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三菱電機グループ導入事例

Vol. 07 香川県丸亀市

三菱電機株式会社 受配電システム製作所

三菱電機株式会社 受配電システム製作所

「見える化」と「人にやさしい」がキーワード。
JIT改善活動と省エネ推進のシナジー効果に期待しています。

省エネ実績

省エネ活動による成果は着々。自工場製品もエネルギー管理に貢献

1998年3月にISO14001を取得した受配電システム製作所(第一種エネルギー管理指定工場)では、2003年度より三菱電機全社施策として推進しているジャスト・イン・タイム(JIT)改善活動と環境マネジメントの仕組みをうまく活かした省エネ活動を展開中である。2003年度までは主としてユーティリティや動力設備の省エネを中心に推進し、2003年度以降は主要生産設備毎の電力量と生産数量の見える化により、原単位を指標として生産現場における緻密な省エネに取り組んでいる。中でも自工場の製品である受配電監視制御システム「MELSAS」に省エネ支援機能を追加し、さらに、生産部門のエネルギー消費と生産数量の「見える化」システム(EMシステム)と融合させたことにより、工場単位から末端の生産設備単位までのエネルギー消費の「見える化」システムを構築している。

省エネ効果
生産高原単位推移
改善効果

省エネ活動強化(設備改善・EM活動により)

05年度:04年度比 10.6%減

06年度:05年度比 5.5%減

事業概要と省エネ対策の背景

個別生産メインの工場における「ムダの排除」とは

電力会社から供給された電気を受けて工場や交通プラント・高層ビルなどさまざまな場所へ安全に安定した電気を供給するために欠かせないのが、遮断器や配電盤・C-GIS等の開閉装置に代表される受配電システム。
1979年に制御製作所丸亀工場として設立された現「受配電システム製作所」では、これら受配電システム関連製品を各種分野のお客様要求に応じた仕様で製造している。同製作所の省エネ対策は、継続的な省エネ型設備更新とEM※活動を柱とした地道な設備運用改善、さらに、活力あるJIT改善活動による生産性の改善が担っている。特に、2003年から始めたJIT改善活動による改善意識や風土改革が省エネ活動においても基礎となっており、共通の改善ポイントは「徹底したムダの排除」である。また、社員のモチベーションアップのため、JIT改善活動に貢献した社員の表彰や工場内の省エネ施策見学路の整備などさまざまな工夫を凝らしている。

エネルギーロス・ミニマム。時に「エネルギーの見える化」という意味も含む。
製品ラインアップ
キュービクル形ガス絶縁開閉装置(C-GIS)
A形コントロールセンタ
受配電制御システム(MELSAS)
MS形スイッチギア
遮断器
受配電システム製作所の生産ライン
エネルギー使用実態
電気設備概要
項目 内容
受電電圧 66kV
契約電力 3,500kW
年間使用電力 12,260MWh(06年度)
二次変電設備数 10箇所
熱設備概要
設備名称 定格 台数 主要用途
ボイラー B棟ガスボイラー 蒸気発生量 750kg 3 塗装前処理
B棟灯油ボイラー 蒸気発生量 750kg 3 めっき前処理
C棟ボイラー 蒸気発生量 400kg 1 めっき前処理
絶縁ボイラー 蒸気発生量 200kg 2 金型加熱・乾燥
温水器 温水ボイラー 1,000万kcal 1 暖房
洗面給湯器 3万kcal 7 手洗い
LPG タンク 15t 1 ボイラー・乾燥

「MELSAS」は三菱電機株式会社の登録商標です。

省エネの考え方と骨子

意識と環境を整え、ソフト的な運用も定着。今はハードの合理的な改善を進めています

生産システム部 部長
池川 広文 談

当製作所の省エネ活動は、2003年度までは受配電監視制御システム「MELSAS」を活用したユーティリティや動力設備の改善が中心でしたが、以後は全消費エネルギーの6割以上を占める生産設備側でも改善を図っています。
2004年度には生産部門のエネルギー消費と生産数量を社内の誰もが端末で見ることができるよう、工場内に「見える化」システム(EMシステム)を構築しました。2005年1月から試行運用し同年4月に本格運用となったこの「見える化」システムのおかげで、エネルギー消費の実態が把握できつつあります。とはいえ、「見える化」だけでは省エネは進みません。見えたものをどう改善するか、具体的なアクションにつなげていくため、「省エネ委員会」を月一回開催することにしました。エネルギー管理部門担当に加え、生産技術スタッフとエネルギーを多く使っている部署の代表(現場の班長・係長など部門長クラス)が集まり、EMシステムの生データを見ながら議論する場です。
エネルギー管理によって設備が無負荷運転していることがわかっても現場の作業者だけではなかなか改善できないため、生産技術部門も一緒になってアイデア出しを行い、設備/運用両面の改善に取り組んでいます。
この委員会では、とことん議論することに意味があります。たとえば昼休みなど、設備がムダに運転していることがわかった場合、該当部門の「これから切るよ」で終わってはダメで、「自動で切れるようにできないかな?」という発想に至って初めて効果が期待できます。
他部門のアイデアが参考になって省エネ改善の横展開も始まり、委員会スタートから1年後には、製作所全体のエネルギー原単位が前年度比10.6%減、という効果を上げました。さらに、このような委員会活動を含め、EM活動全般をISO14001のマネジメントシステムの中にうまく組み込むこと、これが定着の秘訣だと思います。自部門の目標を明確にして、マネジメントシステムに基づいてしっかりとPDCAサイクルを回していくことが大切で、認証機関による定期サーベイランスでの活動フォローも活用しながら、個々の活動の実行力を上げています。

