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三菱電機グループ導入事例

Vol. 02 兵庫県伊丹市

三菱電機株式会社 高周波光デバイス製作所

三菱電機株式会社 高周波光デバイス製作所

蒸気使用量の削減など"熱"に関するさまざまな省エネ対策を電気に関する対策と並行して実施しています。

省エネ実績

2年間(2002~2004年度)で燃料原単位を26%削減

高周波光デバイス製作所は、2003年度の三菱電機の半導体事業再編によりこの名に改称されたが、前身の北伊丹製作所時代から培った省エネのノウハウは以後も着実に受け継がれてきた。整然と構成されたエネルギー管理組織を基軸に、冷暖房・照明設備の管理基準の徹底、環境ニュースの定期発行、部門ごと省エネ目標設定と報告書作成、省エネパトロールなど、地道な活動を大切にしながら、設備面での省エネ更新も積極的に行い、2004年度には対2002年度比で燃料原単位を26%削減。運休していた建屋の再稼働、製品価格の下落などマイナス要因があるにもかかわらず、電気を含めたエネルギー原単位でも25%削減を実現。このような実績とエネルギー管理・改善に対する継続的な取組みが評価され、経済産業省主催「平成17年度エネルギー管理優良工場等表彰」で「近畿経済産業局長表彰(熱部門)」を受賞した。同製作所はこれより4年前(改称前)に電気部門でも同じ表彰を受けている。なお、同製作所の年間燃料使用量(都市ガス13Aの原油換算)は4,006kl、年間電力使用量は10,139万kWhである。

エネルギー原単位の推移(都市ガス)
単位 2002年度 2003年度 2004年度
工場燃料原単位 kl/千工程数 0.327
(0.861)
0.830 0.630
対前年度比   96.2%
(105.4)
96.4% 75.9%
2003年度から株式会社ルネサステクノロジと分社化した為、()数値は、三菱電機のみの数値を表す。

エネルギー原単位の推移(都市ガス)

エネルギー原単位の推移(全体)

燃料原単位は2002年度0.861→2004年度0.630と、26%減 エネルギー原単位も25%減

事業概要と省エネ対策の背景

蒸気を含めたエネルギー供給設備と使用量、ユーティリティに注目

1952年、三菱電機は中央研究所(現・先端技術総合研究所)で半導体の研究を開始し、7年後の1959年に半導体専用工場として北伊丹事業所を設立した。これが現在の高周波光デバイス製作所の前身であり、その後の半導体素子研究の成果が、現在では書き込み用DVDドライブや携帯電話、レーダーなどに欠かせないキーデバイスとなり、同製作所の主力事業となっている。どの製品も国内外で大きなシェアを誇るが、中でもDVD、CDなどのキーデバイスである光ディスク用半導体レーザー(LDピックアップ)では世界トップクラスの高出力化を実現し、市場占有率は7割以上と、業界をリード。携帯電話のキーデバイスであるパワーアンプでも約6割のシェアをもち、高周波素子の開発力を活かして高機能化する移動体通信のニーズに応えている。また、2003年からは光電子機器事業も受け継ぎ、素子・モジュール・機器に至る一貫した開発・生産体制を確立した。
これらの製品は常に性能向上と高い信頼性が求められる一方、低コスト量産化、小型軽量化、高耐圧化、大容量化などの激しい市場要求にも応じねばならない。このため、たゆまぬ開発と緻密な生産技術が必要であり、金食い虫と言われるほど生産には電力を使うものの、わずかでも品質や生産性に悪影響の出る省エネ施策は許されない。
このため、高周波光デバイス製作所では、エネルギー管理体制を徹底するとともに、ボイラー設備や蒸気配管、純水設備、変圧器、冷却水ポンプ、冷凍機、照明など動力供給設備などの省エネ対策に力を入れている。

