このページの本文へ

ここから本文

会議の効率を向上させる「空気の質」

社会の課題を素早く読み解くヒント集 3min column 会議の効率を向上させる「空気の質」社会の課題を素早く読み解くヒント集 3min column 会議の効率を向上させる「空気の質」

会議中に眠くて眠くて耐えられなくて寝てしまった人は少なくないだろう。議題がつまらなかったかもしれないし、前日の夜更かしが影響したかもしれない。だが、やる気に満ちあふれていても、気付いたらウトウトという場合もある。おそらく、それは脳の疲労によるものかもしれない。

やる気がありながらも、会議でウトウトすることがなぜ脳の問題になるのか。それは会議室の条件が大きく関係している可能性が高い。

どのような会議で眠気を誘われるか。あなた自身、振り返ってみれば、おそらく、大人数の会議ではなかっただろうか。大勢いたから、バレないと思って眠くなるわけではない。

室内の人数が多いと二酸化炭素濃度は短い時間で一気に濃くなる。空気がよどむと脳内の酸素消費量が増え、疲労感が増し眠くなるというわけだ。あなたが悪いのではなく、部屋の状態が悪いのだ。

環境が仕事のパフォーマスを大きく変えることは最近知られるようになった。例えば職場の「色」。白色の単色構成を避け、赤色など色を取り入れることが作業効率を上げるには効果的とされる。

室温も重要だ。WHO(世界保健機関)は2018年11月に冬の住宅室内は18度以上を勧告している。

冒頭の会議室の例でみたように、「空気の質」も生産性を大きく左右する。東京大学名誉教授の村上周三氏らの研究では、室内の換気量が多いほうが論理系、暗記系テストの成績が向上することも指摘されている。20~40代の社会人を換気量が小さい部屋と大きい部屋に分けて、論理系、暗記系のテストを実施したところ、換気量が大きい部屋のほうが両テストとも5~9%も成績が良かったという。

デンマーク工科大学の研究では、室内に長年使用したカーペットを持ち込むと、事務員の作業能力が著しく低下したという報告もある。カーペットは事務員からは見えない位置に置いており、空気の汚染が生産性に影響したと分析されている。

換気が良い部屋で生産性が上がるという研究報告は数多くある。室内の広さにもよるが、オフィスの場合は1時間に2~3回、学校では1時間に3~4回以上の換気を推奨する識者もいる。

とはいえ、都内のオフィスビルでは窓を開けて換気するわけにはいかないのが現実だ。また、大半のエアコンには換気機能はない。エアコンは室内の空気を循環させて室内に寒暖を提供するのが役割だ。換気はエアコン以外で配慮しなければならない。定期的な換気による快適な環境をつくるためにどうすればよいのか。今、多くの企業は新たな「解」を求め始めている。

生産性をいかに高めるかはどの企業にとっても永遠の課題だ。日本ではデジタル化など仕事場の環境整備が進むが、空気の新鮮さの維持という「目に見えない改革」も中長期的に企業の生産性に大きな差を生み出すことも見逃せない。3密という言葉が駆け巡る昨今、換気について考える良い機会かもしれない。

換気の相談窓口

受付時間/9:00〜12:00 13:00〜19:00
月曜〜金曜(祝日・当社休日除く)

ページトップへ戻る