省エネサポートサイト

テキスト版 のページへ
印刷用ページへ

三菱電機グループ導入事例

Vol. 01 兵庫県三田市

三菱電機株式会社 三田製作所

三菱電機株式会社 三田製作所

"大工場だから"ではなく、どこでもできるやり方で進めるのが、本当の省エネ活動ではないでしょうか。

省エネ実績

従来方式と比較して年間23.8%の省エネ効果を達成

1997年から「エネルギーの見える化」をめざし、さまざまな計測機器の導入を開始。「こつこつ省エネ」と名付けた活動を継続展開し、そのノウハウを建築段階から注ぎ込んだ新生産棟を2004年7月に竣工した。省エネ設備の導入と、エネルギー管理システムを活用した「エネルギー・ロス・ミニマム活動」などにより、従来方式と比較して年間23.8%の省エネ効果を達成。これらの実績と継続的取組みが評価され、経済産業省主催「平成17年度エネルギー管理優良工場等表彰」で「資源エネルギー庁長官表彰(電気部門)」を受賞した。

省エネ効果
省エネルギー率 23.8%
省エネルギー量 643MWh
省エネルギー効果 228t-CO2(0.356kg-CO2/kWh)
効果金額 9,645千円/年
投資回収 1.2年

事業概要と省エネ対策の背景

「技術・品質・ジャストインタイム」の三大ニーズ下で省エネと取り組む

三田製作所は当初は伊丹製作所の分工場として発足したが、1986年に自動車機器の生産工場として独立し、今年(2006年)10月に20周年を迎える。この20年で売上げは3倍になり、三菱電機の製作所として5番目の規模となった。現在はダイムラー、ホンダなど、世界の20数社の自動車会社と取引があり、生産高の半分以上が海外輸出。売上げの約70%はカーオーディオ・カーナビなどの「カーインフォティメント・カーオーディオ事業」であり、残りの30%は、Gセンサ判定回路を組み込んだエアバッグコントローラ、HID(高輝度放電灯)コントロールユニットなどの「カーエレクトロニクス事業」と、世界トップシェアのEGRバルブ(排ガス制御用機器)などの排気ガス制御製品をはじめとする「カーメカトロニクス事業」が担っている。

製品ラインアップ
製作所内のエネルギー用途

これらの製品は、振動・埃・高温低温など過酷な条件下でも安定して機能することが求められるので、工場には大きな電気エネルギーを必要とする開発検証設備が設置されている。さらに、欧州のRoHS指令に代表される有害化学物質規制への対応をも含んだ品質管理、価格競争、ジャストインタイム(JIT)の納入要求など、市場情勢を背景としたフレキシブルな生産体制も必須である。このため、ユーティリティ等における各種省エネ対策や、「技術・品質・JIT」という三大ニーズに対応した省エネラインの構築が進められている。

省エネの考え方と骨子

大型投資をせず、こつこつやれる省エネこそが本物です

副所長 兼 製造管理部長
中西康之 談

三田製作所では、最終的に設備にカネをかけてドカン!と省エネするのではなく、「こつこつやろう」というペースでずっと省エネと取り組んできました。こういう姿勢が「エネルギー管理優良工場等表彰」の審査でも評価されたのでしょう。次は大臣賞をめざしているのですが、今まで同様、地道に細かいところを抑えて「こつこつ」やっていきたいものです。古い工場であれ新しい工場であれ、こつこつとやる、これが理想です。大工場だからできるやり方ではなく、普通の町工場でもできるやり方で進めるのが、本当の省エネ活動だろうと思います。
三菱電機の中にはさまざまな省エネ機器を作っている事業所がありますが、当製作所の生産品目は自動車の燃費改善と環境負荷軽減製品です。他のセグメントの製品を使って省エネをしているので社内貢献度は高いのですが(笑)、三菱電機全体としてはまだまだ省エネの進んでいないところもあるので、全社的にこういう活動を広げていってほしいですね。

エネルギー管理体制
エネルギーを見えるようにすることから始まりました

エネルギー消費の見える化

製造管理部 環境・施設管理課長
宇田川洋二 談

当製作所が第一種エネルギー管理指定工場になったのは1997年です。エネルギー源として熱は使わず、電気オンリーなので管理しやすいとはいえ、「何をしたら省エネになるのか」現場でもわかりにくい状況にありました。ごみは目に見えるけれど、電気は目に見えないから対策がとりづらい。そこでエネルギー使用状況を「目に見える」ようにしてきたのです。以来、毎月1回「省エネルギーフォロー会議」を開催して受変電やフィーダ管理を徹底し、エネルギー管理士の柴田さんと各管理者が先導しながら「こつこつ省エネ分科会」を立上げ、"こつこつ"と省エネノウハウを積み重ねてきました。そうして今まで培った省エネ施策を新棟に盛り込み、同時に古い建屋にもヨコ展開する中で継続的省エネの土壌が形成され、長官賞につながったのだと思います。

