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有名ブランドが深化する企業タッグの成功事例

社会の課題を素早く読み解くヒント集 3min column 有名ブランドが深化する企業タッグの成功事例社会の課題を素早く読み解くヒント集 3min column 有名ブランドが深化する企業タッグの成功事例

あなたは日常的に身体を動かしているだろうか。特に真夏は外に出るだけでも体力が消耗し、どうしても運動不足になりがちだ。しかし「人生100年時代」、健康でなくては日々の生活も充実させられない。“健康寿命”を伸ばすための身体作りやトレーニングは、便利なネット時代に生きるすべての現代人にとって必要な習慣ではないか。

トレーニングを始める第一歩としておすすめなのが、「靴」を新調することだ。足は全身を支える土台であり、どんなスポーツをするにしろ、用途に合った機能性の高い靴を選ぶことで、モチベーションが高まるだけでなく、運動の効果がかなり変わってくる。

最近では、健康志向の高まりも背景に、センサーが内蔵された「スマートシューズ」が普及している。スマートシューズは内部のセンサーにより、歩数や歩幅、歩行スピードのほか、着地角度や接地時間などの歩行データをリアルタイムに収集できる。そのためスポーツ時の計測用途のみならず、個人に合った靴の選び方などにも活かせるという。例えば、バンダイの子供向けスマートシューズは、アプリと連動し、ゲームをしながら運動不足解消に役立つと好評だ。また、横浜市立大学附属病院とMTG(愛知県名古屋市)は、共同で高齢者の歩行機能をスマートシューズで分析。歩行の不安定さを把握し、それを改善するトレーニングを行うことで転倒などのリスクを未然に防げるかもしれない。

ランニングシューズとして圧倒的なブランド力を誇る米ナイキは2019年、スマホの専用アプリでフィット感を自在に調整できるスマートシューズを発売し、その人気に火をつけた。当初はスポーツの中でも特に動きの激しいバスケットボール向けに設計されたシューズだった。同社は2006年に「Nike+iPod」として米アップルと提携。シューズ内にセンサーを埋め込み、ランニングデータを収集・管理するシステムを導入したことが、その後のスマートシューズの誕生につながった。

ナイキに出遅れたが、アシックスもIoTシューズ開発ベンチャーのオルフェ(東京都渋谷区)とタッグを組み、スマートシューズを商品化した。3軸の加速度センサーと角速度センサーを内蔵しており、着地時のパターンや衝撃の大きさなども測れるほか、走り方や「心の状態」まで算出してスコア化するなど、ジムのパーソナルトレーニングのような機能を持たせたのが特長だ。近年はビジネス靴としてのスマートシューズも展開している。

テクノロジーの発展により、スポーツメーカーとテック企業との連携はさらに深化している。ナイキはフレキシブルエレクトロニクス技術を使った柔軟なセンサーや回路、最新のリチウムイオン電池などをシューズに組み込み、さらに高機能化を狙う。スマートシューズは異業種の企業がタッグを組んだ成功事例だが、そもそも全く新しい製品やサービスは、異業種や異分野が連携することでしか生まれないと言っても過言ではないだろう。

記事内の「iPod」は、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。

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