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ニュースリリース

テキスト版

掲載のデータは発表当時のものです。価格・仕様について変更する場合もございます。

2009年2月25日
開発No.0909

国内初、ミリ波通信システムの実現に向け、必要な半導体回路をすべてMMIC化

ミリ波送受信モジュール用 GaAs MMICチップセットを開発

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 三菱電機株式会社(執行役社長:下村 節宏)は、大容量通信が可能でセキュリティー性の高い周波数帯であるミリ波(30GHz超の周波数帯)を用いた通信システムの送受信モジュールに必要な半導体回路を国内で初めてGaAs※1 MMIC※2でチップセット化しました。

※1: Gallium Arsenide ガリウム・ヒ素
※2:Monolithic Microwave Integrated Circuit マイクロ波回路を単一チップ上に形成した集積回路

開発の背景

 移動通信システムでは、マルチメディア化の進展に伴い大容量通信のニーズが高まっていますが、これまでに利用されてきた無線周波数帯は、携帯電話や無線LAN※3の普及により、資源(周波数)が逼迫しており、新たにミリ波の使用が総務省により検討されています。
 ミリ波は大容量通信が可能なほか、直進性が高いのでセキュリティーを確保しやすいと言われていますが、通信できるエリアが狭く、通信位置が刻々と変わる移動体通信やエリア内であっても複数の人が利用する無線LANなどの適用には限界がありました。この問題は、多ビーム切り替えやビーム走査によって解決できますが、ミリ波用の多ビーム切り替えアンテナやビーム走査アンテナに対応した小型で高出力な送受信モジュールはありませんでした。
 当社は今回、60GHz帯の多ビーム切り替え型送受信モジュールと44GHz帯のビーム走査型送受信モジュールに必要な半導体回路をすべてMMIC化したチップセットを開発しました。ミリ波通信システムに用いる送受信モジュールの小型化と高出力化が可能になり、未利用周波数帯であるミリ波の利用を促進し、電波の有効利用への貢献が期待されます。
※3: Local Area Network ローカルエリアネットワーク

主な開発成果

1. 国内初、ミリ波送受信モジュールに必要なMMICチップセットを開発

ミリ波通信システムの送受信モジュールに搭載するすべての半導体回路を国内で初めてMMICでチップセット化しました。今回開発したMMICを使うことにより、個々の半導体素子で構成した送受信モジュールに比べて容積が約半分になり、小型化に貢献します。

(1) 60GHz帯多ビーム切り替え型送受信モジュール用MMICチップセット
高出力増幅器2種類、低雑音増幅器、ミキサー、スイッチ
(2) 44GHz帯ビーム走査型送受信モジュール用MMICチップセット
高出力増幅器3種類、低雑音増幅器、ミキサー2種類、移相器

2. GaAs採用による高出力な増幅器MMICを開発

今回開発したMMICの素材には高速動作と高出力動作に優れたGaAsを採用しています。60GHz帯高出力増幅器の出力ではSi(シリコン)に比べて4倍となる80mWを実現しました。

3. 不要な信号を抑圧したミキサーMMICを開発

ミキサーでは使用周波数の4分の1の局部発振波を用いることにより、帯域外近傍の不要信号レベルを従来に比べ約30dB(デシベル)抑圧しました。これにより、不要信号を取り除くために必要だったフィルター回路の簡素化が可能になり、モジュールの低コスト化が図れます。

4. 低損失な60GHz帯4分岐スイッチおよび44GHz帯移相器MMICを開発

不要な信号の漏れを最小とする回路構成により、通過損失を60GHz帯用の4分岐スイッチでは2.8dBに、44GHz用の移相器では10.8dBと、従来ミリ波以下の周波数で一般に使用されているMMICスイッチや移相器に比べて1dB削減しました。これにより、モジュールの高出力化や低消費電力化が図れます。

今後の展開

 本技術を、2009年度中に航空機や列車などの公共機関の無線通信機器に広く適用する予定です。

お問い合わせ先
三菱電機株式会社 情報技術総合研究所

FAX: (0467)41-2142

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