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MITSUBISHI ELECTRIC RECRUITING 2019 理想と、競おう。

Project Story 05 世界最先端の観測センサーを搭載し日本の技術で、宇宙へ。

田中 敦

田中敦

Tanaka Atsushi

鎌倉製作所 宇宙システム第二部

坂本 武

坂本武

Sakamoto Takeru

本社 宇宙システム事業部

2014年10月7日。多くの関係者が見守る中、鹿児島県種子島にある宇宙センターから「ひまわり8号」が打ち上げられた。世界に先がけて次世代気象観測センサー(可視赤外放射計)を搭載したこの衛星によって、撮影間隔が短くなるとともに、特定の領域も高頻度に観測できるなど観測機能が格段に向上する。また、観測画像をカラーで映し出せるようになり、より鮮明に地球環境を把握できるようになる。
打ち上げまで5年の歳月を費やしたこのプロジェクト。しかし、その始まりは2000年にまでさかのぼる。

「日本の技術で、
気象衛星ひまわりを国産化する。」
その大きな転換期に立ち会った。

「実はこのプロジェクトは『ひまわり7号』から始まっていると言ってもいいのです。ひまわりを国産化することは、衛星メーカーの責務と考えていました。」と田中は語る。田中は「ひまわり7号」ではシステムエンジニアとして、衛星の開発設計、製造、試験、そして打ち上げに携わった。
ひまわりは、1号から6号まで、日本企業も参加していたもののアメリカ企業に席巻されていた経緯があった。そんな流れの中、国内外の企業に開かれた競争入札で三菱電機が日本メーカーとして初めてひまわりを落札したのである。
「世界のそうそうたるメーカーが競合。技術も実績も有する非常に手強い相手でした。ちょうどその頃、私たちはJAXAと開発したデータ中継技術衛星(DRTS)や技術試験衛星Ⅷ型(ETS-Ⅷ)を基に標準静止衛星プラットフォーム『DS2000』を開発していました。この『DS2000』は気象衛星や通信衛星など、様々なミッション要求にマッチできる一方、共通設計を活用することで短納期・低価格要求にも対応できる優れものです。加えてこれまで『DS2000』は軌道上で保険が適用されるような故障をしたことがなく、その品質は今では保険業界で世界最高クラスの評価を得ています。こうした強みで勝負し、見事勝つことができたのです。ひまわりの国産化。これは大きな出来事でした。」(田中)


物事の奥底にある
想いに触れる瞬間まで
向き合い続ける。

2008年、その後継機となる「ひまわり8号・9号」の入札の話が舞い込んできた。前回と同様、国内外の企業が相手となる競争入札。「ひまわり7号」を手がけたというアドバンテージだけでは落札できない。営業としてプロジェクトの前線に立つ坂本はどのような戦略を立てたのか。
「お客様との協議、入札手続きでの要求事項の整理や各種情報収集はもちろんのこと、他社価格の分析や適切な提案価格の見極めなど、受注戦略を立案し、遂行していきました。また、衛星プロジェクトの提案には非常に多くの関係者が関わります。個々の持つ使命感をつなげ、社内に大きなうねりを生み出していけるような環境作りを意識していました。」(坂本)
坂本は、相手の話をじっくりと聴いて対話をすすめていくことで、物事の本質に迫っていくタイプだ。
「打ち合わせをしていても、相手の話を丁寧に聴くことに重点を置いています。相手が何を考えているのか。その考えの根底にある想いは何なのかを慎重に奥深くへと探っていきます。必要があると思えば時に反論を含めて率直に意見を伝えて、議論を深めていく。それが社内外で本当の信頼を獲得することにつながっていくと思っています。」(坂本)
坂本は「ひまわり7号」の運用時にも、様々な現場でお客様のもとに足を運び、対話を繰り返していた。その成果が、今回の入札においても発揮された。要望だけが記された書類からはわからない、そこに隠れているお客様のニーズを理解することができたのだと言う。
入札公募が出てから締め切りまで1ヶ月の間、営業・技術が一丸となって提案書を作り上げた。特に締め切り前の数日間は夜を徹して推敲を重ねた。そして、迎えた提出日当日の朝5時。ようやく提案書が出来上がった。これ以上の提案はない。チームの誰もが確信するほどの情熱がそこには注ぎ込まれていた。
「提案書を出してから1ヶ月後、開札が行われました。各社の代表者が出席し、お客様がその場で価格提案書を開封し、技術点との総合評価を判定するのを見守ります。色々な人から、開札のときにどれだけ緊張したのか聞かれますが、実は自分でも驚くほど冷静でした。ここまで考え抜いた、想いのこもった提案が負けるはずがない。やれるところまでやり切ったからこその心境でした。」(坂本)
『三菱電機にお願いしたい。』
お客様から、三菱電機の名前が発表された。世界の名だたるメーカーとの勝負に勝った瞬間だった。
「受注に注力したメーカーの営業担当者としてのこれまでの立場と違い、これからはお客様と一体になってプロジェクトを牽引していく役割を担う。その責任の大きさを考えると、身が引き締まる想いでした。」(坂本)
「受注前から予備設計に携わり、そこで描いた夢がいよいよカタチになっていく。そんな希望溢れるプロジェクトがスタートする。そう思うと胸から熱いものがこみ上げてきました。私にとって『ひまわり』は我が子のようなもの。大切に育んで行こうと決意を新たにしました。」(田中)

