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三菱電機グループ導入事例

Vol. 08 広島県福山市

三菱電機株式会社 福山製作所

三菱電機株式会社 福山製作所

エネルギー使用量の計測をベースに「目に見えて、省エネ」を自ら実践。
省エネサポート製品の開発と運用に活かす。

省エネ実績

「見える管理」の強化と設備更新などで大幅に省エネ。
その結果、電力料金は10年前に比べて約1億円減

福山製作所が本格的に省エネ活動を展開し始めたのは1997年。ISO14001認証取得をめざしての省エネ管理体制構築が契機となったが、その際に自工場で生産する計測機器などの有用性に着目し、省エネビジネスに結びつけたことに独自性がある。以後、「全員参加の見える管理」を基本とするQC省エネ活動などの取組みにおいても、電力計測ユニットをはじめとする製品開発においても、優れた実績で各種の受賞歴を誇る。エネルギーの「見える化」「わかる化」による運用管理の改善のほか、コンプレッサ台数制御、ボイラー小型多缶化、高効率機器の導入などの各種省エネ対策を進め、エネルギー生産高原単位は2006年度に1990年度比27%削減。電力のデマンド管理も相細かく実施することで、大きなコスト低減に成功している。

省エネ効果
改善効果

1990年度比27%削減

(エネルギー生産高原単位2006年度実績)

改善効果

電力支払い料金は10年前と比べて約1億円減

(2006年度 1997年度比31%削減)

エネルギー使用実態
福山製作所の受賞歴
1997年4月 省エネモデル工場活動開始
1997年11月 ISO14001認証取得
1998年度 省エネルギーセンター会長賞受賞
2000年度 電設工業展製品コンクールでEcoMonitorが通商産業大臣賞受賞
2003年度 電設工業展製品コンクールでEcoMonitorProが国土交通大臣賞受賞
2004年度 経済産業局長賞受賞・平成16年度エネルギー
2006年度 経済産業局長賞受賞・平成18年度エネルギー

事業概要と省エネ対策の背景

「省エネモデル工場」として、計測に基づくエコファクトリー化を推進

三菱電機福山製作所はノーヒューズ遮断器、電力量計などの計測機器を中心とした配電制御機器を生産している工業であり最近では、MDUブレーカーや電力計測ユニット等の省エネ支援機器に注力しています。福山製作所では、省エネ支援機器を使用した見える管理による「目に見えて、省エネ」活動を省エネモデル工場として設備ごとの原単位管理による省エネを実践し、その活動をとおして省エネ提案をしています。

製品ラインアップ
配線用遮断器
省エネ支援機器
計測制御システム
電力会社向け計器・メターリングシステム
配電制御パワーエレクトロニクス
燃料ポンプ
福山製作所の生産ライン
省エネシステム・機器を展示提案するテクニカルホール

