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三菱電機グループ導入事例

Vol. 05 和歌山県和歌山市

三菱電機株式会社 冷熱システム製作所

三菱電機株式会社 冷熱システム製作所

根本的に生産性を向上させることが省エネに直結する、という意識のもと、JIT(Just In Time)活動に力を入れています。

省エネ実績

さまざまな取り組みを続け、生産高原単位をほぼ毎年1%以上削減

第一種エネルギー管理指定工場である冷熱システム製作所は、「2010年度までにエネルギー消費量を生産高原単位で1990年度比25%削減する」という三菱電機の省エネ目標に向け、日々邁進している。1997年にISO14001を取得した同製作所の省エネ活動の特徴は、省エネがJIT活動と密接な関係にあることだ。製作所内のさまざまな場所で「工作JIT」「間接JIT」「倉庫JIT」「環境JIT」・・・と、なんでもJITで改善する取り組みが盛んであり、組織的かつ継続的な活動を背に、省エネのための設備投資も生産高比年平均0.1%おこなっている。これらが奏功して直近の2005年度は、7月の最大電力量を1998年度比で23.3%削減した。電力原単位もほぼ毎年のように削減している。

省エネ効果

2005年度は7月の最大電力量を
1998年度比23.3%削減

各種省エネ取組みで
原単位を年1%以上削減

事業概要と省エネ対策の背景

空調冷熱製品の基幹工場として問われる省エネの実力

1943年に操業を開始した冷熱システム製作所は、戦後は名古屋製作所から移管されたミシンや開放形冷凍機の生産を手がけ、1963年には業界に先駆けて半密閉冷凍機の開発に成功した。以後、ユニットクーラなどの各種低温機器や、空調用チリングユニット、除湿機、ビル用マルチエアコンなど、コールドチェーンと快適な暮らしに不可欠な産業用空調・冷熱製品を送り出し続けている。事業領域が拡大する一方、価格や品質面での競争も激化し、開発からロジスティクスに至る全シーンにおいて変化への対応が不可欠といえよう。1996年には大型冷凍機・車両用空調機を担う長崎製作所の空調冷熱部門と統合したが、2006年に再び分離し、新生冷熱システム製作所としてたゆまぬ製品開発とフレキシブルな生産体制の強化を図る。
敷地面積は約8万m2、従業員数は約1,300名(構内関係会社含む)という中型工場である冷熱システム製作所では、年間の電力使用量は19,500千kWhで、全エネルギーに占める割合は約75%である。今後もエネルギー&環境管理体制を強化するとともに、JITを活かした省エネ対策に力を入れていくという。

製品ラインアップ
冷熱システム製作所の生産ライン
エネルギー管理実態(2004年度)

省エネの考え方と骨子

生産性向上こそ省エネに直結。まずはJITで問題点を「見える化」することから

製造管理部 部長
森 常徳 談

当冷熱システム製作所では、2003年下期にキックオフしたJIT活動を通じて、省エネに取り組んでいます。「安全・品質・納期・コスト」をまず改善4大テーマに据え、工作現場を中心にサービス部品・倉庫部門、協力工場、間接部門なども含めた全所活動として幅広く展開してきました。製作所内のさまざまな場所で「工作JIT」「間接JIT」「倉庫JIT」「環境JIT」・・・と、かなりにぎやかにJIT改善に取り組んでいます。
この活動の基本は、生産リードタイムを短縮するためのムダ取りを徹底して行う。そのためにまず、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の徹底と「問題点の見える化」を図り、改善を繰り返して標準作業にすることです。たとえば、ライン作業で「歩かない・運ばない・振り返らない・背伸びしない・しゃがまない・出し入れしない・たたかない」という見方で人の動きを改善します。場合によってはセル方式に変えてしまう、というようなこともやります。そしてリードタイムを短縮し、生産性が向上すれば、省エネにもなります。
省エネのための設備投資は生産高比年平均0.1%おこなっています。生産設備に関しては(1)立上げや終了時間の管理(2)空運転の防止(3)作動油の変更(4)インバータ制御の採用(5)適正なエア圧力の維持(6)配管口径の見直し(7)停止時のエア漏れの防止、といった具体的な省エネ施策を段階的に実施しました。建屋の省エネ対策などを絡め、今後も地道な活動と運用の工夫、設備の省エネ更新、これらをうまく組み合わせて省エネに取り組んでいきたいですね。
JIT成功のポイントはコミュニケーションと競争原理の導入、三現主義(=「現場」で「現物」に触れ「現実」を見る)の徹底といえるでしょう。当所の省エネを含めたJIT推進体制は、トップダウンの指導を基本とし、旗振り役の製造管理部と現場スタッフがダイレクトに意思疎通できる推進体制に特徴があります。

