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三菱電機ビルテクノサービス(株) 佐藤 氏 |
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BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)とは何か |
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私は今、工場の省エネコンサルタントをメイン業務としています。省エネ提案を実際のデータベースに照らしてみて、投資効果はどうなるか、優先順位をどうするかということを、中長期計画のマスタープランの中で予算化して実施していただくためのコンサルです。計測結果から何がわかるかをサジェストして省エネ推進に活かしていただくわけで、その際、私は「省エネの一番近道は省エネ法そのものに則ること」と考えています。
当社のBEMSは関西電力さんと日建設計さんと3社で協力開発したものです。環境共生技術導入の一環として、関西電力本社ビルが大阪中之島に2004年初冬に竣工した際、このBEMSを使って主に空調設備の性能検証をやりました。この事例に関しては、日建設計さんの発表資料「エネルギー管理のPDCAサイクルに基づくビルエネルギー管理システムの開発」(2005年、北海道での空調衛生学会)もあるので参照してください。
さて、BEMSとは何か、というと、一つの定義として「エネルギー管理の中核となる設備に関して、過去の実績と比較したエネルギー動向が把握できるシステム」といえます。ただ、工場の場合、ユーティリティ施設の省エネはまだまだで、いわゆるエネルギーの安定供給を主体とした生産優先型の設備になっています。バブルが弾ける前、生産計画が右肩上がりになっていた工場はおよそ省エネはできていません。結局、“大は小を兼ねる”という考え方の設備設計だからです。これはビルも全く同じことで、設備設計者は、計算した必要値に対して、この世知辛い時代でも1.1倍は必ず乗じます。だからこそ、運用時に計測・計量することによって、性能維持と省エネの両立を図ろうとしているのです。
この計測・計量は、生産プラントならいかに生産状況とエネルギーの相関をとるかですが、難しいのは空調です。空調は室外の温熱環境に左右されるので外的要因の方が負荷になることが多いのです。外気採取とか日射量とか、そういう問題が出てきます。負荷になる要因が何か、どこをどう測ってその相関をどう見つけ出すかが非常に重要です。例えば「環境共生」を謳った関電本社ビルは躯体蓄熱や自然換気などを採用しました。そこで省エネと性能確保とをどのように計測・計量したら基本的性能検証ができるかが、BEMSのテーマになりました。全エアハンから取り込んだような計測データをうまく消化して、「エネルギーがどこでどれだけどのように使われているか」を把握し、「ロスを抽出して最も省エネになるポイントを見分けること」こそが重要になります。 |
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BEMS導入の5大メリットとは |
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BEMS導入には多くのメリットがあります(資料1)。第一は、「設備の性能維持と省エネの両立」で、これにはISO14000に則った管理能力と管理手順が不可欠です。無駄をなくすためには、部門別に「蒸気や圧縮空気や冷水をどれだけ使ったらこの商品が生産できるか」をまず把握すること。しかしこれは計測値ですから、これだけでは何も省エネはできません。分析して無駄のありかを見つけ出すことが必要で、対策として生産方式の改革なども迫られます。「省エネ推進対策は全員参加でないとできない」というのはこのためです。今までの生産優先型から生産対応型のユーティリティ設備にする、要は、大は小を兼ねないという考え方に尽きますが、これにより、設備の性能維持と省エネの両立を図っていけるのがBEMS導入の第一のメリットです。 |
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<資料1> |
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第二は、その省エネを継続して、PDCAを連続して回すスパイラル構造にすることにより、管理標準の遵守が確認できることです。管理標準をつくり、その通りに運営されているかどうかを管理確認できるわけです。
第三は、建物の全体の供給エネルギー、消費エネルギーをグラフ化して、用途別に標準的なモデルと比較できることです。ここで重要なのは、工場の場合には部門別・工程単位などで一商品をつくるのにどのくらいの比率で蒸気やエアーが使われているか、原価把握という考え方。光、熱、水は観念ではなく、商品材料と一緒なのです。ISOでは部門別、省エネでは系統別とよく大別されますが、系統別というのは、空調や圧縮空気や蒸気の生成システム、あるいは発電のCTSシステムなど、システム単位での原単位です。入口と出口を比較し、出口で使われている消費量が本当にそれでいいか、アイドリングで無駄にしていないか検証するのです。