生産性の向上を図ることが省エネに直結します

エネルギー管理システム(SA-1)の管理画面

製造管理部 環境・施設管理課 専任
柴田輝幸 談

省エネとは生産性の向上そのものである、と私たちは考えます。つまり、生産性をいかに上げるかを考えることこそが省エネにつながる、というわけです。エネルギー原単位(生産高原単位)の削減を図る場合、分子を小さくするのではなく分母を大きくすることが大切です。実際、当製作所では使用電力量は年々増加していますが、快適な作業環境で生産性を上げることで原単位は削減できました。そういう意味では、環境省ではなく経産省の進める省エネと同じ概念が土台になっています。
ただ、難しいのは「省エネ効果は人が生み出すもの」だということです。どんなに優れた省エネ支援機器を入れてもそれだけでは省エネはできません。見えたものをどうするかは人間の判断ですから。たとえば、エネルギー管理システム(SA1)で得られた結果をどう判断し、どう運用に活かすかは結局のところ管理者に委ねられているのです。
当製作所の場合、ムダを排除するというある種マイナーな省エネ対策には限界があり、分母を大きくしないともうこれ以上進まないレベルになっています。今やエネルギー管理も基本的にはJITと同じ感があります。企業体である以上、エネルギーもJITで供給するのが理想的といえましょう。

具体的な省エネ手法 STEP1

「エネルギーの見える化」を活用した「こつこつ省エネ」の徹底で
1117千kWhの省エネに成功

三田製作所では、当初の省エネ活動として次の7項目を挙げて取り組んでいた。

  • 1. こつこつ省エネ分科会の結成
  • 2. 分科会の自主活動
  • 3. 省エネフォロー委員会のフォロー
  • 4. 経営幹部への状況報告
  • 5. 施設管理部門の支援
  • 6. 電力計測システム(エコモニター)の活用
  • 7. 電力集中管理システム(SA1)の構築

このうち、「こつこつ省エネ分科会」では、省エネ対象分野として「電力系統・照明・空調・自動機・空気圧縮機・真空ポンプ・クーリングタワー・生産ライン」の8分野を設定し、それぞれの省エネに取り組み、大きな成果を上げた。以下、その具体例を幾つか見てみよう。

電力系統の省エネ

当社製の監視・制御システムSA1を中心に、PLC(プログラマブルコントローラ)でネットワークを組んだ「電力集中管理システム」を導入。

照明の省エネ

工場は500lx、通路などは200lxを基準にし、人感センサーなども導入して自動的に消灯。

空調の省エネ

ADコントローラを用いたデマンド制御を実施。制御信号を無線と動力線を用いて空調機に停止信号をとばす方式で省エネしている。107台のネットワークを組み、3分で自動復帰するように設定した、制御配線が不要な手軽なシステム。ただしこれは旧機への対応方法で、最新の空調機の場合は「G-50+TG-2000」のシステムで管理している。

空調デマコン用通信機器配置図

省エネルギー量の内訳(1st.ステップ)

具体的な省エネ手法 STEP2

「エネルギー管理システム」の運用と生産ライン革新などで
1570千kWhの省エネに成功

ここでは、2003年度に溯り、省エネ目標を「生産高原単位2.1、削減電力1,300千kWh」とした三田製作所の省エネ施策の数々を紹介する。この時の大きなポイントは「エネルギー管理システムSA1の実運用開始」である。1999年頃からこつこつとシステムを構築し、とくに大掛かりな予算を組むのではなく、試験費レベルから立上てきたシステムが本格稼働したのだ。また、気化熱応用冷房や、自動化ラインのセル方式転換により、ラインの停止・撤去も実施した。

エネルギー管理システムの主機能

リアルタイムデータの把握及び、改善要求メール

空調コントローラ

照明の更新と制御システムの導入

空調はTG-2000に条件をインプットしてG-50で制御。これも全体システムとネットワークで繋がっている。この他、温湿度、照度などの住環境も自動計測で制御し、スケジュール管理による一斉オフ、ニーズがある場所だけオンという使い方もしている。

排熱・断熱対策
  • 屋根への断熱セラミック塗装を施すことで真夏の表面温度を18度ほど下げ、階段室内温度を約6度下げることに成功(外気温31.5℃での実測値)。
  • 試験設備からの高温(約45℃)排熱を休憩室の暖房に利用(夏季は屋外へ放出)。外気温のモニタ温度に応じてダンパー制御している。