省エネの考え方と骨子

運用改善や、そのための計測は「製造ラインでやる」ことが成功のポイントです

計測制御・省エネソリューション営業課 担当マネージャー
近藤 邦昭 談

工場の省エネというのは、まず設備対策があって、運用対策をその後でするわけですが、その際、設備管理側から見た運用改善ではなく、生産現場での運用改善が重要です。代表的な対策が「キル」「トメル」「ヤメル」の徹底です。運用改善はあくまでもラインでやること、普通の合理化のように設備管理側でやろうとすると行き詰まります。
私たちが「省エネモデル工場」を作ろうとしていた当時、省エネというのはあくまでも「受電室から見た」電力管理でした。機器を使って計測したいが、効果がわからない、というお客様も多かったのです。そこで製作所の中で実証することになったのですが、電力管理のための配電計測と省エネのためのエネルギー計測には大きな違いがある。配電計測で按分してしまっては現場での使用量はわからないのです。大切なのは「誰が」「どこで」「いつ」計測するか、です。私は、省エネ用の計測というのは製造課長や生産技術課長の仕事だと思っています。配電計測なら環境管理課長が担当しますが、省エネならやはり現場。生産現場のエネルギーのベンチマーキングが必要だからです。
しかも時間軸も重要な要素で、月別とか週単位なんていう大雑把ではいけません。毎日、毎時、毎分といった細かな単位での計測を1ヶ月間続ければ、ほぼ概要がつかめます。ラインをもたない事務所ビルにしても、1ヶ月に1回なんて管理では実態はつかめません。「やったことにしておく」という人的ロスのほうが多いくらいですから。多くのお客様が、「現場で細かく計測できない理由」をずらっと並べてきますが、これを徹底できないと「目に見えて、省エネ」はできません。エネルギーというのは管理ロスが大きいので、現場で細かく計測することが大切です。単なる省エネではなく、生産性向上のための計測と改善だとわかれば、現場は率先して協力してくれるものです。実際、原単位管理に基づいたきちんとした「見える管理」ができれば、電気だけでなく水もガスもエアーも蒸気も含め、エネルギーの改善ができます。
当製作所をモデル工場化する際に苦労したのは、まず「課長の逃げ場のない」省エネ管理体系をつくることと、現場のエネルギー使用の実態を「工場長が見てわかる」ようにすることでした。試行錯誤した結果、ショップにおける責任分担のしかたとか、原単位管理のもとになるエネルギーグラフは60分ごとと5分ごとで作成するとか、いろいろなコツがつかめるようになりました。

福山製作所では、自工場で生産する省エネ支援機器を使った「見える管理」に基づく「目に見えて、省エネ」活動を推進。設備ごとの原単位管理による省エネを実践し、省エネモデル工場としてその活動を公開することで省エネ提案をしている。同製作所における省エネは、各ショツプ(工場の班)での省エネ活動を支援する「改善系」と、「管理・監視系」という二つのアプローチ法に大別できる。それらは受電室の電力エネルギー管理システムやイントラネット網を活用したWeb対応省エネ支援システムで構成されている。

「見える管理」を実現する省エネルギー管理システム&支援機器の概要
システム構成と主な支援機器
区分 工場名 システム名 主な支援機器
管理・
監視系
工場全体 Web対応省エネ
支援システム
Web用データサーバ、
EcoManager II、
EcoServer II、他
改善系 受電室、サブ変電所 電力エネルギー
管理システム
(B-EAシステム)
EcoMonitorPro、
電子式マルチ指示計器、他
省エネモデル
ショップ(1)
設備単位のエネルギー
管理システム
可搬型多回路電力計測ユニット、
MDUブレーカ、他
省エネモデル
ショップ(5)
EcoServer II、
EcoMonitorPro、他
省エネモデル
ショップ(2)(3)
原単位
管理システム
設備単位 EcoServer II、
EcoMonitor II、他
省エネモデル
ショップ(4)
作業工程単位 MDUブレーカ、
EcoMonitorPro、他
省エネモデル
ショップ(6)
事務所ビルの省エネルギー
管理システム
EcoServer II、
EcoMonitor II、
電子式マルチ指示計器、他
Web対応省エネ支援システム

省エネ支援機器を使用して受配電設備や生産設備の電力量などの各種データを計測し、データ収集装置(パソコン等)を経由してWeb用データサーバに蓄積。これをイントラネット上で日報・月報などの形でわかりやすく表示することにより、従業員の省エネ意識の向上と目標管理の徹底を図っている。

具体的な省エネ手法 STEP1

生産ラインの原単位効果を「見える化」し、改善に結びつける

福山製作所の省エネ施策の中でも、特色がよく現れているのが生産設備側のエネルギー原単位管理に基づく現場の改善である。局変ベースよりもさらに細かいエリアごと、ショップごとの使用電力と生産数量を同時に計測し、それらのデータを「見える化」「わかる化」する。これに基づく改善計画の策定・実行をQCサークル活動の中に組み込み、生産性向上のための原単位削減(=最終的に省エネに結びつく)を成功させている。
生産管理の立場からは、省エネはもちろんだが、「ムダな生産をしていないか」「現在の生産性はどうか」といったことがすぐにわかるメリットが大きい。代表的な例である電子モジュール工場では、約90箇所に計測機器を設置し、電力量データの推移に出来高データも重ね合わせて分析することで原単位改善を果たしている。

電子モジュール工場のモデルショップ事例

電子モジュール工場計測システム概要

原単位グラフと原単位悪化要因の検討

問題点と対策の検討

なぜ原単位が悪化するのか?

