- 現場データの収集:これまでデータ化されていなかった産業現場のリアルなデータを収集
- サイバー空間での再現:デジタルツインによる仮想空間上での高精度な再現・シミュレーション
- フィジカル(現場)への実装:最適化されたフィジカルAIを実機(ハードウェア)への搭載
Products&Tech
Collaboration
2026.03.17
左から 三菱電機 執行役社長 漆間 啓、燈株式会社 代表取締役社長 野呂 侑希
三菱電機は2026年1月28日、AIスタートアップ企業の燈(あかり)株式会社と戦略的事業連携を結び、出資を実施いたしました。そして同年3月17日、「協業に関する戦略発表会」を開催。
深刻化する人手不足や熟練技術の継承といった「現場」の課題を突破するため、両社の強みを融合。サイバー空間と現場をダイレクトにつなぐ「フィジカルAI」による産業革新へ向けた当社の決意とロードマップを表明いたしました。
当社は「イノベーティブカンパニーへの変革」を掲げ、循環型デジタルエンジニアリング企業への進化を目指しています。その中核として2024年5月にデジタル基盤「Serendie®」を発表し、2025年9月にはOT(制御・運用技術)セキュリティ分野の米Nozomi Networks社を完全子会社化するなど、基盤強化を推し進めてまいりました。
そして2026年1月、最先端のAI技術で産業のアップデートに挑む燈社との協業を結実させました。
今回の協業決定において、当社代表執行役 執行役社長 CEOの漆間啓が語る最重要のテーマが、日本の産業を支える「現場」への危機感と、両社の「志の一致」です。
「燈社の野呂社長との対話の中で、現場を変え、日本の産業を再び強くするという強い想いを共有できたこと——この“志の一致”こそが、協業を決定づけた最大の理由です。燈社との強力なシナジーにより、最先端のAI技術を活用して、現場に根ざした当社の事業変革を大きく加速させていきます。」(当社CEO 漆間啓)
現在、建設・物流・製造をはじめとするあらゆる産業の現場で人手不足が深刻化しています。電力・鉄道・公共分野など、機器供給と制御を通じて「現場」に深く向き合ってきた当社が、この限界を打ち破るために打ち出す解が「フィジカルAI」です。
フィジカルAIとは、単なるデータ解析にとどまらず、現場ごとの暗黙知を可視化し、複雑な状況変化に対してAI自らが高度な判断とリアルタイム制御を行う技術です。従来の単純なルール制御を超え、人手不足の現場であっても安全かつ自律的な稼働を可能にします。
2021年2月に創業した燈株式会社は、わずか5年間で従業員数400名以上、評価額1,000億円規模へと急速に成長した注目のITスタートアップです。「日本を照らす燈となる」をミッションに掲げ、現場のDXを強力に推進しています。
燈社の最大の強みは、独自開発した100種類以上の「燈モジュール」とデジタルツイン技術です。
当社の多彩な機器群やデジタル基盤「Serendie®」と、燈社が誇る「現場のハードウェアを動かすAI技術」が融合することで、ファクトリーオートメーション(FA)やロボティクスのみならず、防衛宇宙、空調・冷熱、エネルギーインフラなど、あらゆる現場の知能化を加速させていきます。
発表会において、野呂侑希 代表取締役社長 兼 CEOからも強い共鳴と期待の言葉をいただきました。
「漆間社長のプレゼンから、この領域に本気で挑む強い決意を感じました。目標は、日本が誇るべき産業基盤に知能を宿し、次世代のものづくりで世界を牽引すること。日本のAIをここから巻き返していきます。」(燈株式会社 CEO 野呂侑希氏)
現場を「安全かつセキュアに動かし続ける」ことが大前提となるミッションクリティカルな環境において、フィジカルAIの実装には高度な信頼性が求められます。
当社の専務執行役 CDO CIO 武田聡は、なぜ当社が「フィジカルAI」において他社の追随を許さないアドバンテージを持つのか、その明確な強みをこう断言します。
「当社には、長年現場で培ってきた『膨大なOTデータ』、メカニカルな特性を踏まえて物理的に機器を動かす『制御技術』、そして現場を安全・セキュアに動かす『ノウハウ』の3つが揃っています。この強固な土台に燈社の最先端AIを組み込むことで、極めてスピーディにフィジカルAIを現場へ実装できます。」(当社CDO CIO 武田聡)
この「データ×制御×現場ノウハウ」と「AI」の掛け合わせは、すでに実際の現場で驚くべき成果を出しています。
従来の工場では、生産ライン自体の自動化が進む一方で、ラインとラインをつなぐ「工場内物流」は品種変更時の人的調整が必要であり、無人化の大きな壁となっていました。
今回の協業において、ライン間を走る自動搬送車(AMR)の動きをデジタルツイン上でシミュレーション・最適化したところ、短期間で稼働率を5割改善することに成功いたしました。
現時点での現場サーバー処理から、最終的には各機器へ直接「フィジカルAI」としてインストールし、自律分散的な無人化工場を実現していきます。こちらも6か月以内の事業化に向け開発が加速しています。
当社が長年蓄積してきた現場データと、グローバルに広がる膨大な製品導入実績。そこに燈社とのパートナーシップで実現する「フィジカルAI」を注入することで、製造現場から都市インフラに至るまで、すべての現場を知能化してまいります。
三菱電機は、デジタル基盤「Serendie®」関連事業における1.1兆円規模の目標達成に向けて邁進するとともに、「フィジカルAI」で日本の現場をアップデートし、世界のモノづくりと産業基盤を強力に牽引してまいります。
これからの当社の挑戦に、ぜひご期待ください。
日本発のAIスタートアップ Sakana AI株式会社へ出資
三菱電機は、次世代AI基盤モデルを開発する日本発のAIスタートアップ、Sakana AI株式会社(本社:東京都港区)へ出資しました。
国産汎用AI基盤モデルの研究開発を行うNoetraへ出資
三菱電機株式会社は、国産汎用AI基盤モデルの研究開発を行うNoetra株式会社(ノエトラ、本社:東京都 渋谷区、以下、Noetra)へ出資しました。