Project​

プロジェクト​

開発者インタビュー​

全乗員の安全と快適に寄与する​三菱電機の次世代DMSが
未来を創る​

三菱電機が開発を手がける次世代ドライバーモニタリングシステム(DMS)。​
検出範囲を助手席や後席まで広げ、乗員認識や生体センシングなどの安全性や快適性の向上に貢献する事を目指す。​
ドライバーの状態を正確に把握するだけに留まらない機能開発や、今後のDMS活用について開発メンバーが語った。​

三菱電機株式会社 自動車機器事業本部 三田製作所​

  • 野見山 康彦​​
    カーマルチメディア製造第二部
    映像機器設計課​
    野見山 康彦​​のみやま やすひこ

    DMS開発プロジェクトリーダー。​
    2015年よりDMSの開発に携わり、業界初となるダッシュボードセンター設置の広角カメラ型DMSを開発。DMSの市場拡大により「事故ゼロ」を目指し、多くの国内・海外自動車メーカーとのDMSビジネスに関わる。​

  • 米山 昇吾
    カーマルチメディアシステム部
    技術第六G​​
    米山 昇吾よねやま しょうご

    DMSのセンシング機能開発担当。​
    三菱電機の研究所にて画像処理によるパターン認識技術の開発に従事。2017年よりDMSの量産開発に携わる。高精度な脇見・居眠り判定などのアルゴリズム開発を担当し、多くの自動車メーカーで採用されている。​

  • 虎間 亮介
    自動車機器開発センター 開発第二部
    開発25G​​
    虎間 亮介とらま りょうすけ

    DMSの先行開発担当。​
    DMSの試作段階から開発に携わり、センシングアルゴリズムの開発に従事。現在はDMSを使った様々な機能の先行開発を実施。ドライバーだけではなく助手席や後席乗員に対する新しい機能や、ドライバーの体調をモニターし安全・安心に寄与する機能開発も行う。​​

※所属・役割は、2021年3月時点の情報です

広角カメラによるDMSを業界で初めて開発​

野見山三菱電機がDMSを市場に出す前から、ステアリングコラムに設置した狭角のカメラで、ドライバーのわき見や居眠りを検知する製品は既にありました。​
私たちも同じような仕様でDMSを開発することもできたのですが、1台のカメラで運転席だけではなく助手席まで撮像範囲を広げて、安全や快適に寄与する新しい機能を実現したいと考え、ダッシュボードセンターに設置した広角カメラによるDMSを業界で初めて開発しました。​
ただ、広角のカメラを使うことで乗員が小さく映ってしまうため、映像解析に使用できる画素数は少なくなります。このような少ない画素数でも様々な機能を、精度よく実現できることが当社の強みです。​
現在は、この広角カメラ型DMSを使った、全乗員に対する新しい機能開発に取り組んでいます。 ※車内監視用途において。当社調べ

車内全席の乗員モニタリング​

乗員の動きを妨げない、
スムーズでスピーディーな認識を実現​

米山DMSの個人認識機能は、登録した人が車に乗り込むとシート位置やエアコン温度などをあらかじめ設定した状態に再現するような、ユーザービリティの向上に役立っています。この個人認識機能の特徴は大きく二つあります。​
一つ目は個人の登録や認識をするときに、ドライバーに対して特別な顔向きを要求しないことです。カメラに顔を向けずに自然な乗車の動きの中で登録や認識行うことができるよう、工夫しています。

二つ目は認識の早さです。広角カメラを採用しているため、車に乗り込むときから顔の映像を取得でき、シートに座る前に認識を終えられます。ただし広角カメラは窓や後席など広い範囲を撮像してしまうので、ドライバー以外の不要な情報が多く、開発にはいろいろと苦労しましたが、こういった多くの課題を克服して量産を実現できたのは当社の誇れる部分です!​
現在はEコマースなど高いセキュリティが要求される用途への活用を目指して、認識精度をさらに高めるための開発をしています。​

ドライバーの変化を素早く検知し、事故を未然に防ぐ​​

虎間DMSには先ほど説明したような機能を実現するため、当社の様々な技術を応用しています。例えば、意識を失ったドライバーが倒れこむような異常姿勢を検知する技術です。頭の位置や倒れこむ動作などを見ながら、異常姿勢であることを判定します。​
また、カメラ映像からドライバーの心拍数を計測する技術も活用しています。人の目で認識できない皮膚のかすかな輝度の変化をとらえて、心拍数を推定しています。​
このような技術がベースとなり、DMSの機能を実現しています。​