▼

本質的な原因が分かれば
対策は必ず見つかる

電子モジュール工場のモデルショップ(自装2号ライン)における改善内容一覧
1 生産計画・段取り改善 (1)生産計画の見直し(流し方)
(2)固定カセットの見直し拡充による段取り改善
2 作業者関連 (1)省エネ意識向上
(2)メンテナンス研修によるチョコ停止時間短縮
3 設備関連 (1)実装機の定期メンテナンス
(2)リフロー炉排気の熱気漏れ対策
(3)自動はんだ付け装置温度センサー化による排気自動制御
(4)絶縁処理装置ヒータ温度変更(60℃→40℃)
(5)実装機リフロー炉後の冷却ファン制御
(6)自動はんだ付け装置立上げ時間削減
改善前後の月別原単位推移
改善効果

目標0.45に対して大幅に改善効果を確認

実績
原単位 0.65→0.38 41%削減
電力量 70MWh/年削減 29.5t-CO2/年、126万円/年
投資効果
投資(計測機器・工事費) 1,729千円
効果 1,260千円
投資回収 1,729千円/1,260千円 = 1.37年

短期間での費用回収が可能

具体的な省エネ手法 STEP2

設備更新と運転適正化による省エネと環境負荷低減

福山製作所では計測に基づく原単位管理が省エネ活動の中核にあるとはいえ、一般的な省エネ対策ももちろん実施している。総合的な取組みとしては、省エネを意識したレイバースケジューリング(休日出勤や時間外作業の源泉、一斉定時退社日の徹底、全停電日の設定など)と定期的な省エネパトロールの実施が挙げられる。また、以下に示すように、生産プロセスやユーティリティに関しては、さまざまな省エネ更新を計画立てて行い、大きな効果を上げている。
これら省エネ施策と同時に、環境管理課を中心にゼロエミッション(2004年4月達成)をはじめとする環境負荷低減活動を維進し、廃棄物の削除、節水、環境リスク物質の管理(=リスクの見える化)、製品アセスメントの徹底などに取り組んでいる。中でも、廃棄物情報の電子化の実現や、排水pH値異常感知で下水道移送ポンプを自動停止させる仕組みの導入などが特筆できよう。

生産プロセスやユーティリティに関する省エネ対策の例
硬化炉の分割型内扉導入による放熱量の削減
設備改善による省エネ運転管理

ボウルホッパー設置による設備のアイドリング防止

プレス金型ブロー方式の改善によるエアー量削減

インジャクターの省エネノズル化とエアーブロー量削減

工場棟の屋根の断熱(二重屋根化)
空調機の省エネ更新(高効率機への更新と省エネデマンド制御の導入)
省エネデマンド制御

G-50-Wと三菱電機製省エネデマンドサーバー「E-Energy」との連動により、室内環境の維持に配慮したきめ細かいデマンド管理が実現できます。

集中コントローラ「G-50-W」による空調制御のみでは、目標デマンドを制御できない場合があります。
E-Energyの外部機器への制御出力と組み合わせて運用をしてください。
変圧器などの高効率タイプへの転換
ボイラーの小型多缶化と台数制御
  • 蒸気は主にメッキ工場の洗浄工程で利用
  • 燃料転換も予定されている(重油から都市ガスへ)
その他の省エネ対策
  • コンプレッサーの更新と台数制御
  • モーターのアイドリング停止
  • ファン、ポンプのインバータ化
  • 窓ガラスへの遮光フィルム貼り付け
  • 照明照度の適正化(間引き、人感センサー設置)

