省エネサポートサイト

テキスト版 のページへ
印刷用ページへ

三菱電機グループ導入事例

Vol. 06 静岡県静岡市

三菱電機株式会社 静岡製作所

三菱電機株式会社 静岡製作所

エネルギー消費の季節較差に負けない省エネ設備更新など、
ハード面での対策で勝負する段階にきています。

省エネ実績

着実な省エネが奏功し、実質生産高原単位は90年度比54%まで低減

生産高1億円あたりのエネルギー使用量(ton-CO2換算ベース)を、2010年度までに売上高原単位で1990年度比25%以上削減、というのが三菱電機全体の目標である。各製作所には対前年比2%減という指標も提示されている。これに対し、第一種エネルギー管理指定工場である静岡製作所のエネルギー使用量は、物価補正(生活家電などは重電と違って単価が変動しやすいため)した後の実質生産高比では2005年度で約54%(90年度比)と、かなり良好な数字となっている。十年来の省エネ対策が奏功してのものといえるが、部品を内製化すると原単位が悪化するというジレンマがあり、継続的に省エネをしないとエネルギー原単位のグラフは下降しないのである。

改善効果:実質生産高原単位の推移(実質生産高原単位=CO2(二酸化炭素)排出量/実質生産高)
改善効果

各種省エネの取組みを続け、

2005年実質生産高原単位で54%

(1990年度比)

事業概要と省エネ対策の背景

生産の季節変動が大きく、「エネルギーの平準化」が課題

1954年設立の静岡製作所は、敷地面積21万m²(東京ドーム5個分相当)。業界初のダブルドアや近年の「切れちゃう冷凍」・「動くん棚」まで話題の機能を提供する冷蔵庫、1967年の発売以来、長いブランド寿命を誇る「霧ヶ峰」エアコンなど、広く一般に親しまれている製品を世に送り出してきた。また、業務用エアコンの分野でも、「椅子一脚分のスペースにおける」スリムエアコンの発売、工事を軽減する「冷媒チャージレス」・「ワイドリプレースインバータ」などで業界を牽引。また、数年前まで海外向け製品のみを製造していたタイ・中国など海外拠点工場との分業化が進んでいる(日本国内向け製品でも低価格帯のものは海外生産が増加)。
冷蔵庫・家庭用エアコン・業務用エアコンが生産の三大品目である同製作所の特徴の一つは、エネルギー使用量の季節変動が大きいことである。夏場に出荷ピークを迎える製品が多いため、夏を終えると使用量が大幅に下がるものの、デマンドで決まる基本料金は下がらないという問題がある。従業員数は約1,500名だが、期間従業員を含めると2,500名規模となることからもその較差がうかがえよう。このため効率のよい設備を入れても夏季しか効果が得られないケースもあり、省エネにはさまざまな面からのアプローチが必要になる。

製品ラインアップ
静岡製作所の生産ライン
エネルギー管理実態(2005年度)
空調機用の試験室

-15~+45℃程度の室温レンジ下で空調機を運転し、さまざまな試験をする。

省エネの考え方と骨子

意識と環境を整え、ソフト的な運用も定着。今はハードの合理的な改善を進めています。

製造管理部 工務課 動力保全係 専任
片瀬 憲一 談

静岡製作所における省エネ活動の初期のテーマはまず、「省エネの意識向上と環境づくり」でした。全員で省エネをする、という意識をもってもらうということ、そして「誰かが省エネをしようと思ったら省エネできる環境をつくること」です。10年ほど前に作った職場のエネルギー使用マップなどはそのためのものです。所内にはたとえ事務部門でも、照明・空調・コピー・サーバーなどさまざまなエネルギー消費機器があります。
まずは、どの機器をOFFさせれば省エネ効果が大きいのか、それを知ってもらうことが大切でした。そして、機器とスイッチの相関関係を明確化し、切ろうと思い立ったら行動に移せるようにしました。併せて、機器のスイッチには責任者表示シールを貼り、責任の所在を明らかにしました。
空調のリモコンにはエリア表示をし、当時は見苦しいと言われましたが照明器具にはヒモ(プルスイッチ)をつけたのです。照明器具は更新のたびにHf化し、今では約半数が省エネ照明です。一部エリアではタイマー制御により、昼食時自動調光で照度を低減させるなどの施策も行っています。
所内の蒸気負荷は約2割程度で、主として工務部門で管理していますが、計測器をつけ、エネルギーロスの見える化を図るとともに、課金制にすることで責任の所在を明確にし、ロスの削減を図っています。このように、生産時のエネルギーロスを数値的に示して改善する、ということが大切だと思います。このため、エネルギー計測機器設置は今後も拡大していきたいと思います。

