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ニュースリリース

テキスト版

掲載のデータは発表当時のものです。価格・仕様について変更する場合もございます。

2008年9月11日
開発No.0811

送信機の省エネルギー化・小型化に貢献

C帯およびX帯で世界最高効率のGaN HEMT増幅器を開発

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 三菱電機株式会社(執行役社長:下村 節宏)は、C帯※1およびX帯※2で世界最高の電力付加効率を達成したGaN※3 HEMT※4増幅器を開発しました。今回の開発によりレーダーや衛星通信に用いる送信機の省エネルギー化と小型化への貢献が期待されます。


※1: C帯:4GHzから8GHzの周波数帯の総称
※2: X帯:8GHzから12GHzの周波数帯の総称
※3: Gallium Nitride:窒化ガリウム
※4: High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ。通常のトランジスタより、高周波特性に優れる

開発の背景

 マイクロ波を使ったレーダーの探知距離拡大や衛星通信の大容量化のためには、送信機の出力電力を大きくする必要があります。当社は、従来の送信機の増幅器に用いられているGaAs(砒化ガリウム)より絶縁破壊耐圧が高く、高電圧で動作させることができ高出力化に向いたGaN(窒化ガリウム)HEMTを利用した増幅器の基礎技術開発を行っています。GaNを使った増幅器は、供給された直流電力を出力信号の高周波電力に変換する効率(電力付加効率)が高く、消費電力の低減や機器の小型化が可能なため、移動体通信機器や衛星などの限られた電源環境や実装環境に向いています。しかしながら、広帯域にわたって高い効率を得るためには、整合回路の改善が必要でした。そこで当社は2008年6月に、マイクロ波回路技術と化合物半導体プロセス技術を駆使し、C帯において比帯域※510%という広帯域にわたって60W出力で電力付加効率50%が得られるHEMT増幅器※6を開発しました。
 そして今回、C帯において、より一層の高効率化を図り、世界最高の電力付加効率を達成したGaN HEMT増幅器を開発しました。また、これまでGaAsを利用して開発していたX帯においても、GaN HEMTを使用することで世界最高の電力付加効率を達成した増幅器を開発しました。レーダー機器、通信用機器の省エネルギー化とともに廃熱機構の簡素化により、さらなる機器の小型化が可能となります。
※5: 帯域幅を中心周波数で割った値。値が高いほど高効率を得ることが難しくなる。
※6: 2008年6月開発品(三菱電機技報2008年6月号掲載)

主な開発成果

1. 非対称レイアウトの整合回路を開発
これまで、高周波電力を増幅素子に分配する回路には対称なレイアウトの整合回路を用いていました。今回、非対称レイアウトの整合回路を開発し比帯域10%の全周波数において効率を高めることに成功しました。
2. 高調波を効率よく反射する高調波反射回路を開発
増幅器内部で発生する高調波が不適切に基本波に重畳されると効率が低下します。そこで、今回、整合回路内に2倍の高調波を効率よくトランジスタに反射させ、効率を改善させる高調波反射回路を開発しました。
3. C帯およびX帯で世界最高効率を達成
回開発した上記2つの整合回路により、従来※6よりも電力付加効率を2ポイント改善し、世界最高の電力付加効率52%を達成しました。C帯においてGaAsを利用した増幅器の3分の2程度にあたる約119Wの消費電力で60Wの大きな出力を得られます。 X帯においても、GaNを用い、非対称レイアウトの整合回路を採用することにより、43%の世界最高の電力付加効率を達成しました。

今後の展開

 今後は高出力が必要な移動体通信の基地局用増幅器などの通信機器に広く適用していく予定です。

特許

 国内 47件、海外15件出願中

お問い合わせ先
三菱電機株式会社 情報技術総合研究所

FAX: (0467)41-2142

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