機械室の扉は水平可動式のガラリに換え、外気を入れる構造に。冬季は排熱利用策として隔壁側ファンで資材室へ暖気を導入している

屋外への排気ファンは室温感知による自動コントロールで台数制御し、省エネ運転を実施

受配電設備(トランス)の高効率化

局所変電所の高圧トランス(500KV×4、300KV×1; 高圧6,600V、低圧200V及び100V)を高効率化

毎月のフォローも重要

省エネルギー量の内訳(2nd.ステップ)

具体的な省エネ手法 STEP3

「新生産棟」に省エネのノウハウを注ぎ込み、
従来方式比で年間23.8%の省エネ効果を達成

三田製作所の新生産棟は一昨年(2004年)に竣工したもので、建築の省エネは「断熱」がキーワードであり、屋根材なども工夫した。天井高もわずかに抑えることで建屋内の熱容量を削減、また、西側にユーティリティ、東側に生産ラインを配したことで熱負荷も抑えている。また、約1,200万円(既存部分を除く)をエネルギー管理システムの構築にかけ、さまざまな計測器による計測値をPLC(プログラマブルコントローラ)を介してネットワークで吸上げ、SA1からのコントロールを実施している。これらにより、当初懸念された原単位の悪化は避けられ、工場省エネのトップランナーへと大きく踏み出す機会となった。

基本制御
  1. 給排気、エアー、溶剤排気は運転の入切管理
  2. 照明、コンセント、動力は盤を分けて管理
  • 建設費を抑えるため、建築メーカーに丸投げせず、設備ごとに個別発注
    (毎週月曜にフォロー会議)
  • 各部門ごとのエネルギー使用状態のリアルタイム把握システムも2006年12月に導入予定

新棟は3階で設計、1階、2階で製造(エアバッグやHIDのコントローラ)を担当。空調は汎用パッケージエアコン(1階の工場部分はスリムエアコン、集中コントローラで管理、手元操作は入切のみ)で個別空調をし、廊下は照明コントローラを設置、上壁は半透明にしてある。照明もライン以外はヒモ付である

建屋構造

変電設備

照明設備

空調設備

温度センサで室温を正確に拾い、制御する

各階の動力盤・照明盤等はマルチメータ付で、ライン毎の分電盤にもついている。盤内のネジのゆるみがヤケにつながるため、見えるように透明にしてあるところがポイント

バルブ締め忘れによるエア漏れを防止するための電動バルブと照光押しボタンスイッチ

ラインの冷気を休憩室に引き込み、屋外に排気

「窒素発生器用スクリューコンプレッサは屋外仕様にしました。照明と排熱対策が不要になりますから」と、環境・施設管理課の柴田さん。排熱は屋内暖房に使うことも検討中という

窒素発生器の自動運転化(窒素発生器メーカーに打診したが対応できなかったもの)にも手をつけている。これははんだ付けの酸化防止用で、鉛フリーはんだ化でさらにニーズが拡大する

省エネルギー量の内訳(STEP3)

省エネ成功のためのひとくちポイント

  • 工場では「熱をためずに逃すことを考える」。「排熱の見える化」も有効
  • 設備についてはまずトランスの変更、省エネ照明(ヒモ付、人感センサも活用、ランプの輝度が上がっているのでワット数は下げても問題ない。避難誘導灯など場所によっては高輝度LEDも使用)、空調の更新でエネルギーは4割減が望める
  • コンプレッサの省エネ制御と圧力損失の低減も大きな省エネになる
  • 中間期の外気導入ももっと使えるはずである
  • セル化による生産方式の変更で不要ラインの撤去は大きな省エネ効果を生む
  • はんだ槽やリフロー炉、射出成形機の予熱は時間を長くしてもムダ、SA1を活用すればムダが見えてくる
  • タイミングも重要。機器・設備は、更新・新設などの機会に省エネタイプに更新していくこと
  • 氷蓄熱システムなど蓄熱型機器も有効

食堂棟、標語あり(毎年6月の環境月間に募集)。棟内の照明は一灯ずつ間引いてある。「当初は暗すぎるとクレームがあったがそのままにしていたらこれが普通になった」とのこと。省エネには忍耐も必要だ

生産ラインの排気ダクトの動作を目視確認できる工夫もある

最後に

三田製作所がISO14001認証取得のための方策の一環としてMDU(電路情報を計測しデジタル表示する計測表示ユニット)を50台発注したのは1998年。第一種エネルギー管理指定工場となった翌年のことである。アルコール温度計を場内35箇所に設置し、省エネ委員が室温計測を始めたのも同時期であり、この習慣は現在も続いている。この頃から「記録する」「見る」習慣づけを行ってきたので、現在では不要な照明は気づいた人が消すなど、自主的な省エネ姿勢が定着しているようだ。省エネ意識が根づくにはそれなりの土壌の形成こそが必要だと実感した。

ページトップへ戻る