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ニュースリリース

テキスト版

掲載のデータは発表当時のものです。価格・仕様について変更する場合もございます。

2009年11月11日
開発No.0915

次世代パワー半導体デバイスでさらなる低損失化を実現

SiCインバーターで、世界最高値となる電力損失90%低減を実証

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 三菱電機株式会社(執行役社長:下村 節宏)は、次世代パワー半導体材料として期待されているSiC※1(炭化ケイ素)を用いたインバーターにおいて、20kW出力時の電力損失が現在主流のSi(ケイ素)デバイス(IGBT※2)を用いたインバーターに比べて約90%低減(世界最高値※3)できることを実証しました。

※1: Silicon Carbide:炭素とケイ素が1:1の化合物
※2: Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスター
※3: 2009年11月11日現在、SiCインバーターとして

開発の背景

 インバーターは直流の電力を所望の周波数の交流に変換する装置で、エアコン、冷蔵庫などの家電から電車やエレベーター、エスカレーター、ハイブリッド自動車などのモーター制御、バックアップ用電源や太陽光発電システム用パワーコンディショナーの交流電力生成などに幅広く使われています。
 SiCは、現在使われているSiに比べて絶縁破壊電界強度※4が約10倍と高く、次世代パワー半導体材料として期待されています。中でもSiC-MOSFET※5の低電力損失と優れたスイッチング性能を生かしたインバーターは、機器の電力利用効率を向上させ、炭酸ガス排出量削減効果をもたらすことから実用化が切望されています。
 当社は2006年1月に耐圧1200V、電流10A級のSiCデバイス(SiC-MOSFET、SiC-SBD※6)を開発し、それを用いたSiCインバーターで、3.7kW定格の三相モーターの駆動に世界で初めて成功しました。2009年2月には11kWのSiCインバーターが、現在主流のSiデバイスを用いたインバーターに比べて電力損失を約70%低減できることを実証しました。今回、SiCインバーターのさらなる低損失化を実現する技術を開発しました。
※4: 絶縁破壊電界強度:半導体や絶縁体において絶縁破壊を起こす最大電界強度
※5: Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属酸化膜半導体電界効果トランジスター
※6: Schottky Barrier Diode:半導体と金属の接合時に生じるショットキー障壁を利用したダイオード

主な開発成果

1. SiCインバーターの限界性能を引き出す低損失化技術を開発
Siインバーターに比べ電力損失が約70%少ないSiCインバーターの損失をさらに低減するためには、スイッチング時間を短縮してSiCデバイスを高速駆動させ、スイッチング損失を抑制するのが有効です。しかし、高速駆動を行なうと、インバーター回路内のSiCデバイスに瞬間的に高電圧が発生してSiCデバイスが破損するという問題がありました。今回、SiCデバイスの配置や配線のレイアウトを最適化することにより、高電圧や電圧波形の振動を抑制してスイッチング損失を極限まで低減し、SiCインバーターの性能を限界まで引き出すことに成功しました。
2. 90%の電力損失低減を実証
今回開発した低損失化技術により、インバーターを駆動した場合(20kW出力時、駆動周波数20kHz)、Siデバイスに比べて約90%の電力損失低減を実証しました。

今後の展開

 今後はSiCデバイス(MOSFET、SBD)の大容量化等の性能向上とともに、空調機器、太陽光発電システム用パワーコンディショナー、エレベーターなどのさまざまな機器への技術展開を進めていきます。

特許

 国内133件、海外22件 出願済

お問い合わせ先
三菱電機株式会社 先端技術総合研究所 業務部 広報・宣伝グループ

FAX: (06)6497-7289

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