そして次に設備を最適化するためにどうしたらいいか。大は小を兼ねないという概念に意識を改革していただかないと省エネはなかなか進みません。そのお手伝いをするのが私どもの仕事で、それが第五の「無駄なく運転を行って、省エネ、省マネーを実現する」という項目に結実します。 |
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何ができて、何ができないのか |
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省エネ法に関する中長期計画や定期報告を自動的に作成する機能をもたせてPDCAのサイクルを回すための手段としてもBEMSは有効です。定期報告書や中長期計画書に必要なデータは、基本的なプロファイルだけ入力すれば、あとは消費電力から自動計測し、原油換算して、自動的に定期報告書の形式に落としていける仕組みができています。また、性能検証に関する報告でも役に立ちます。例えば、末端差圧制御の圧力はいくらが最適かということを定量化できるのです。基本設計では機能しか書かれていませんが、BEMSはシステムダラーで設計意図を明確にあらわすことができます。
また、省エネ改修用の補助金制度があるので、BEMS導入時など、基本的には使わなければ損だと私は思います。申請すればNEDOから補助金を得て中央監視装置のインフラを整備することもできます。
一方、PDCAをスパイラルに回すための省エネ設備更新計画機能は研究開発中で、BEMSにはまだ搭載されていません。また、省エネ制御の中で、翌日の空調の負荷パターン予測をしてリアルタイムで制御するというのもBEMSではできません。インターネット経由で気象会社から受けたデータをもとに翌日の負荷を予測し、熱源の運用計画を立て、それを出力して明日の負荷に対応できる夜間蓄熱量などを制御するという形でやっているのが現状です。 |
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具体的な運用事例に照らして |
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具体的な事例として、主に空調設備の省エネをBEMSによって実施したケースがあります(資料2)。中央監視でPI(パルス入力)、AI(アナログ入力)をすべて取り込んでCSVファイルでパソコンに移し、そのデータを分析する機能がBEMSというわけです。BEMSの分析では、例えばエネルギーの計測はトレンドグラフ、時系列になるわけですが、そのデータを毎時プロットして相関関係をみることができます。DHCの熱交換器なども横軸に2次側の熱量、縦軸に1次側の熱量をとれば、どこのポイントで稼働したかが明確になります。新築の場合なら、設定値、許容値を入れ、将来的に使うなら管理標準の許容値、目標値を入れれば、範囲から外れたポイントはどんな状況で起きたかが計測できるわけです。 |
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<資料2> |
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資料3はビルの場合の系統別エネルギー分布図です。左側が一般的なビルモデル、右側が現在計測中のビルです。省エネは、エネルギーを一番多く使っている箇所からやるのが効果的ですから、融雪を1割下げたとしても全体的には寄与しない。そこで、一般例に比べて大きいところをまず見るということが大切です。例えば熱の搬送エネルギーが17%、そのうちの1割を省エネしたら、どういう比率で、どのくらい絶対額が下がるかを全体として把握する、というのが系統別の省エネ管理です。 |
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<資料3> |
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もう一つは用途別です。ビルなら、テナント部、共用部、食堂などでの使用割合の把握です。無駄をなくすべきものは用途別でやり、無駄のなくなった箇所に関して設備の最適化を図るためには系統的に見ていく。こういうマトリックス的な考え方で、エネルギー使用の適切な分布の判断がBEMSなら比較的容易にできます。
さらに、BEMSでは5年間データを蓄積し、環境負荷の比較をするような仕組みも構成可能です(資料4)。系統別の毎日のエネルギー負荷比率を1年前と5年前で比べ、自動的に管理して月ごと、年ごとなどで表示することができる機能です。こういう形で今省エネが順調に推移しているかどうかということを、毎日毎月フォローしているということになります。
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<資料4> |
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具体的な運用の詳細は省略しますが、BEMSを使えば定量的に現在と1年分のプロット分布を引き算した演算値として省エネ額を算出することも可能です。そして何より、個々のシステムの設計意図が明確にわかり、統計的フィルタリング機能や重ね合せ機能などを活かすことで省エネ計画のための比較検討が容易になることこそ、実務上の大きなメリットといえるでしょう。 |
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