省エネに対する取組み方
1 高効率機器による省エネ 老朽化した設備は、優先的に高効率機器に更新。 2 冷電JITの省エネ活動への拡大 生産ラインでの"ムラ・ムダ"を排除すれば、省エネに繋がる。 3 省エネ支援機器の導入 「感覚」に頼る省エネ→「データ」に基づいた省エネへ。

「安全&環境JIT」にも省エネ貢献の側面があります

製造管理部 環境保全課 課長
服部 彰 談

当所の省エネ活動の特徴はJITと密接な関係にあることですが、もちろん同時に、安全性や品質の向上、環境対策など企業としての基本的活動への目配りも必要になります。当製作所は1997年にISO14001を取得しましたが、「環境JIT」という名で活動を開始したのは2004年のことです。まずは環境保全課の中で今ある問題について話し合い、問題点を100件挙げることから始めました。問題点を明確にすることで直接的な関わりのない人にも意識づけができます。そして改善のポイントは「時間がかかる100点満点の完璧な問題解決より、50点でいいからすぐにできることをやる」ということです。
「問題の見える化」で認識を共有する手法は省エネ活動でよく使いますが、環境JITも同じ。たとえば「排水経路の見える化」では、工場の敷地内にあるたくさんの排水溝やピットに何が流れているかを視覚的に示すことで「見える化」しました。雑廃水には「ザ」特定廃水には「ト」雨水排水には「ウ」と、流れの向きと併せて経路上にペンキで表示したのです(すぐできる第一段階の改善)。
現場担当者以外にも、どこに何がどう流れているかを一目でわかるようになったことで、配管モレや台風などの緊急時に備えた恒久的対策も容易になりました。そして第二段階として、油保管庫の近くにある雨水ピットの周囲を10cmの嵩上げをしました。川に流す雨水の中に油が混ざってしまっては困りますからね。排水処理に限らず、環境対策は省エネとは違う、と言う人もいますが、これらをおろそかにすると何か問題が起こり、結局は生産性も落ちてしまいます。省エネを追求するなら環境や安全性も重要だと思います。

具体的な省エネ手法 STEP1

エアーコンプレッサの問題点を改善して大きく省エネ

  • 空気圧機器や配管を保修し、圧縮エアー漏れを改善。まずはこれが重要。エアートラップの定期点検補修も実施した。
  • 必要圧力を数ヶ月かけて算出・算定し、吐出圧力を下げることに成功。
  • 配管口径最適化により、圧力損失を低減。
  • 最終的に、投資費用はかかるが最も効果的な「運転台数制御」を導入。ロード/アンロードに合わせてコンプレッサを自動制御し、ムダな稼働を排除する。
年間低減電力量
導入前(kWh) 導入後(kWh) 効果(kWh)
1工場 1,515,588 1,264,972 △250,616
4工場 602,022 399,893 △202,129
合計 2,117,610 1,664,865 △452,745
年間低減費用(千円) 6,791(電力単価:15円で算出)

運転台数制御により電力量21%削減

具体的な省エネ手法 STEP2

事例その1 加工機用作動油の種類変更による省エネ

従来の作動油から、低比重・低粘度の作動油へと変更。省エネ性が上がっただけでなく、管理性も向上した。

目的

  1. 低比重・低粘度油採用
    (油圧配管内圧力損失低減・始動時の消費電力低減)
  2. 非危険物油の採用
    →「危険物一般取扱所」から「少量危険物取扱所」へ
従来品 変更品 省エネ率(%)
生産個数(個) 239 164 -
生産時間(Hr) 17.8 12.4 -
生産時間使用電力量(kWh) 1430.5 866.9 -
単位時間電気消費(kWh) 80.4 70 13.0
単位生産電気消費(kW/個) 6.0 5.3 12.0
改善効果