具体的な省エネ手法 STEP3

総合管理棟の対策と空調更新を契機とした省エネ制御

福山製作所の中にある総合管理棟(5階建て)では、生産ラインとは建物の性格を異にするとはいえ、同様にEcoServerによるエネルギー計測に基づく「見える管理」を実施している。「見える管理」には、(1)データ公開による従業員の省エネ意識向上、(2)数値目標管理による省エネ推進、という二大目標があり、下記に掲げる具体的な対策によって、対策前に比べて24%省エネ(電力量ベース)という効果を上げた。

対策
1. 照明 (1)始業(8:45)まで照明を点灯しない
(2)昼休み時(12:15~13:00)消灯
(3)残業時の一斉消灯
2. 空調 (1)始業(8:45)まで運転しない
(2)空調管理温度の徹底(冷房28℃、暖房18℃)
(3)残業時の一斉停止
3. 就業
管理
(1)一斉定時日の設定(水曜、金曜)
(2)深夜就業許可の徹底

EcoServerIIでWebによる省エネルギー管理を支援。「全員参加の見える管理」を実現。

総合管理棟では、さらに、2006年3月の空調機(ビル用マルチエアコン)更新を契機に新たな省エネ対策を策定し、実行している。中でも、web対応集中コントローラG50と統合ソフトウェアTG2000の性能をフルに使ったローテーション制御や、E-Energyによるデマンド制御など、恣意的な使用を阻む強制力のある制御管理システムが大きな省エネ効果を上げている。

G50、TG2000、E-Energyはいずれも三菱電機製

空調機(室内機)

G-50

対策
  1. リモコン設定温度の範囲制限と操作制限
  2. スケジュール制御による消し忘れの防止と不必要機の停止
  3. ローテーション制御による室内ユニットの間引き運転によるファジーな省エネ
  4. ロスナイを利用した早朝の外気導入による冷房運転開始時刻の変更(稼働時間短縮)
  5. デマンドコントローラE-Energyと連動した省エネ運転
ローテーション制御

例えば1ブロック内に5グループあり、6分間の室内ユニット省エネ制御を実施する場合

効果(3年間の冷房時の比較データ)

ほとんど相関がなく、運用面での管理が不十分(冷やし過ぎ、不必要箇所の運転等)

2005年度の平均気温として電力量を算出比較した場合、約25%の削減

2006年度の平均気温として電力量を算出比較した場合、約10%の削減

省エネ成功のためのひとくちポイント

  • 計測することから始めなければ、原単位削減につながる省エネは実現しない。
  • 設備稼働についても人間の動きについても「ムダ取り」が大切。それにはまずムダのありかを発見する必要がある。
  • 原単位悪化の本質的な要因がわかれば、対策は必ず見つかる。
  • 生産現場のムダの削減方法は生産現場で案出しするほうが効果的。チョコ停の要因などもきちんと究明するには、QCサークル活動をうまく絡めることがポイント。
  • 空調の効率化は電力量削減に大きく影響する。しかし空調設備は人為的には管理しにくいため、制御管理システムを導入することが効果的。
最後に

三菱電機は今、全社的に「攻めの省エネ」を推進している。これは、簡単にいえば省エネを「節約だけにとどめない」ということ。つまり、(1)設備改善する(2)それに見合った運用改善でコストを削減する(3)コストセーブした分をさらに一段進んだ設備改善に投資する・・・と、交互に繰り返しながらスパイラルアップしていくことで生産性を高め、企業としての体力を鍛える、そういう省エネの考え方のことだ。・・・しかし、そうは言っても、常に改善を続けていくことは気力的にも難しいのではないか?という疑問があったのだが、真夏の福山製作所を訪れ、何年も続いている省エネ対策やQCサークル活動の成果を聞くにつれ、徐々にではあるがその疑問は小さくなっていく。生産現場の人たちは「今より少しでもいいものを作りたい」「もっと合理的な方法を探したい」と、あくなき挑戦をとても自然に続けている。省エネはその結果の一つでしかない。ものをつくる、という行為は、本質的な部分でそういう地道な挑戦を厭わない人たちの「仕事」なのかもしれない。

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