省エネマップ

具体的な省エネ手法 STEP1

エアー・蒸気・電力などの計測によるエネルギーロス低減と
「更新時は省エネ型へ」を徹底した機器の高効率化

事例その1 エネルギー使用量に応じた課金

蒸気やエアー・電力の細かな計測により、ロスを改善。さらに使用量に応じた部門課金制とすることで省エネ意識の向上も図った。

事例その2 高効率変圧器への転換

トランスは工場内に100台以上あり、一割は名古屋製作所の高効率変圧器に更新済み。古いものから順次更新している。

更新した変圧器でロスを22%削減

季節(電気負荷)に応じて変圧器の運転台数も変更しロスを削減。
事例その3 油圧モータやコンプレッサのインバータ制御化

生産設備のモータなどの制御をインバータ化し、負荷変動に応じた回転数で運転させ省エネを図る。今後も継続的に更新予定。

使用量11%減

(インバータ・空気圧縮機の場合)

事例その4 高効率照明器具への更新

高効率照明器具(Hf等)への順次更新。

照明、一般コンセント用電気使用量37%減

(テクノセンター[技術棟]において)

事例その5 高効率空調機への更新

毎年15台前後の空調機を最新の高効率インバータ空調機へ更新。

既設一定速機に比べ消費電力量約50%減

具体的な省エネ手法 STEP2

デマンド管理による契約電力引下げと、負荷に応じた設備稼働

静岡製作所の場合、省エネ改善を図るうえで昼夜較差以上に影響が大きいのは季節変動である。生産も開発試験も夏場がピーク、当然デマンドもピークとなる。このため、夏場を終えて使用量が大幅に下がっても、夏場のデマンドを改善しない限りは、電気料金の4割程度を占める基本料金は高いままである。

夏場の6~8月にピーク電力を抑制すれば、
通年でコストダウンが図れる

そこでまず、電力消費抑制に効果のある対策を用意し、全設備の稼働状況をみて、ケースバイケースでピークカットに有効な対策をとる。段階的に「すぐやること」は何か、事前にフローを決めておくことが重要だ。

契約電力の削減状況

最大電力の削減状況

事例その1 コージェネレーションの導入

ガス会社のLNG基地稼働(1998年)を期に燃料転換。これを契機にコージェネ導入に踏み切り、ボイラの小型多缶化も同時期に実施した。

CO2排出量1500t/年減削

事例その2 設備機器の効率運転

空調の室外機に散水装置を取り付けて冷却効率を高め、消費電力を抑える。とくに夏場に効果を発揮する。

ピーク時の電気使用量11%減

事例その3 台数制御による負荷変動への追随

ボイラの小型多缶化により、負荷に応じた自動運転で運転効率を上げる。

CO2排出量16.4%減

具体的な省エネ手法 STEP3

コージェネ設備による熱動力のカスケード利用と、さらなる効率化

1999年に発電機の廃熱を蒸気として回収し熱や動力に利用するコージェネ設備を導入、効果を得るようになったが、その陰には運転効率を高めるための研究と工夫、合理的な使途導入の判断があった。一般にコージェネ導入のためには通年安定した熱負荷が必要とされるが、静岡製作所では負荷の季節変動が大きいという制約のもと、コージェネを導入するのは冒険ともいえた。しかし、さまざまな対策により、高効率なシステムを構築、現在、契約電力やガス契約単価の引下げと年間の省エネ・省コストにかなりの効果をあげている。