EM活動の展開(主要取組み)

ISO14001への展開

当製作所のJIT改善活動は、「人にやさしい」をキーワードとした8N活動(歩かない・探さない・運ばない・振り向かない・しゃがまない・背伸びしない・出し入れしない・叩かない)に大きな特徴があります。作業しやすい範囲(距離・方向など)を数値化することで効率的に改善を行っています。結果もまた数値で出るので改善の成否がわかりやすく、出来高にもリンクします。遮断器の組立ラインなど、JIT改善活動で生産効率が2倍になった部門もあります。この8N活動の根底にあるのは、「人にやさしい改善で作業者の負担を減らすこと=ムダの削減による作業効率のアップ」という認識です。こういう思想がムダをなくすために必要であり、作業者自らが改善成果を実感できる改善を目指しています。省エネ活動も同じ意識に基づいているといえるでしょう。

当製作所は、省エネだろうとJIT改善活動だろうと、「できることは何でもやる」「できるところからやる」という主義です。メルセーブも発売後すぐに導入しましたし、まずはやってみることが肝心です。個々の施策の投資対効果も重要ですが、毎年、生産高0.1%以上の省エネ投資を続けていく上で、想定した効果がトータルで得られるよう運用も含めた改善を継続することが大切です。今まで一通りの省エネ活動を行ってきて、現在は"踊り場"にさしかかっている感じです。これから次に進むには何らかのブレークスルーが必要で、その一つが生産設備側のEM活動推進です。皆、だんだんと目が肥えてきて省エネに対する見方も変わってきていますから、他にもまだまだやり残したことがあるにちがいないと思っています。

「メルセーブ」は三菱電機株式会社の登録商標です。

具体的な省エネ手法 STEP1

省エネ型設備への更新

受配電システム製作所の具体的な省エネ対策は、省エネ型設備更新とJIT改善活動が両輪である。省エネ型設備更新に関しては、空調・照明をはじめとするユーティリティや動力設備ではもちろん、全消費エネルギーの6割以上を占める生産設備側でも断熱強化や廃熱利用など、継続的にさまざまな改善を図っている。

空調機の小型分散化
  • [冷凍機(2台) / 温水ボイラー(1台)+ 循環ポンプ(2台) + エアハン(6台) + ダクト]方式 → 小型パッケージエアコン(20台)に変更
  • 成層空調:パッケージエアコンをできるだけ低く設置し、空調効率UP

省エネ率22%

暖房熱源の変更
  • [温水ボイラー(100万kcal) + 循環ポンプ(7.5kW) + エアハン(22kW×2台) + ダクト]方式 → 小型パッケージエアコン(6台)に変更

省エネ率22%

工場照明(蛍光灯)の高効率化(HF+鏡面反射傘)
  • 照明器具[799台]蛍光灯FL110W × 2灯 → HF50W × 2灯

省エネ率48%

  • 水銀灯[150台]400Wメタルハライドランプ → 230Wエコセラランプ + 鏡面反射傘

省エネ率48%

組立工場水銀灯の調光化
  • 外部センサーによる自動制御

省エネ率29%

事務棟照明にメルセーブ採用
  • 制御蛍光灯:HF32W2灯用[524台]
  • 照度センサーによる初期照度調整
  • 外光制御
  • センサー数:8台
  • コントローラ:7台

省エネ率48%

ボイラーの小型分散化
  • 2トン灯油ボイラー[2台] → 0.75トン灯油 + 0.75トンガスボイラー[3台]

省エネ率22%

小型分散化によってユーティリティのスペースにゆとりが出て有効スペースが拡大する

その他の省エネ項目(代表例)
  • 【省エネ率15%】塗装設備循環ポンプの流量制御をバルブ制御からインバータ制御に変更
  • 【省エネ率44%】電気炉外壁の冷却水用冷水ポンプを、水温検知により自動発停するように改善
  • 【省エネ率53%】チョコ停の要因などもできるだけ究明。チョコ停が減れば原単位は大きく改善する。
  • 【省エネ率55Kw】コンプレッサ廃熱の暖房利用
  • 【省エネ率10%】塗装前処理設備の断熱強化(50mmグラスウールをチャンバーに貼付け)
  • 【省エネ率73%】暖房用熱源を灯油から電気式ヒートポンプへ、ボイラー燃料をA重油から灯油へ転換

