「人工衛星のひみつ」にのっている “まめちしき”をもっと深く知ることができるよ!

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人工衛星に使われている電池は、携帯電話やパソコンと同じリチウムイオンバッテリー。

以前はNicdバッテリやニッケル水素バッテリも使われていたよ。最近はリチウムイオンバッテリが使われることが増えているよ。ノートパソコンの電池の変化と同じだね。

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三菱電機は1960年代から、50年近く人工衛星開発に関わっている。

日本の宇宙開発の歴史が始まったころから、三菱電機は人工衛星の開発を続けているんだ。最初のころは通信衛星を担当することが多かったよ。海外の衛星メーカにもいろいろ教えてもらったんだ。

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三菱電機はこれまでに、世界中の330以上の人工衛星プロジェクトに関わっている。

国内の初プロジェクトは電離層観測衛星うめ(ISS)という日本最初の実用衛星、海外は国際通信用衛星のインテルサット3号への機器供給で、どちらも昭和40年代のことだよ。

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兵庫県の尼崎市にある三菱電機の通信機製作所では「すばる望遠鏡」や「アルマ望遠鏡」などの大型望遠鏡を開発している。

最寄り駅はJR西日本福知山線の猪名寺駅で、電車からも工場が見えるよ。この工場では、ほかには衛星管制用の地上局の機器や通信用アンテナなども作っているよ。

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人工衛星は人の手によって組み立てられていて、熟練した職人の技に支えられている。

衛星は用途によってカスタマイズして製作するため、まったく同じものにならないので、自動車の工場のようなオートメーションではなく、多くの人の手を経て作られているよ。

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人工衛星は、その衛星の目的を果たす「ミッション機器」と、電源や姿勢制御などの基本機能を保つ「バス機器」に分けられる。

ミッション機器は衛星の用途よって大きく変わる部分で、通信衛星と地球観測衛星では大きく変わるんだ。バス機器は基本的にはどの衛星も共通な部分が多いけど、軌道位置や必要な電力でカスタマイズすることもあるよ。

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三菱電機は、日本で初めての標準静止衛星バス「DS2000」を開発した。

これまでは衛星の目的に合わせて1から設計を行っていたんだ。この方法だと衛星の使い道にぴったりな衛星が出来上がるけれど、衛星の価格を安くしたり、早く作る事が難しかったんだ。標準的な衛星をもとに衛星開発することは、海外では普通のことなんだ。DS2000で、衛星が早く作れるようになったり、これまでより安く作ることができて、衛星を使う人たちにもいいことがあるんだよ。

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「DS2000」は、三菱電機が設計・製造を担当した、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「きく8号」をベースに開発された。

みちびきもDS2000バスを使って製造しているんだ。今開発中のひまわりの後継機もDS2000バスを使っているよ。開発する部分を減らすことで、製造期間が短くなったり、打ち上げた後の故障する可能性が減ったりいいことがたくさんあるんだ。

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「DS2000」を使った人工衛星として、「ひまわり7号」、「スーパーバードC2」が打ち上げられ、静止軌道で活躍している。

海外の衛星メーカも共通バスを持っているよ。ボーイング702(米ボーイング社)A2100(米ロッキードマーチン社)LS-1300(米スペースシステムズロラール社)Alphabus(欧EADSアストリウム社)Spacebus(仏タレスアレニアスペース社)などがあるよ。

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「みちびき」、「ST-2」、「ひまわり8号」、「ひまわり9号」にも「DS2000」が使われている。

DS2000を使うことによってスケジュールが短縮され、価格の面でも安く作ることができるようになるんだ。また、設計の変更を少なくすることで衛星の信頼性も向上するんだ。

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国内で一番大きいスペースチェンバーはJAXAの筑波宇宙センターにあり、その直径は13m。

静止衛星が丸ごと入る大きさなんだ。中では宇宙空間の環境を再現(さすがに無重力は再現できないけどね)して試験をしているよ。

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宇宙では空気が無いので「対流」が起こらず、熱の伝わり方が地上とは大きく異なる。だから真空状態での温度試験が不可欠。

宇宙空間はとても寒いので、軌道上では衛星はとても冷えているんだ。でも、太陽の光が当たるとその部分だけとても熱くなるんだ。あと衛星内部の機器で熱を出すものもとても熱くなるよ。地上だと空気があるので空気が「対流」して冷やす方法があるけど、宇宙では空気がないのでっその方法が使えないんだ。それで、衛星は熱を放出したり、冷えにくくしたりする仕組みを持っているよ。真空の温度試験では、その仕組みがきちんと働くか、その環境で電気機器がきちんと動くかを確認するんだ。