コージェネ導入効果(運用開始後3ヶ月での目標に対する評価)
項目 目標 効果 評価
ピーク時の電力削減 2,000kW減 1,960kW減 ほぼ達成
エネルギーコスト 5%減 7.3%減 達成
システム総合効率 65%以上 71.4% 達成
空気圧縮機のピーク負荷対応 対応できること 対応可 達成
東海大地震用非常電源確保 対応できること 対応可 達成
事例その1 蒸気駆動型エアーコンプレッサの導入

コージェネを入れても転換したエネルギーの使い途がないとムダになる。そこで蒸気駆動エアーコンプレッサを導入した。これは蒸気を減圧する時のエネルギーで圧縮空気をつくるもので、排出される減圧された蒸気はさらに暖房や乾燥炉などで使用できる。また、圧力差を増やすことで動力の回収量を増加させる措置もとった。(NEDOの助成対象システム。平成11年度省エネルギー優秀事例・資源エネルギー庁長官賞も受賞)

電気使用量620MWh/年削減

事例その2 ガスタービン発電機の吸気冷却

ガスタービン発電機は吸込み温度が高くなると発電出力が低下するため、夏季に外気温が35℃ともなると本来2,100kWの発電出力が1,650kW程度しか出ず、運転効率が悪化する。そこで通常は冷凍機で吸気冷却するが、静岡製作所では地下水(15℃)を利用した熱交換で吸気冷却をおこない、出力を1,800kWまで回復させることに成功した。昇温後の地下水はボイラ給水に利用している。

発電量150kW増加

事例その3 廃熱回収ボイラの連続ブロー水からの廃熱回収

ボイラはスケール付着や腐食を防ぐために内部の水濃度を一定に保つ必要があり、常時一定量の水を排出する装置がついている。これが連続ブロー装置だが、排出されるブロー水は200℃と高温なため、そのまま廃棄すると熱の大きなロスになる。そこでブロー水と給水との間で熱交換する省エネタイプの連続ブロー装置を導入し、廃熱回収を実施。これにより、温水槽の加熱に使用していた蒸気エネルギーを削減でき、ボイラ効率も1.1%アップした。

廃熱回収ボイラの問題点と対策案

システムフロー<改善後>

ボイラ効率1.1%向上

省エネ成功のためのひとくちポイント

  • 「設備機器の更新は省エネ型で」を徹底するとともに、運用にきめ細かさが必要なところはJIT活動で改善を図る
  • コージェネなど費用を惜しんでは成果が望めないものと、そうでもないものとを峻別、省エネ投資を続ける
  • イメージや一般論に振り回されず、他の製作所や他社の成功事例を研究する。そして「自工場にふさわしい対策」を取捨選択して導入することが大切
  • エネルギーのロスや工程のムダなどはその裏づけを数値で示すこと
  • デマンド管理は必要に応じた削減アイテムで調整する
  • 生産調整などで設備の稼働率が中途半端に落ちる場合は、ラインを止めてしまい、他のラインでまとめて生産することも方法の一つとして検討する。一般に設備はフル稼動してこそ効率がよく、半端な稼働率は生産コストの上昇を招く
  • 空調と照明のコントローラはまとめて設置すると切り忘れを防止できる
最後に

ムリせず、ムダなく、よく練られた手堅い省エネ施策に徹している、というのが訪問後の印象であろうか。web上では紹介しきれなかったが、老朽化した脱気塔はスッパリ撤去して窒素式脱酸素装置を導入するなど、やるべきことにはきちんとコストをかけている。「JITによる省エネ効果を把握したい」「不良率が下がれば省エネになり、さらに廃棄物削減、部品購入コスト削減などにもなるはず」など、今後の展開にも意欲的。静岡製作所の次の一手に期待したい。

ページトップへ戻る