送路を新たに張り替えることなく伝送容量を約3倍に拡大することや、伝送可能距離を約1.4倍に延ばすことが技術的に可能となります。 |
| 2. | 世界初となる「ターボ符号」の光通信応用と、10Gbpsで動作する「軟判定回路」 誤り訂正に「ターボ符号」と「軟判定回路」を用いる方式は、伝送速度が数十Mbps(メガビット/秒、1メガは百万)と比較的低速な無線システムでは使われていますが、高速な光通信では処理性能の限界があり適用困難とされてきました。 当社は独自の符号処理方式と高速半導体回路設計技術により、これらを実現しました。 |
今後の展開について
今回、開発した技術は、海底ケーブルや陸上波長多重伝送システムなどの長距離大容量光通信システムへの応用が見込まれることから、今後は2004年度の実用化を目指し、商用光通信装置に搭載するための開発を進めます。
特許件数
国内8件(133項)、海外5件出願中。
