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ミニマリストにも不可欠な「大きなテクノロジー」

社会の課題を素早く読み解くヒント集 3min column ミニマリストにも不可欠な「大きなテクノロジー」社会の課題を素早く読み解くヒント集 3min column ミニマリストにも不可欠な「大きなテクノロジー」

大きいことはいいことだ―今から、半世紀以上前にそんなテレビCMがあった。20世紀は大きさこそが正義だった。家も車もどんどん豪華になり、大きくなった。年収は右肩上がりでモノは借りるよりも買う。大量生産、大量消費を享受した時代だったが、21世紀になり、大きさを目指す社会は終わった。大きいものはダサいとされ、「小ささ」が好まれ、余計なモノを持たず、モノを所有すらしないスタイルも定着しつつある。だが、大きいことは本当に良くないのだろうか。

2023年の今、私たちの身の回りは「小ささ」にあふれている。日用品は小型化が進み、単身者の増加でスーパーの野菜や総菜はひとり向けにリサイズされている。音楽を聴くスタイルもかつてのレコードはCDになり、MDになり、いまやストリーミングが中心だ。
モノ自体を可能な限りもたない「ミニマリスト」は若者の憧れのひとつになっている。
極小アパートに住み、自宅にはテレビも本棚もない。書籍はすべて電子化して処分して、部屋で目に付くのは寝具くらい。掃除もすぐ終わり、自由な時間が増える。そんなライフスタイルも珍しくなくなっている。

今は安くて良いモノがいくらでも手に入る。それならば、最低限のモノだけをそろえばいいのではないか。こうした変化は高度経済成長からバブル期を経て、「より良いモノ」を求めてきたことの反動ともいわれる。

かつての日本人はそうした生活をしていたとの声もある。小さな家で「持たない生活」をする。必要であれば借りる。戦前ではそれが当たり前だった。

とはいえ、憧れと現実はいつの時代も異なる。ノスタルジーで生活は送れない。服を捨てすぎて、冠婚葬祭に着る服がなく、結局、買いなおす。外食ばかりの生活を改めて自炊を始めたため、一回捨てた食器や家電を買いそろえる。そうした例は少なくない。もちろん、服や家具のレンタルサービスもあるが、懐に余裕がなければ買った方が得と判断する人が多い。

つまり、数や見た目にとらわれすぎると失敗する。重要なのは密度なのだ。
わかりやすい例がデジタル機器だ。テクノロジーの発達で同じ大きさでもかつてとは比べようもないほどの機能を発揮するようになっている。例えば20世紀半ばに世界初の実用的なプログラム内蔵式コンピュータが開発されたが、当時のコンピュータは現在使われているものとは大違いだ。写真や映像で見たことがある人は多いだろうが、一台で部屋を埋め尽くすほどの巨大な装置であった。今では、この当時とは比べ物にならないほどの処理能力を持つコンピュータがポケットに入るサイズにまで小型化されている。それを誰もが体現している。スマートフォンだ。そして、スマートフォンは大きさをほとんど変えずに記憶容量も機能も進化を続ける。見た目は小さいままだが私たちが想像する以上に「大きく」なっているのだ。

スマートフォンがわかりやすい例だが「大きなモノ」が悪いわけではない。デジタルの世界が「大きさ」の概念を変えたのだ。21世紀は見た目が小さくても中身は大きいモノがスタンダードになっている。大きすぎる見ためは困りものかもしれないが、コンパクトな見た目で中身や機能が小さくてはたまったものではない。外見の「大きさ」や「小ささ」に惑わされてはいけない。人もモノも見た目だけで選んではいけない時代なのだ。

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