製品ラインアップ

光ファイバや海底ケーブルに使われる光デバイス、携帯電話や無線、衛星通信に使われる高周波デバイス。どちらも高度情報化社会には不可欠なデバイスである。

省エネの考え方と骨子

省エネの基本はムダの排除、ムダを見つけるためには計測が有効です

事業グループ専任・施設統轄 工事管理 係長
西田芳郎 談

機械室のターボ冷凍機をバックに今後の更新方針について語る 西田係長

設備更新については、老朽化したものから順次換えていけば熱損失なども激減しますから更新費の実質負担が少なくて済みます。同時に、蒸気を計測してバルブからの放熱を抑制するなど、いろいろな箇所のムダを見つけて対策をとっていくことが基本です。電力のリアルタイム計測なども用途の決まっているトランスごとのレベルでやっていますから、もし変動要因がわからない箇所があれば、エコモニターを下位に接続して計測することができます。そしてその属性ごとに対策を考えます。生産動力とは異なる空調電力のような固定電力では、絶対値を下げることが重要ですが、生産電力の場合は、生産量と歩留まり等で判断する必要があるので、こちらはライン側とタッグを組んで指標を決めて計測・改善していくことになります。照明のように10%電力を下げても影響の少ない設備であれば、当社製エコドライブ(電圧自動調整装置)などを入れて自動的な省エネ化を図ることも実効力がありますね。
また、クリーンルームも従来は大規模なものでしたが、今後は小規模なもので「空調負荷を抑える」ことが必要になるでしょう。シリコンからガリウムへというようにデバイスが変化すればラインも清浄度も変わり、送風機など設備の台数変更も生じます。耐用年数35年程度の建屋に対し、ラインの変更はもっと頻繁で、その都度建替えるわけにはいきませんから、外調機などは固定としても、既設の建屋で変化に対応させていく設備設計が大切です。また逆にそうしないと、半導体製造工場のエネルギー削減は難しい段階にきています。当製作所でもラインの変更は今後増えていくでしょうし、緻密な設備計画と省エネ性に配慮した更新が必要だと痛感しています。今年度以降は、従来効果のあった省エネ対策を継続するとともに、屋根の断熱塗装、フリークーリング導入など、新しい試みも採り入れていく予定です。

具体的な省エネ手法 STEP1

蒸気の供給・使用に着眼して3年間に亙る省エネ改善を実施

高周波光デバイス製作所では2004年度に対2002年度比で燃料原単位を26%削減した。エネルギー管理優良工場として「近畿経済産業局長表彰(熱部門)」を受賞する際に評価された実績である。この熱(蒸気)エネルギー削減に大きく役立ったのは以下4項目の省エネ改善だ。
(省エネタイプスチームトラップと高効率ボイラーの導入については別途詳述)

省エネルギーに関して顕著な成果をあげた実績
年度 項目 改善内容
2002年度 省エネタイプスチームトラップ導入 構内264箇所のスチームトラップの内、高圧用26箇所、低圧用12箇所を省エネタイプのスチームトラップに更新し、損失熱量(蒸気量)の削減を図った。
【年間削減量:58.8kl / 年間削減額:1,789千円】
2003年度 NVL棟一次純水設備MBP塔減量運転 レイアウト工事実施に伴ない、純水系統の見直しを行ない、MBP塔常時2塔通水を常時1塔通水に変更し、イオン交換樹脂再生に使用する蒸気使用量の削減を図った。
【年間削減量:0.3kl / 年間削減額:8千円】
2003年度 E4棟一次純水設備停止 レイアウト工事実施に伴ない、純水系統の見直しを行ない、一次純水設備を停止することにより、イオン交換樹脂再生及び純水加温に使用する蒸気使用量の削減を図った。
【年間削減量:3.8kl / 年間削減額:115千円】
2004年度 高効率ボイラー導入 小型貫流ボイラー2t 10台の内、6台を高効率小型貫流ボイラーに更新し、燃料(都市ガス)消費量の削減を図った。
【年間削減量:150.3kl / 年間削減額:4,573千円】

具体的な省エネ手法 STEP2

設備維持動力などの固定費削減とエネルギー計測システム導入を実施
~達成率160%を示した2005年活動~

2005年度以降も同製作所では省エネ改善と取り組んでいる。以下はそのうち主だった6項目とエネルギー削減効果(算定値)である。

  • 高効率変圧器の導入(E4棟局変設備の更新)・・・48千kWh/年の電力削減
  • 冷却水ポンプのインバータ化・・・負荷に応じた回転数制御により、195千kWh/年の電力削減
  • 冷凍機運転効率の向上・・・コイルの熱交換率を上げるために薬品洗浄を施し、600千kWh/年の電力削減
  • 高効率照明器具への更新(Hf式への転換)
  • トイレ照明への人感センサー設置
  • エネルギー計測システムの導入

従来は毎月1~2回と3ヶ月ごとの電力・電流計測だったが、リアルタイム計測を実施するため、エコモニターとエコサーバーを導入。トランスや空調機などの細かな測定により、ムダを探してツブしていくことで省エネ化を図る。まずはエネルギー最大稼働棟である「NVL棟(生産動力40%弱、空調動力40%以上、その他照明)」で測定を開始した。

NVL棟の空調機に関する日報の例

その他の省エネ施策の例

2005年度後半から実施した「蒸気バルブ類の保温断熱」。ウレタン製アルミ被覆の断熱ジャケットを使用

2002年度に実施し、今後も設置が予定されている「エコドライブによる電圧抑制」

最後に

24時間1年間フル稼働に近いウエハ工場を筆頭に、半導体デバイスを扱う高周波光デバイス製作所の設備は不眠不休だ。一度止めてしまうと立下げや立上げのロスが大きく、場合によっては露光がずれるなど品質にも影響を及ぼしかねないため、10年前にはあった月一回のメンテナンス日も現在では廃止しているという。そのような中で設備をきちんと維持し、なおかつ省エネを図ることの大変さは、部外者にしてみれば想像の域を出ない。お話の中で「空調動力と生産動力では省エネの攻め方がちがう」、というコメントがあったが、空調のほうは絶対値(運転時間と出力)を下げればいいことがわかるものの、では生産動力は・・・その指標の算出方法は、手間は・・・と考えるとアタマが痛くなってくる。やはり現場をつかさどるプロはすごいものだ。

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