油種変更により
年間202千円削減

(電力単価:15円で算出)

事例その2 高効率変圧器への更新による省エネ

局部変電所の変圧器を高効率タイプに更新した。力率を自動で調整する自動力率調整装置を導入した。

更新前 台数 更新後 台数
サブ変電所 3相300KVA 1 3相750KVA 1
1相30KVA 1 1相100KVA 1
受変電所 3相5000KVA 1 3相5000KVA 1
3相5000KVA 1 3相5000KVA 1
更新前 更新後
損失電力量(kWh) 257,653 228,530 29,123
損失料金(千円)
(電力単価:15円で算出)
3,865 3,428 437
改善効果

損失電力量を
11.4%削減

事例その3 工場棟の屋根への反射塗料塗布による省エネ

空調負荷を抑制するため、日射反射タイプの塗料を塗布。約2~3度の温度引き下げ効果を確認。

外気温比でみると

  1. 和歌山から青森へ工場移設したのと同等の効果
  2. 冷房負荷を約7%低減可能(当社試算)

参考・・・1mm²当たりの費用:¥3,250/m²(延べ面積9230m²)

改善効果

反射塗料により空調負荷
7%削減

具体的な省エネ手法 STEP3

さまざまなJITが省エネ性向上に間接的に寄与

工作JIT

組立台車による1個流し方式

ビル用空調機の新しい生産ライン(Wライン)はコンベアを撤去し、台車を使って製品を1台ずつ組み立てる1個流し方式を採用。コンベア式で生じがちな「機械に働かされている」感覚がなくなり、作業者の自主性やマスターマインドが醸成されて技能も向上、リードタイムの短縮や在庫レス化に貢献。

品質JIT

「作業中に迷わない・間違えないしくみづくり」を推進しているユニット工作課のJIT改善の一例

締め付けを機械で判定するポカピッピ

冷凍機の組立ラインに導入された通称「ポカピッピ」は、フレアナットの締め忘れを自動的に検知する装置(ワークの特性に合わせて三菱電機エンジニアリングと共同開発したオリジナル品)。従来は作業者の目視と記憶に頼っていたフレア締付作業(レンチ5種使用、最大33箇所/台)の確認だが、自動判定化することで確実性がアップ。

リードタイムを左右する技を磨くろう付道場

金属の接合面に銀ろう等を流し込んで固定する「ろう付」は、部品を熔かすことなく接合でき、準溶接の強度をもつので冷凍機の配管接続にも使われる技術。しかしきちんと仕上げるには熟練が必要なため、毎週木曜と金曜に「道場」を開催し、協力会社を含め、各班からの門下生に技を伝授。

倉庫JIT

部品在庫の見える化

電子部品庫では、手書き受払票による入出庫管理を実施し、手配用マグネットラベルを手配連絡板(壁面ボード)に貼る方式に変更することにより、部品在庫の動きや、手配状況を現場・現物で見える化した。

環境&安全JIT

特定配管の保護

排水処理場へつながる特定配管が屋外で剥き出しになっていたため、まずは注意表記を実施。その後ブロックで輪留めを作り、フォークリフトなどの衝突の危険性を排除。

省エネ成功のためのひとくちポイント

  • JITを全所活動として幅広く展開。コミュニケーションと競争原理で参加意識を高めている。
  • すべての工程においてリードタイムを短縮するためのムダ取りを徹底して行なう。そのために5Sの徹底と現状の見える化を図ることが省エネにもつながる。
  • トップダウンの指導を基本に、旗振り役と現場スタッフがダイレクトに意思疎通できる推進体制が有効。
  • 時間がかかる100点満点の完璧な問題解決より、50点でいいからすぐにできることをやる。
  • 問題の「見える化」を進め、情報を共有することが大切。
  • 環境対策をおろそかにすると問題が起こり、結局は生産性も落ちる。省エネを追求するなら環境や安全性への配慮が重要。
  • 圧縮エアー漏れの改善、エアートラップの定期点検補修、変圧器の高効率タイプへの更新、コンプレッサの自動制御など、ムダな運転を根本から排除することで自動的に省エネになる。設備の作動油も低比重・低粘度タイプへと変更すると、省エネ性・管理性が向上する。
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