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ニュースリリース

テキスト版

掲載のデータは発表当時のものです。価格・仕様について変更する場合もございます。

2007年12月12日
開発No.0708

さらなる高出力化に向けた次々世代の高周波トランジスター

スーパーワイドバンドギャップ半導体を用いた超高耐圧のトランジスターを開発

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 三菱電機株式会社(執行役社長:下村 節宏)は、国立大学法人東京工業大学(学長:伊賀 健一)、独立行政法人理化学研究所(理事長:野依 良治)と共同で、スーパーワイドバンドギャップ半導体である窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を電流が流れる部分(チャネル)に用いた超高耐圧のトランジスターを初めて開発しました。これにより、さらなる高出力化を可能とする次々世代の高周波トランジスターの実現への道が拓けました。

 本成果は、米国ワシントンDCで開催されている電子デバイス分野の国際会議IEDM(IEEE International Electron Devices Meeting)で12月11日(現地時間)に発表します。

開発の背景

 今日、マイクロ波を用いた通信は、携帯電話や衛星通信などに広く利用されています。マイクロ波帯通信用の高周波デバイスで、高出力が要求される用途には、現在ガリウム砒素(GaAs)をチャネルに使用したトランジスターが多く使用されています。高出力化の要求に応えるためには、チャネルの絶縁破壊電圧を上げること、すなわち、バンドギャップ※1の大きな半導体を使用することが最も有効です。そのため、現在、GaAsより大きなバンドギャップを持つ窒化ガリウム(GaN) をチャネルに用いる次世代の高周波トランジスターの開発が活発に行われています。さらに出力の大きい次々世代の高周波トランジスターの開発に向けては、GaNよりバンドギャップが大きな半導体をチャネルに利用すれば良いのですが、絶縁体に近くなるため、電流を流すこと自体が格段に困難になります。また、結晶を作製する温度が非常に高くなるため、高品質な結晶の積層構造を得ることも困難になります。

※1: バンドギャップ
半導体の性質を決める重要なパラメーターで、大きいほど絶縁体に近くなる。バンドギャップの非常に大きい場合をスーパーワイドバンドギャップと呼ぶ。

主な開発成果

 GaNを超えるバンドギャップを持つ窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)をチャネルに用いたトランジスターの構造設計を行い、高品質なAlGaNの結晶成長技術と十分な電流を流すための技術を併せて確立し、GaNトランジスターに比べはるかに高い1600Vの耐圧を持つトランジスターを実証しました。
1.窒化アルミニウムガリウムをチャネルに用いたトランジスターの構造設計

AlGaNは絶縁体に近いため、結晶成長中に意図的に不純物を入れる従来の方法ではトランジスターとして十分な電子密度を得ることは困難です。そこで、アルミニウム組成の異なるAlGaNの間で発生する圧電効果を応用して、トランジスター構造を設計しました。

2.高品質な窒化アルミニウムガリウム積層構造の作製

上記のトランジスター構造を実現するために、高品質なAlGaNを成長させる技術を開発し、トランジスター動作に必要な電子をチャネルに形成しました。さらに、チャネル以外を流れる不要な電流の抑制を図りました。

3.絶縁体に近い窒化アルミニウムガリウムへの良好な電気接続

AlGaNは絶縁体に近いため、外部からチャネルに十分電流を流すための電気接続が難しいという問題がありました。今回、電気接続が必要な部分にのみイオン注入を行って抵抗の低い領域を形成し、トランジスター動作に十分な電流を流すことに成功しました。

今後の展開

 今後は、大規模なトランジスターを試作し、超高出力の高周波デバイスの実用化を目指します。

特許

 国内4件 出願済

お問い合わせ先
三菱電機株式会社 先端技術総合研究所 業務部 広報・宣伝グループ

FAX: (06)6497-7289

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