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1921年創業の株式会社 立花エレテック(本社・大阪)は、産業用電気・電子機器の商社として業界に確固たる地位を築いています。三菱電機の販売代理店でもあり、近年は「技術商社」を志向、顧客企業のさまざまなニーズに応える総合的なシステム構築を得意としています。
中でも力を入れているのが、製造業の『省エネ・環境・安全・効率』の4大ニーズに応えるソリューション提案。そこで同社は、2007年春に本社ビルの空調リニューアルを実施した際、取扱商品である三菱電機製の設備機器を各種導入するとともに、ビル全体のエネルギー管理システムを三菱電機と共同開発しました。現在はこれらを活用して顧客企業に省エネをはじめとするソリューション提案を行っています。
改修前は、ペリメータゾーンではセントラルの水方式空調を、インテリア・コアでは直膨式のビル用マルチエアコンを使っていました。いずれもビル竣工の1994年当時の設備ということもあってエネルギーの運用上ムダが多く、快適さにも難がありました。そこで、リニューアルでは「必要な場所に必要なだけの空調」を施すにはどうしたらいいかを考えました。設備設計上も運用上もこれが課題でしたね。
そこで、具体的な空調設備の更新は、①ペリメータゾーンにおける「搬送動力の削減」「個別分散化による運用適正化」と、②インテリアゾーンにおける「高効率熱源化」「配管再利用による工期短縮」「工事コストの低減」をポイントとしました。このため、ペリメータゾーンは蓄熱式の大形空冷チラー + ファンコイルユニットから、直膨式の氷蓄熱ビル用マルチエアコンに更新し、インテリアゾーンは更新前と同じ直膨式ですが、高COPタイプのビル用マルチエアコンを採用することで省エネ化を図りました。
▲屋上に設置された氷蓄熱系統の室外ユニット(全15台)と蓄熱槽。採用されたのは「シティマルチICE YkP ECO」×15系統
▲非蓄熱系統の室外ユニットは全部で38台(「リプレースマルチE eco」×38系統)。室内ユニットは蓄熱系統・非蓄熱系統併せて全230台あり、設置場所に合わせてタイプを使い分けている
省エネを追求する時、製品単体では限界があります。そこで注目したのが「システム全体で実現する」省エネルギーです。さまざまなムダを排除し、組み合わせや運用管理によって省エネを実現することで、CO2の総排出量の減少にもつながります。当社の主要顧客は製造業各社ですが、いずれもCO2排出削減を迫られており、どうやってそれを実現するかは大きなテーマです。そこで、本社ビルの改修を契機に「顧客企業=製造業の省エネに役立つ」エネルギー管理システムを開発することにしました。ビルのエネルギー管理なら従来のBEMSでも可能ですが、私たちがめざしたのは、工場も視野に入れたエネルギー管理システムの開発で、これが「TEMSolution(立花エネルギーマネジメントソリューション)」として結実しました。開発にあたっては、導入後に社員が「管理されている」という意識に陥らないようにすることにも留意しました。開発中からスタッフの省エネ意識が変わり、商品知識が向上するなど、副次的効果もありましたね。
エネルギー管理システムTEMSolutionの三大ポイントは、①誰にでもわかりやすい表現 ②汎用性の高いシステム ③消費エネルギーのリアルタイム把握が可能、という点です。具体的なシステム構成は、各フロアの分電盤に省エネ支援機器を設置して、空調・照明・コンセント他の使用電力量をPLC(プログラマブルコントローラ)に自動収集し、エネルギー管理サーバに蓄積したデータをイントラネット上の端末で表示するもの。エネルギー計測ユニットであるEcoMonitorProや省エネデータ収集サーバEcoServerUなどの活用はもちろんですが、製造現場で多用されているPLC「MELSEC-Q」をマスターコントローラとした構成に特長があります。情報は独自のソフトウェアで統合管理し、デマンド制御や目標実績管理、空調機の予防保全管理も実現しました。
また、これらのコントローラや計測機器、空調機などシステムのデバイスは全て三菱電機製品で構成しました。共同開発なので当然といえば当然ですが、当社は三菱電機の空調機やFA機器を扱っているので、これらのハードを導入していただいたお客様に、後付でも役立つ省エネ管理システムを提供するという意味もあるのです。
▲社内の使用電力量を自動収集し、エネルギーの「見える化」情報としてオフィスの端末に表示。オフィスの日常業務用端末は汎用パソコンと比べ、ハードディスクなどの可動部を持たないため稼働時の消費電力が少ないシンクライアント500台を配布済み
▲管理室に並ぶ空調集中コントローラG-50のコンパネ。空調はG-50で統合管理することにより、遠隔監視・操作、きめ細かな省エネ運転やデマンド制御が可能に
この空調更新とシステム導入の結果、年間電力使用量は8%削減でき、年間CO2排出量も約46ton- CO2削減できました。設備更新後7ヶ月の実績を分析して受電容量も引下げられたため、年間電気料金では23%削減が実現しました(いずれも2005年比2007年度の実績)。
また、社員の省エネ意識も向上しました。初めから省エネ設備が整っている新工場の社員には省エネへの自主参画意欲が少ないといわれますが、TEMSolutionは、自社ビル改修にあたって社員が参加して生まれたものですから、社員一人ひとりが省エネなど経営に着目する契機になりました。また扱っている商品の特性をよく知ることで従来以上にプライド(誇り)も生まれ、営業面での活性化にもつながっていると思います。
▲オフィス内観。空調リニューアル後は温度ムラがなくなり、快適になったと好評。また、電力の「見える化」は言い換えれば「見られる化」であり、省エネ意識が向上したという感想もあった。昼休みの節電なども徹底されつつある
▲照明スイッチ。システムに100%頼るのではなく、人為的な省エネも実施。照明エリア図をスイッチ周りに掲示してどのスイッチがどのランプのものか一目でわかるようにしてある
次の省エネ法改正でエネルギー管理は「工場単位」から「企業単位」になります。当然、国内に生産や販売の拠点を複数もっている企業ではエネルギー管理システムの重要性が増し、TEMSolution等の導入は省エネ・省コストといった実効性はもちろんのこと、企業姿勢をアピールするツールとしても有効になるでしょう。初めからフル構築するのは大変、というお客様には、まずはEcoServer II(省エネデータ収集サーバ)など1パッケージのシステムから始めて、ゆくゆくはネットワーク化するという方法をお勧めしています。
それからビル空調でのリニューアル商談では、空調・照明の機器性能改善とパソコンのシンクライアント化などによって「契約電力の見直し」の可能性があることがポイントになると思います。 “省エネが見える” TEMSolutionはその後押しをする代表的ツールといえるでしょう。私たちは、自社ビルに導入したことを最大限活かして、夏場のデマンド管理による効果などを実験しています。社員が自分たちで実験値を設定して結果を共有できるため、お客様の目線に立って提案できるのが強みです。将来的にはセキュリティ(入退室)情報との連動管理も導入したいと思います。
▲省エネ改修後の本社ビルはTEMSolutionのショールーム機能をもつ。一階のオープンスペースに展示された大画面モニターでは、社員端末と同じ機能を表示できる
▲リニューアル後のデマンド契約更新値を見極めるとともに、設定温度の適正目標値を探るため、システムを有効活用して実験を行った