DMS 機能拡張による異常状態判定​

脈拍検知のしくみ​

当社では、このDMSの機能を、事故を予防するような取り組みに活かしています。ドライバーの意識喪失が起因となる事故のニュースを耳にしたことがある方もいると思いますが、DMSでドライバーの変化を素早く検知し、車両を緊急で路肩に停車させるなどの対応をすることで、事故防止に貢献できると考えています。​​

どのようなシーンでも、正確に認識するシステムを構築​

虎間DMSの認識精度を高める取り組みの一つとして、ロバスト性の検証があります。ロバスト性を検証するにあたっては、DMSに影響を与えるような悪条件、例えば太陽光が顔に当たるシーンや、飲物を飲んでいるときに顔を遮蔽するシーン、さらには帽子やマスク、髪形、ヒゲ、人種、天候といった様々な条件を机上で洗い出すことから始めました。次に実際の車でこういった条件を検証していくわけですが、時には条件を満たす場所に行って評価を実施しました。例えば北海道で雪上での評価を行ったり、海外で様々な人種の方に試して頂いたり。​
こういった特定の場所には何度も行けるわけではないので、何か問題が発生すればその場で修正や再検証を繰り返していくわけですが、精度を高めていく作業は本当に大変でした。​
このような経験を経て、今では様々なノウハウを蓄積しています​。 ※外的要因による影響/変化に対する耐性

ロバスト性の検証事例(環境別の各種データを収集・評価)​​

米山現在はこの蓄積したノウハウと3DCGの技術を用いたシミュレーションを組み合わせた検証に取り組んでいます。例えば、太陽光が顔にあたるシーンを実際の車で再現しようとすると、天気、時間、場所やドライバーの座る位置といった条件を組合せることが必要で、完全に再現するのが難しいのですが、CGによるシミュレーションでは容易に再現することが可能です。さらにはドライバーの顔も様々な人種に変更することが出来るので、とても効率的に検証することができます。

CGによる様々なユースケースの再現例​

過去の開発・量産ノウハウを活用し、機能とデザインを両立​

野見山カメラの設置位置や車内のデザインに合わせるため、DMSを小型化して欲しい、目立たない外観にして欲しいといったご要望を、お客様から頂くことがあります。機能とデザインの両立、これがなかなか難しいのですが、当社ではカーナビゲーションやディスプレイといった多くの車載機器の開発・量産経験からノウハウを培ってきました。例えば、前方視界を妨げないように製品を薄くしたい、というご要望を頂いた時には、内部構造を工夫することで、DMSの性能をキープしたまま、ご要望にお応えすることができました。​

今後は、次世代DMSのさらなる機能アップを加速​

虎間今後は当社の強みである広角カメラを使った次世代DMSのさらなる機能アップを加速していきます。

顔向きと視線検知による脇見判定のシミュレーション​

広角カメラを使うと、ドライバーのわき見や居眠りなどの検知と同時に、乗員の体格判定や行動推定を行ったり、助手席のチャイルドシート有無を検知することができるので、エアバッグやシートベルトの制御と連携する新しい安全・安心機能を実現できます。広角カメラと電波センサを組合せることで、乗員やペットの置き去り検知も可能になります。​
また、運転席・助手席に誰が座ったのかを認識することで、音楽や映像、空調などと連携した便利・快適に寄与する新しい機能も実現できます。他には、表情をとらえることで、気分に合わせた音楽の提供や、開口認識技術を使うことで、どの座席の人が・いつ話したかを判別し、発話者に合わせた音声操作を可能にします。​

DMSは今後のクルマ社会で益々重要な要素となっていく製品だと考えられます。「安全・安心」だけではなく「快適」「便利」といった車内の機能拡充を目指した開発や、当社の車室内モニタリング製品を世界中の車に提供し続けることで、CASEやMaaSを代表とするクルマ社会の変革の一翼を担い、活力とゆとりある社会の実現に貢献していくことを目指します。​​

​三菱電機DMS(ドライバーモニタリングシステム)の注目ポイント​​

  • 広角カメラによるDMSを業界で初めて開発​
  • 全乗員に対しての機能提供が可能 → 車内の“質”向上に貢献​
  • 今後のクルマ社会に向け、更なる機能アップを加速中​
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