大型の筐体を扱う工場では、床置形パッケージエアコンを架台に載せて設置している。送風(気流)が途中で遮られてしまうのを避けるための措置

力率改善のための進相コンデンサ。高圧側はもちろんだが、低圧側にも設置している。これにより、配電損失は約25%削減

具体的な省エネ手法 STEP2

MELSASを活用したさらなるEM活動

受配電システム製作所から世に送り出される製品の一つに、受配電監視制御システム「MELSAS」がある。 同製作所では、工場全体の電力などのエネルギー管理を掌りデータロギング機能をもつMELSASに省エネ支援機能を付加することにより、例えばデマンド優先で自動的に空調機のサイクリック制御を行うなど、省エネ型の設備運用が強化でき、エネルギー削減を実現している。さらに、電力計測ユニットEco Monitorと相互リンクさせたデータ収集サーバEco Serverと連携することにより、ユーティリティ系から生産設備までのEM活動の要としている。
従来はユーティリティ系のみMELSAS子局でデータ収集。

氷蓄熱空調機と組み合わせたMELSASのシステムズ
受配電のMELSASシステム構成
省エネ支援機能
  • デマンド制御・無効電力制御・空調機制御
    → エネルギー低減
  • ユーティリティ設備監視・安定供給化
    → 運転効率化
  • 負荷別電力量の把握・記録
    → エネルギー管理の充実
  • 受配電日報・ボイラ日報・巡視・運転・監視
    → 省力化、省スペース化
  • 低圧機器計測システム連携
    → 電力量・生産数量把握
MELSASの省エネ支援機能の例
デマンド監視及び制御

監視:契約電力を超過する前にアラーム発報
制御:予め設定した負荷群(空調設備)をサイクリックに停止

ボイラー監視

小型ボイラー(0.75トン/6台)の運転状態を監視

「MELSAS」「Eco Monitor」「Eco Server」は三菱電機株式会社の登録商標です。

具体的な省エネ手法 STEP3

シナジー効果を生む Energy Just in Time の実現へ

EM活動を正確に行うためには、使用電力と生産数量を同時にデータ取りすることが必要になるが、生産数量については加工設備や処理プロセスごとにワークの形状や流し方が異なり、それぞれの設備の特徴に合ったセンサーや方法を選定しなければ生産数量のカウントはできない。
このため精度の高い生産数量の計測方法確立を目指して尽力している。
さらにエリアごとの「絶対値」と個別設備における「原単位」でエネルギーを管理し、PDCAサイクルの中に落とし込んで定着させる。

設備毎のエネルギーの使用状況と生産状況を
見える化しエネルギーのムダを見つけて
改善する活動。

EM活動監視点数
対象計測点 計測点数 具体例
全体使用量・工場使用量 10 配電全体・各工場の使用量(日報/月報/累計)
工場電力(照明・空調・動力) 18 各工場毎の空調・動力・照明電力使用量(日報/月報/累計)
事務所電力(照明・空調・動力) 9 事務棟の各階毎の空調・OAコンセント・照明使用量(日報/月報/累計)
ユーティリティ設備 12 工場コンプレッサの電力使用量/排水処理
生産設備・試験設備 81 電気炉・機械の電力使用量/生産台数(日報/月報/累計)
合 計 130

省エネ委員会

生産現場でのEMデータ活用例

設備ごとの原単位管理の例
板金工場
  • エラー停止時自動電源遮断装置追加
  • 作動油圧の低圧力化
  • 作動油を省エネ型に変更
めっき工場
システム構成図

MELSASとEcoServerのシステム連携
特高、高圧から低圧の負荷設備までの全データを管理(見える化)

省エネ成功のためのひとくちポイント

  • EM活動はISO14001のマネジメントシステムの中に組み込むと有効。
  • 自部門の目標を明確にしてしっかりとPDCAサイクルを回し、認証機関による定期サーベイランスでの活動フォローも活用しながら個々の活動の実行力を上げる。
  • ムダな設備稼動については「これから切るよ」ではダメ。「自動で切れるようにするには?」と考える。
  • 最終目標は、ムダな稼動から有効な稼動に変えること。
  • チョコ停の要因なども徹底的に究明すること。チョコ停が減れば原単位は大きく改善する。
  • 人にやさしいライン構築や作業環境の整備こそ、生産現場のムダを削減する。この思想はJIT改善活動も省エネも共通。
最後に

受配電システム製作所があるのは香川県丸亀市。讃岐地方らしい柔らかな光の中、瀬戸大橋を望む沿海部に工場の敷地が広がっている。同製作所の印象を一言で表せば「オーダーメイド」感に富む、ということ。"受配電システム"の関連製品は筐体に機能を格納するタイプが多いため、部外者にはイメージがつかみにくい。しかもさまざまな客先仕様に合わせて作っているため、場内は工場棟ごと・エリアごとに印象が大きく違う。このような生産現場で省エネを効率よく進めるには、現場の人間の主体的な意思と、そしてJIT改善活動の考え方が必須なのだろうと痛感した。

「MELSAS」「MELSEC」「Eco Server」は三菱電機株式会社の登録商標です。

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