契約締結はプロジェクトの序章にしか過ぎない。ここからが本当のスタートとなる。今回のミッションで最大の難関は、世界最先端の観測センサーを搭載するということだった。2015年現在もこのような高性能センサーを搭載した静止気象衛星は他に存在しない。衛星の設計・開発に加えて、観測センサーを搭載するためのインターフェースを調整しなければいけない。前例のないミッションに田中、坂本たちは挑んだ。

「ONE TEAM」
お客様もサプライヤーも
一つになった合言葉。

「ひまわり8号・9号」ではサブプロジェクトマネージャーとして衛星のシステムエンジニアリング・マネジメントを中心に携わった田中が語る。
「通常、商用通信衛星の開発期間は2~3年。しかしこのプロジェクトは5年もの月日を費やしました。そのほとんどは、観測センサーの開発製造にかかっています。」(田中)
お客様の要求の細かい部分にまで応えられる世界最先端の観測センサーを製造できる会社は世界に一社しかなかった。田中はすぐさまアメリカに飛んで、最終交渉を進めた。とりわけ難しかったのは、価格面での交渉。オンリーワンの技術を有しているからこその強気の姿勢に、交渉は難航した。
「その会社が過去に開発した観測センサーの価格をくまなく調べ、社内でも技術や資材調達部門と連携しながら分析を繰り返し、何度も交渉に挑みました。」(坂本)
その甲斐もあり、価格合意に達し、開発へと進んでいった。しかし、世界のどの衛星にも搭載されていない最新鋭の観測センサーを搭載するためには、越えなくてはならない多くの壁があった。過酷な宇宙環境に耐えられることはもちろん、膨大な撮影データを地球に送るための電気インターフェース設計など、様々なチャレンジが待ち受けていた。
「徹夜が続くこともあり、精神的に追い詰められた時期もありましたが、そんなとき私を支えてくれたのは仲間でした。三菱電機の仲間に留まらず、お客様である気象庁、そして国内外のサプライヤーみんながこのプロジェクトを成功させたいと思う気持ちが、前を向かせてくれたのです。」(田中)

「ONE TEAM」。

この合言葉のもと、立場も、国も越えて、プロジェクトは一つになった。
そうして5年の歳月をかけて、「ひまわり8号」はついに完成した。


「すべてをやりきった。
だから不安はなかった。」

田中は打ち上げの約14時間前から宇宙センター内にある衛星の遠隔監視・制御室にいた。
「不思議と不安はなかったです。ここまでやったのだから、絶対にうまくいく。失敗なんてするはずがない。そう信じてモニター画面でロケットが上昇していく様子をじっと見守っていました。」(田中)
そして打ち上げから50分後に衛星から最初の信号を受信し、衛星が正常であることが確認された。
「すべての動作が完璧に行われていることを知り、安堵とともに、これまでの5年間が走馬灯のように蘇ってきて、胸の奥から熱いものがゆっくりとこみ上げてきました。」(田中)
場所は違えど、現場でロケットが打ち上がる瞬間を見つめていた坂本も熱い何かを感じていた。
「既に引退されている気象庁のOBの方々や、開発をともにしたアメリカ企業からもその瞬間を一目見ようとプロジェクトの仲間がやってきて打ち上げを見守りました。まさにONE TEAM。胸が熱くなりました。それぞれ立場は違っても、感動を共有できる醍醐味がこの仕事にはありました。この5年間、自分の力を100%出し切る日々だったと胸を張って言える本当にやりがいのある仕事でした。」(坂本)
衛星を打ち上げることが、プロジェクトの終わりではない。むしろここからが始まり。実用衛星として、15年間にわたって間断なく観測を継続することが求められている。いかに安定的に稼働し、日本やアジア・太平洋地域を中心とした世界の暮らしを支えていくことができるか。これからその真価が問われる。
「『ひまわり8号』はこれまで順調に稼働しています。来年には『ひまわり9号』を打ち上げますので、8号同様しっかりと品質をつくり込んでいきたいですね。世界から信頼される三菱電機の衛星をつくり続けていくために、これからもこの仕事に誇りを持ちながら携わっていきます。」(田中)
「人々の生活に欠かすことのできない社会インフラとしての衛星事業には難題もありますが、その分やり甲斐も多く、社会的意義を感じながら仕事に取り組むことができます。このようなスケールの大きい事業を担当できる機会はなかなかありません。日本の宇宙ビジネスのフロントラインに立っている実感を持ちながら、世界の人々の暮らしに貢献していきたいと思います。」(坂本)


この星のよりよい
暮らしを支えるために。
私たちの挑戦は続く。

「世界の人々の生活に貢献できる
世界に誇れる人工衛星を、
つくり続けていく。」

田中 敦

「日本の宇宙ビジネスの
フロントラインに立って、
事業を前進させていく。」

坂本 武

Project Outline

2015年に運用寿命を迎える「ひまわり7号」の気象ミッションを引き継ぐ静止気象衛星「ひまわり8・9号」。政府調達の実用衛星のため、国際競争入札が義務付けられている中、ひまわり7号で培った経験を活かし、通信・放送・観測など多くのミッションに対応できる技術力とコスト削減を図った提案を行い、受注を勝ち取った。その後打ち上げられた「ひまわり8号」は順調に稼動しており、現在は後継機となる「ひまわり9号」の開発にチーム一丸となって取り組んでいる。