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人工衛星のまわりをおおっている「金紙」は、多層インシュレーション(MLI)という。

金色は黄色い透明のフィルム上の物質(ポリイミド)にアルミを蒸着しているため金色に見えるんだ。金メッキじゃないよ。また金色だけでなく黒い色をしたタイプもあるよ。

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MLIは、人工衛星の複雑な形に合わせて一つずつ手作りされていて、工場の中でミシンで縫っている。

衛星ごとに形状が変わり、同じものがないので、機械で作ることができないんだ。それで一つ一つ手で縫っているんだね。

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MLIはとても薄いが、約10層の構造になっていて、非常に熱を通しにくい。

冬の寒い日に洋服をたくさん着るとあったかいよね。それとおんなじことなんだよ。 薄い膜を隙間を開けておくことで、熱が伝わり難くなるようにしているんだ。伝導ではなく、放射にしているってことだね。

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MLIを人工衛星に固定する部品として、マジックテープが使われている。

のりは時間がたつとはがれやすくなっちゃうよね。宇宙空間ではもっと早くはがれやすくなってしまうので、のりは使わないんだよ。マジックテープはMLIには特別な方法で縫い付けられていて、マジックテープがMLIから外れることはないよ。

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人工衛星に静電気は大敵。組み立て作業員は、必ず静電気を逃がす腕輪を着けて作業する。

人の体には電流が流れているんだ。冬の乾燥しているときに静電気でびりっつてすることがあるよね。その静電気は電気部品を壊してしまうこともあるんだ。だから電気を逃がすように腕輪(アース)をつけているんだよ。

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人工衛星の電子機器の製造に必要なはんだづけは、特別な資格をもった職人が行う。

はんだ以外にも特別な資格をもった職人さんたちがたくさんいるんだ。機械ではなく人の手で作られる機器がたくさんあるんだよ。

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人工衛星1機分の設計図は、数万枚におよぶ。

設計図を保存するのも大変だったんだ。設計図のファイルで書棚がすぐにいっぱいになってしまうぐらいだよ。

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今はコンピュータを使っているが、昔は1枚1枚すべて手描きで図面を作成していた。

今はCADというコンピュータソフトを使って設計しているよ。紙を使わなくなったので、保管場所はだいぶ楽になっているよ。

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人工衛星の多くは、その主要機器の故障に備えて予備の機器を搭載している。

人工衛星は故障したからといって修理することはできないよね。だから故障してもいいように予備の機器を載せているんだよ。予備の機器としては、まったく同じものを載せる場合と、物は違うけど機能的には同じものを載せるときもあるんだよ。たとえば、工作をするときにはさみを2つ用意するのと、はさみとカッターを用意するようなものだね。

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故障に対処するため、同じコンピュータを3台同時に動かして答え合わせをする、「三重多数決」という方式もある。

宇宙空間は放射線がたくさん降り注いでいて、コンピュータの信号に影響を与えて間違った動作をするときがあるんだ。だから、同じコンピュータを3台同時に同じことをさせて答え合わせをする必要があるんだよ。2台が同時に間違えることはありえないという考え方だよ。

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人工衛星には、故障が発生したことを自分で見つけて、予備の機器に自動的に切り替えて処理を続けるプログラムが組み込まれている。

観測衛星は静止衛星と違って、地上から見えていないときがあるんだよ。その時に故障がおきても地上からすぐに手当てをしてあげられないので最低限、自分で生き延びられるような工夫が多くしてあるんだ。その中の一つが自動的に予備に切り替える機能なんだよ。

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三菱電機の鎌倉製作所には、組み立てや試験の設備だけでなく、打ち上げ後の人工衛星を地上からコントロールする運用設備もある。

衛星をコントロールする設備はJAXAもつくば宇宙センターの内部に持っているよ。ほかにもJAXAは衛星が日本から見えない場所に行ってもコントロールできるように世界各地に同じ設備をもっているんだよ。

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人工衛星の内部から出る熱を、衛星全体にうまく逃がすために、ヒートパイプという管が人工衛星の外壁の中に埋め込まれている。

ヒートパイプの中にはアンモニアが入っているんだよ。アンモニアは熱を伝えやすい性質を持っていて、アンモニアが蒸発するときに熱を奪うんだ。それを利用して人工衛星の内部の熱を外壁から宇宙空間へ逃がすんだ。

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人工衛星の太陽電池の発生電力は数kwから数10kwで、一般家庭の1軒~数軒分。

人工衛星に搭載されている太陽電池パネルは、発電のしくみは、一般家庭の屋根の上に載っているパネルと同じだけど、使っている部品は宇宙での発電に耐えられるような専用のものを使っているんだ。